最新「布団乾燥機」はいったい何が違うのか検証 売れ筋「アイリスオーヤマ」と未発売「abien」を家電のプロが比較

2/15 15:32 配信

東洋経済オンライン

 高温の熱風で布団を乾燥し、カビの繁殖などを抑制できる布団乾燥機。肌寒い時期も、布団乾燥機を使って布団を温めておくことができ、靴の乾燥にも使える。ベランダで布団を干せないようなマンションでも、布団乾燥機があれば安心だ。本稿では人気のアイリスオーヤマ「カラリエ 布団乾燥機 ツインノズル くつ乾燥対応 FK-W2-W」と、発売前の最新布団乾燥機abien(アビエン)「abien HOME DRYER」を比較した。

■「ちょうどいい」アイリスオーヤマ

 布団乾燥機は、マットを使うタイプと使わないタイプがある。マットを使うタイプは、布団の中に専用のマットを差し込み、そのマットに温風を送り込んで布団全体を乾燥させる。温風がマット内を均等に循環するため、布団の隅々までしっかり乾燥できることが特徴だ。ただし、マットを広げたり、たたんでしまったり、準備や片付けに手間がかかる。マットを使わないタイプはマットがないのですぐに使えるため手軽ではあるが、製品によっては隅々まで風が届かないものもある。

 マットがない布団乾燥機が初めて登場したのは、2012年。象印マホービンが、業界で初めてマットを使わない布団乾燥機を発売した。この製品がきっかけとなり、続々登場することとなる。今は手軽さが求められており、マットを使わないタイプが主流となっている。

 その中でもよく売れているのがアイリスオーヤマの製品だ。2015年から2023年まで600万台以上を販売。蛇腹状のノズルが特徴で、シングルタイプノズルとダブルタイプノズルから選ぶことができる。ノズルを伸ばすことによって、布団の中心部まで風が出る先端部を差し込むことができ、効率よく全体を温められる。準備も後片付けもカンタンで、手軽さも評価されている。

 アイリスオーヤマに問い合わせたところ、現在特に売れているのは「カラリエ 布団乾燥機 ツインノズル くつ乾燥対応 FK-W2-W」とのことだ。ツインノズルで、ベッドサイドから頭側と足側で温めることができたり、一度に2枚の布団を温めたり、靴を乾かしたり、さまざまな使い方ができる。価格も手頃であり、1万4800円(公式ショップ価格)で購入できる。

■立体ノズルで温かい空気が効率よく行き渡る

 使用時には、2本のノズルを引き出し、伸ばしてからセットする。ノズルの先端には、独自の「立体ノズル」構造が採用されており、左右と上部にフラップを広げられる仕組みになっている。この立体ノズルによって布団の中に空間ができ、温かい空気が遠くまで効率よく行き渡る。

 あたためモード、冬モード、夏モード、ダニモードを搭載しており、高温・低温の2種類の温風で好みや状況に応じて使い分けられる。タイマーは15分から180分まで設定可能で、タイマーが0になると自動で停止する。なお、温度の上がりすぎを防ぐ3種類の安全装置を搭載しているので安心して使える。

 一方、「abien HOME DRYER」(予想実売価格1万9800円)は、日本のスタートアップ企業abienが昨年12月、クラウドファンディングで1100万円以上を調達した個性的な布団乾燥機だ。一般発売時期は未定。

 アンモナイトの殻をモチーフにした渦巻状のデザイン面に注目されがちだが、機能面でも優れている。中央に配置された大型ファンが空気を効率的に取り込み、渦巻き状の形状を通じて布団全体に均一に送風する仕組みだ。また、付属の平らなノズルを使用することで、温風を横方向に広く拡散させることができる。

 7㎝幅の薄型設計で、丸い本体の形状を生かし、台に乗せて自由に角度を変えられるので、布団乾燥以外にも、衣類乾燥や靴乾燥も角度を変えやすく、温風を自在に当てられる。持ち手はあるが、ツルッと丸い形状なので、アイリスオーヤマと比較すると持ち上げにくい。

 全7モードで、スポット暖房「WARM」、布団のダニ対策「MITE」、布団を隅々まで温める「DRY」、布団や部屋を素早く温める「SPEED」、送風の「CIRCULATE」、衣類や靴を乾燥する「CLOTHING」、ペットドライ「PET」。ボタンはTIMERとMODEの2つで設定するが、ボタンは小さめで文字は見にくい。ただ、ボタンは表示部が目立たない分、見た目はスタイリッシュだ。

 インテリアとしても馴染みやすいデザインなので、これまで隠したい家電であった布団乾燥機を見せる家電として設計し、いつでもすぐに使える魅力がある。クラウドファンディングでは成功しており、今後発売される予定だ。

■abienはパワフルで遠くまで風が届く

 abienは中心に大きなファンを採用しているため、温風が遠くまで届く。一般的なマットがないタイプの布団乾燥機は、枕側から加熱すると足元まで温まらないことがあるが、しっかり隅々まで温風が届いていることに驚いた。サーモグラフィーでもわかる通り、ムラなく熱が伝わっていることがわかる。

 アイリスオーヤマはベッド脇の下に置いて、ノズルをそれぞれ逆方向に向けてセットした。こちらも全体に温風が届くが、一部端のほうで温度が低い場所があった。

 abienの定格消費電力が920W、アイリスオーヤマは760Wなので、やはり全体ではアイリスオーヤマが少しだけパワーが落ちる印象だ。ただ、アイリスオーヤマはラインナップが豊富で、1150Wの最上位速暖モデルもある。価格は2万1780円と高くなるが、ツインノズルタイプでハイパワーの布団乾燥機を求めているのであれば、上位モデルのほうがおすすめだ。

 布団乾燥機としてだけでなく、どちらの製品も靴乾燥機として使用できる点も便利だ。雨の日などで靴が濡れてしまった場合でも、風を当てて素早く乾燥できるため、我が家もよく靴乾燥機として愛用している。

 アイリスオーヤマは、直接ノズルの吹き出し口を靴の中に入れて試用できる。アタッチメントを使えば、2足同時に乾燥させることも可能だ。abienは、角度を変えて少し離れた場所から風を当てる。状況に応じて角度は自由に変えられる。

 アイリスオーヤマのほうが、ノズルを靴の内側まで入れられるので、内側は素早くカラッと乾く。

 また、ニオイもアイリスオーヤマのほうが漏れにくい。我が家は夫や高校生男子の靴のニオイに悩まされている。そんな家庭では、直接ノズルを入れられるほうがおすすめ。温風を離れた場所から内側に当てるとニオイが玄関中に広がってしまう。アイリスオーヤマは、ノズルを中に入れることでニオイが漏れにくいのだ。

 ただ、abienはペットドライヤーとしても使用できる。タオルなどの洗濯物を乾かしたい場合にも使えるので、汎用性は高い。

■手軽さはabien、バランスよく高性能なのはアイリスオーヤマ

 筆者はアイリスオーヤマの布団乾燥機を長年愛用している。しかし、以前使用していたモデルでは、約2年使用した後にノズルの根元が破損してしまったことがあった。蛇腹状のノズルは素材が薄く、本体に比べて耐久性が低いため、仕方がないのかもしれないが、もう少し丈夫にしてほしい。

 abienの課題は、ボタンの表記がわかりにくいことだ。モードを変えて使いたいときも、文字が見えにくく、ボタンも英語表記なので迷うことがある。また、敷布団の上に置いて使う必要があり、布団全体を温められない。

 例えば枕元から入れる場合、ファンの上にかからないように布団をかける。そのため、本体の両端が空いてしまい、敷き布団の一部は加熱ができなくなる。一方、アイリスオーヤマ製品は、本体を布団の外に置けるため、掛け布団で全体を覆って全体を温められる。

 両方使ってみた印象は、アイリスオーヤマは売れているだけあって、使い勝手もよく、布団乾燥機としてまとまっている印象だった。abienはスタイリッシュで部屋に出しておいてもインテリアのアクセントにもなり、パワーも十分。布団乾燥機もさまざまなタイプがあるので、一度にケアしたい布団の枚数や、靴乾燥の方法などで、自分に合うものを選んでほしい。

東洋経済オンライン

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最終更新:2/15(土) 15:32

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