日本の介護業界に再編余地、ベネッセH事業拡大へ700億円超-EQT

4/18 14:37 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): スウェーデンに拠点を置く投資ファンドEQTのアジア拠点会長を務めるジーン・サラタ氏は18日、ブルームバーグとのインタビューで日本の介護業界について「M&A(企業の合併・買収)による業界再編の余地がある」と述べ、傘下投資先企業の業容拡大を加速する方針を示した。

サラタ氏は同社が創業家と共同でMBO(経営陣が参加する買収)を実施したベネッセホールディングスが主体となる介護事業のM&Aで、5億ドル(約770億円)程度の投資資金を用意していると説明。福武總一郎氏ら創業家との合意が前提としつつも、国内事業者のM&Aを積極的に進める意向だ。

「進研ゼミ」などで知られるベネッセHは、老人ホームの運営数においても業界トップクラスを誇る。サラタ氏は「国内でのブランド認知度が高く、非常に素晴らしい企業」と言及した上で、1955年の創業から時間がたち、やや停滞しているとして「われわれの手で活性化させたい」と述べた。

少子高齢化で市場拡大が見込まれる日本の介護業界では、大手金融資本による参入が相次いでいる。2015年にSOMPOホールディングスがワタミの介護事業を買収、19年には大和証券グループ本社がオリックスの高齢者施設事業を、23年には日本生命保険がニチイ学館の親会社を約2100億円で取得した。

各社は資金力を生かして小規模事業者の買収や業務提携を進めており、EQTの資金支援によってベネッセHも規模拡大を加速させる。

ベネッセHは23年11月、MBOによる非上場化方針を発表。EQTが60%、創業家が40%(議決権ベースでは50%ずつ)を出資する形とした。MBOはすでに成立しており、サラタ氏は「5月の上場廃止を目指して作業している」と述べた。

また、介護と並ぶ事業の柱である教育事業については、まずはデジタル化に重点を置く方針。例えば子供向けの個別指導でオンライン化を強化、出版事業では紙から電子書籍への一定のシフトなども検討する。中国で既に事業化している教育ビジネスのさらなる海外展開も有望だとみている。ベネッセHの公表資料によると、幼児から高校講座までの23年4月の国内会員数は計約221万人と、10年前から43%減少した。

サラタ氏はEQTが日本において今後2年程度で50億ドル規模のプライベートエクイティー(PE、未公開株)投資を行う方針も示した。昨年10月時点は30億ドルを計画していたが、その後、ベネッセHやHRBrainへの出資を発表。順調に案件が積み上がっていることからより強気な見通しに引き上げた。3、4件は進んだ協議段階に入っているという。

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最終更新:4/18(木) 14:37

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