「お酒が飲めないと結婚に不利」は本当か?下戸とのんべえが明かす“モテ”のリアル

4/20 12:02 配信

ダイヤモンド・オンライン

 酒の強さと「モテ」は関係するのか。あるいは、アルコールは恋愛や人間関係の潤滑油となるのか。昔からしばしば議題となるこのテーマではあるが、「アルハラ」や「酒による失敗」が許されない時代となってきた。今、改めて考えるべきは、アルコールで円滑になるコミュニケーションがあるのか否かではないか。下戸とのんべえの人たちに本音を聞いた。(フリーライター 鎌田和歌)

● お酒と結婚しやすさの関係は? ネット民がざわついた相談所の統計

 最近、こんなまとめが一部で話題になっていた。

 【参考】
お酒が飲める人ほど結婚しやすく、逆に飲めない人ほど結婚が不利になることを示した結婚相談所の統計に賛否両論、激論が交わされる(togetter)
https://togetter.com/li/2350970

 もともとは結婚相談事業を行うIBJ社による、以下の婚活市場のデータ分析である。

 【参考】
「2023年度版 成婚白書 1万人の成婚データから見る、少子化を食い止める未婚化対策」
https://www.ibjapan.jp/information/wp-content/uploads/2024/04/2023IBJseikon_hakusyo.pdf

 この内容はネット上で確認することができるが、ネットユーザーが目を止めたのは、この中の「飲酒と成婚率の関係」だ。データによれば、男女ともに酒を飲む人の方が成婚しやすく、その傾向は特に男性で顕著という結果だった。

 他に喫煙と成婚率の関係なども聞いているが、中には血液型と成婚しやすさの関係などもある。白書を全体的に見れば結婚を望む人たちが成婚に至るまでを、地域や年齢、学歴などからデータ分析するものであるが、この「その他要素と成婚しやすさ」の部分は、若干「ちょっとした話のネタ作り程度に」といった感がある。

 難しく考えず、「まあそういうものかもな」程度に受け止めた方がよい類のネタであろうが、意外にSNS上では議論が盛り上がったようだ。

 この結果への反応を見てみると、「確かに(自分の周囲を見てもそう)」という肯定的な意見から、「結婚は判断力をなくさないとできないからだ」といった皮肉なども見られる。

 多く見られるのは、酒の席の方が会話は弾みやすいとか、仲良くなるきっかけとして酒は一つの手段である、といったような意見である。

 これはおそらく、成人の多くが共感するであろう意見で、恋愛関係に限らずその他の人間関係でも、酒の席で距離がグッと縮まることは実際に多い。適量の酒は人をリラックスさせたり、陽気にさせたりするものだし、酒のある席は長く話し込むのにも向いている。

● 酒の席は楽しい でも酒に弱い日本人

 ただし、重要なのは「適量」という点である。これを見誤ると、酩酊して意識をなくしたり、あらぬことを口走ってしまったり、果ては暴力沙汰になったり……と、楽しいどころではなくなる。

 一説によれば、日本人はアルコールに弱い人が多いと言われており、これはアセトアルデヒドを分解する酵素である ALDH2が欠損している人の割合が多いからなのだそうだ

 【参考】アサヒホールディングス「日本人はお酒に弱い人種」
https://www.asahibeer.co.jp/csr/tekisei/health/mechanism.html

 日本の電車や路上では、しばしば酔い潰れて寝ている人がいる。欧米人から見ると、酔い潰れても襲われない治安の良さという意味でも、人前で正体をなくすほど酔っ払うなんて信じられない……という意味でも驚く光景らしいが、そもそも日本人は酒に弱い人が多いのだ。

 ALDH2の欠損率が44%と半数に近い割合であるのだから、体質的に酒が飲めない人も多い。これは近年になって「アルハラ」という言葉をよく耳にするようになったことや、ノンアルコール飲料市場の好調が意味するものと無関係とは言えないだろう。一昔前までは仕事の付き合いの席で1杯目から「ビールは飲めません」とは言えない風潮があったが、今考えればおそらく少なからぬ人が無理をしていたのだ。

 もちろん、「酒が弱い」は「酒が好きではない」あるいは「酒の席が苦手」とイコールではない。実際は酒に弱い酒好きはいくらでもいるし、また下戸でも「宴席は好き」という人もいる。

 ここで改めて考えてみたいのは、それでは本来酒に弱い日本人は、現代において酒の席のコミュニケーションに何を求めているのかである。

● 下戸のビジネスパーソン激白 「酒が飲めなくてもハンデじゃない」

 世の中にはまったく酒の飲めない優秀なビジネスパーソンもいる。そのうちの一人A氏(30代)は20代の頃までは付き合いで飲まされることがあり、路上で泥酔したこともあったという。

 若手から中堅になるにつれ、宴席での勧めをうまく交わすことができるようになり、また時代の変化もあって「一杯ぐらい飲め」と強要する人も減っていった。A氏は酒を飲めないことをむしろ強みだと考えているという。

 「酒が好きで弱い人は、酔うとわかっていても飲んでしまうので、逆にキッパリ飲めなくて良かったと思っています。もともと人と話したり騒いだりするのは好きなので、酒を飲んでいる人のテンションについていけないこともない。下戸は酔っ払いが覚えていない宴席での出来事を覚えているので、情報通が多いです」

 また、酒の席のコミュニケーションについて、こう言う。

 「酒の席でのコミュニケーションと言うけれど実際はそれよりも前の話で、酒が飲めるかどうかというより、宴席を囲みたいような人と一緒に仕事をしているかどうかだと思います。コロナ以降は特に、酒を飲めなくてガッカリされるという風潮も過去のことになったように思います」

 同じく下戸のB氏(30代)も言う。

 「酒に強くても寡黙に飲んでるタイプの上司もいるので、酒がコミュニケーションに役立つかどうかはケースバイケースですよね。最近では副業やリスキリング、自分の趣味に時間を使いたい若手も多いので、飲めないわけでなくてもノンアルコールで乾杯して、職場の飲み会は早めに切り上げる人も多い。そのほうが仕事ができる人に見えて評価されることもある」

 ドラマや漫画で酒が飲めない主人公やメインキャラクターが好意的に描かれることもしばしばあると言い、こういった風潮も「飲めない人」あるいは「あえて飲まない人」を受け入れる土壌につながっているのかもしれない。

 一方、酒が好きで、酒の席でのコミュニケーションを好むC氏(20代)は言う。

 「私の場合は仕事のオンとオフを分けたいタイプなので、酒でオフのスイッチが入る。仕事の人と飲んでいる場合はオンとオフの中間ぐらいになるので、それが居心地良いと感じる人もいるのではないでしょうか。ただ、その場の全員が楽しんでいるのが前提で、だらしなく飲んだり絡んだりするのは御法度だと思います」

● 「酒を飲める方がモテる」は本当なのか 酒好きの意見が深かった

 それでは、酒と恋愛の関係はどうだろうか。下戸のA氏は婚活アプリを利用したことがあるという。

 「酒を好むかどうか、相手が飲む人が良いかどうかをチェックする欄が大体のアプリにありますよね。不利だと感じたことはあまりないです。逆に飲めるにチェックした友人が『じゃあワインも詳しいですか?』とハードルを上げられたことがあるそうで、その方がキツいなと思いました」

 一方、酒の好きなC氏は言う。

 「自分が酒好きなので相手も飲んでくれる方がうれしいですが、『自分に合わせて飲まないでほしい』とか言われない限りは気にしないと思います。婚活アプリで条件を指定できるのは便利ですが、『喫煙する人だけはNG』だった友人が、仕事で出会った喫煙者とあっという間に結婚した例を見ているので、恋愛って何が起こるかわからないですよね(笑)」

 A氏~C氏含め、複数の人とこのトピックを(酒席で)話してみたところ、酒の力でおいしい食べ物がよりおいしく感じることはあるものの、人間関係が円滑になるかと言えばそれは微妙であり、円滑になった場合は、それまでにそれなりの土台が築かれているからではないかというあたりに落ち着いた。

 むしろ酒の力で強引に距離を縮めようとする姿勢の方が、現代では疎まれるし、警戒されかねない。

 酒の席なら腹を割った話ができることもあるかもしれないが、それもそれぞれの酒席への考え方によるところである。対策としては、宴席での効果に何を求めるのか、求めないのか、それが一致しない人とは飲みに行かないほうがマシ、ということくらいであろうか。

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最終更新:4/20(土) 12:02

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