(ブルームバーグ): 中国で長期化している不動産不況が、国内の大手国有銀行に悪影響を及ぼしている。不良債権比率が上昇し、バランスシートがむしばまれている。
交通銀行が27日発表した2023年通期決算によれば、不動産部門の不良債権比率は昨年末時点で4.99%と、前年の2.8%から上昇。住宅ローンの延滞は減少したものの、同部門の要注意先への融資は98億8000万元(約2100億円)と23%増えた。
中国工商銀行は同日の届け出で、住宅ローンの不良債権が9.6%増の278億元となったと説明。不動産セクターの不良債権比率は5.37%に低下したものの、それでも全セクターで最高の水準にあるという。
両行とも23年通期は小幅な増益にとどまった。利ざやの縮小が響いた。
交通銀の殷久勇副社長は決算説明会で、住宅販売とデベロッパーの流動性状況が回復するには時間がかかり、資産の質を維持するための圧力は今年も「計り知れない」と指摘。その上で、不動産へのエクスポージャーに伴う全体的なリスクはなお管理可能だと述べた。
投資家は、銀行融資に大きく依存する経済が勢いを取り戻す上で重要となる銀行の底堅さを見極めようとしており、大手行の収益性と資産の質が注目されている。
中国建設銀行と中国銀行、中国農業銀行は28日に通期決算を発表する予定。
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原題:China Property Crisis Is Rippling Through Its Biggest Banks (1)、China’s Property Crisis Is Rippling Through Its Biggest Banks(抜粋)
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最終更新:3/28(木) 13:44
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