個人株主の満足度、コーポレートガバナンス重視の姿勢明らかに-調査

4/19 14:00 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 米国を中心に顧客満足度調査を行うJ.D.パワーは19日、日本の個人株主が感じている投資先への満足度は、収益面だけでなくコーポレートガバナンス(企業統治)関連の評価にも影響を受けているとする調査を発表した。

調査によると、個人株主が保有する企業に対する中長期的な満足度は、収益性・株主還元、事業内容と商品・サービス、財務安定性といった業績への評価が6割を占めた。一方、株主の権利や平等性、透明性確保、適切な情報開示といったコーポレートガバナンスへの評価も約4割にのぼった。

個人の株式保有率は法人に比べれば高くないが、東京証券取引所が企業に企業統治改革を強く求める中、個人株主がコーポレートガバナンスを重視する姿勢は、改革推進に向けた新たな圧力になりうる。

J.D.パワーの梅沢希一常務執行役は、コーポレートガバナンス関連の要因が約4割を占めたことについて、「事前ヒアリングに基づく予想を超えるウェートで、特に若い世代へのESGへの関心の高さが伺えた」と述べた。

今回の調査は、「自動車」、「銀行」、「証券」、「保険」の4業種、計26社に絞り、それらを保有する個人株主を対象に実施した。業種別の満足度で1位になったのは、自動車ではトヨタ自動車、銀行では三井住友ファイナンシャルグループ、証券ではSBIホールディングス、保険では東京海上ホールディングスだった。

半面、それぞれの業種における満足度で最下位となったのは、三菱自動車、ゆうちょ銀行、野村ホールディングス、かんぽ生命保険だった。

過去1年の株価推移を見ると、個人株主の満足度はおおむね相関していた。例えば業界内の株価パフォーマンスで大きな差がついた自動車部門は、満足度スコアもほかの部門より大きな差異を示した。

梅沢氏は、自動車部門には企業統治関連の満足度で大きな差異がない半面、「収益性などコアな評価基準で差がついた」と分析した。

一方、証券部門は株価推移と満足度の相関が見られなかった。証券業6社の個人株主満足度調査で最下位となった野村HDが、過去一年の株価パフォーマンスではトップだった。

今回の調査はインターネットを通じて3月上旬に実施され、20歳-69歳の6088人の個人株主から回答を得た。公表対象は回答数が100以上だった企業。日本の個人投資家向けの調査は初めてで、反響次第で毎年実施するという。

J.D.パワーは米国を中心に満足度調査事業を展開し、一部企業では経営層の報酬に関連づけられるほどの影響力があるという。

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--取材協力:リード スティーブンソン.

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最終更新:4/19(金) 14:00

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