企業年金やパートの収入を足すと50万円を超えます。この場合、老齢厚生年金がカットされるのでしょうか?
老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に、専門家が回答します。
今回は、現在の収入で老齢厚生年金がカットされてしまうかどうかのご相談です。
◆Q:企業年金やパートの収入を足すと50万円を超えます。この場合、老齢厚生年金がカットされるのでしょうか?
「老齢基礎年金6万4800円、老齢厚生年金13万7000円、企業年金9万3000円、議員年金6万8000円、パート収入14万円で月合計収入50万円を超えます。この場合、老齢厚生年金がカットされるのでしょうか?」(トドペンギンさん)
◆A:相談者の場合、老齢厚生年金と議員年金、企業年金の代行部分、厚生年金に加入している場合のパート収入が在職老齢年金制度の計算の対象になります。これらを合計した金額は50万円を超えないため年金は支給停止になりません
60歳以降、厚生年金に加入して給与収入を得ている人が、老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金含む)を受け取る場合、基本月額(老齢厚生年金の報酬比例部分の月額)と総報酬月額相当額(月額給与等+年間賞与金額÷12カ月)を足した金額が、支給停止基準額50万円(令和6年度)を超えると、老齢厚生年金の報酬比例部分の一部もしくは全額が支給停止されます。これを在職老齢年金制度といいます。
相談者「トドペンギン」さんが受け取る収入のうち、在職老齢年金制度の計算の対象になるのは、老齢厚生年金13万7000円、企業年金9万3000円(国の代行部分のみ)、議員年金6万8000円、パート収入14万円(厚生年金に加入している場合)になります。
そもそも企業年金は、「代行年金(国の代行部分)」と「基金独自の上乗せ年金」から成り立っています。在職老齢年金の対象になるのは、企業年金は「代行年金」のみになります。
ちなみに老齢基礎年金のほか、厚生年金に加入しなかった場合のパート収入は、在職老齢年金の計算には含まれません。
「トドペンギン」さんの老齢厚生年金の報酬比例部分13万7000円、議員年金6万8000円、厚生年金に加入している場合のパート収入14万円を合計すると、34万5000円となります。企業年金9万3000円を合わせても、在職老齢年金制度の支給停止基準額である50万円を超えませんので、年金が支給停止されることはありません。
企業年金から支払われる年金額のうち、国の代行部分の金額等、詳細については年金事務所で調べてもらいましょう。
監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
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最終更新:11/30(土) 18:30