5人で「株式会社 嵐」設立が極めて画期的な理由

4/12 11:51 配信

東洋経済オンライン

 4月10日、2021年から活動休止している嵐が5人の連名で新会社「株式会社嵐」の設立を発表。「STARTO ENTERTAINMENT」の公式ホームページで発表されたコメント内容にさまざまな声が飛び交っていますが、好意的な見方が大半を占めています。

 「会社設立=即活動再開」ではなく、活動内容などが不明であるにもかかわらず、なぜポジティブなムードが広がっているのか。嵐のファンと、テレビ・新聞・芸能事務所などの業界関係者を緊急取材すると、今後のアイドルシーンに影響を及ぼすいくつかの可能性が浮かび上がってきました。

 まず嵐が発表したコメントを紹介しておきましょう。

この度、我々嵐は5人で会社の設立を致しましたこと、ご報告申し上げます。
1999年にデビューし、この2024年は25周年の年にあたります。メンバーも全員40代を迎えました。
これまで以上に主体性をもち、これまで以上に主体的に判断をし、これまで以上に主体的に行動したい。
そして何よりも、日々応援して下さるファンの皆さまに、より近くに感じてもらいたい。より積極的でありたい。

そんな想いから5人で何度も何度も話し合い、会社を設立致しました。
一方で、我々5人だけで出来ることには限界もあります。これまで共に歩んできたスタッフの力も時に借りながら、未来を描くための準備を進めていけたらと思います。
今後とも、嵐をどうぞ宜しくお願い致します。
嵐 相葉雅紀 松本潤 二宮和也 大野智 櫻井翔

■業界関係者は「活動再開」で一致

 主にファンを喜ばせたのは、「5人」「2024年は25周年の年」「これまで以上に主体性をもち」「より積極的でありたい」「5人で何度も何度も話し合い」「嵐 相葉雅紀 松本潤 二宮和也 大野智 櫻井翔」というフレーズ。

 「5人」は、活動休止中の大野智、独立した二宮和也も含めた5人であることを強調し、文中で3回も使われました。ちなみにファンクラブサイトでの報告は5時5分であり、「5」にこだわったことがファンを喜ばせています。

 次に「2024年は25周年の年」は、STARTOではなく彼らから“25周年”というフレーズが出たことが重要であり、何かの動きを期待させるもの。さらに「これまで以上に主体性をもち」「より積極的でありたい」「5人で何度も何度も話し合い」という力強い言葉の連続が「今度こそ本当に活動再開するかも」という期待感を高めています。

 また、最後の「嵐 相葉雅紀 松本潤 二宮和也 大野智 櫻井翔」は、頭文字を順に読むと「AMNOS」となり、これは楽曲「La tormenta 2004」に登場する歌詞。ファンにとってはおなじみの連名であり、「嵐は変わっていない」というメッセージを感じさせました。

 それでも「本当にアイドル活動をするための会社なのか」「大野くんは復帰する気なんてないと思う」「活動再開したとしても数年後でしょ」などと懐疑的な声も少なくありません。しかし、業界関係者たちの声を拾っていくと、全員が「ここまで言って何もないのはありえない」「いつかはわからないが5人での動きは確約された」などの見方でした。

 中には「秋から暮れにかけての時期でドームクラスのライブがあってもおかしくない」「デビュー日の11月3日という可能性が高い」とまで言う人もいたのです。

 「会場はエージェントであるSTARTOがすでに押さえている」という報道もありましたが、アイドルとしてはブランクがあるだけに準備期間が必要など、早期実現のハードルが高いことも事実。さらに本人たちが“周年”などの節目にこだわり過ぎないニュアンスであることも含め、現段階で「年内決定」のように断定的に報じるネット記事などには違和感があります。

■活動再開を発表するのは嵐の5人

 それでもコメントの中で「主体性」を3度も繰り返したことから、確定的なのは「5人が活動の意思決定をしていくこと」「STARTOとはエージェント契約であること」の2点。

 さらに株式会社嵐の代表取締役を弁護士で映画製作会社などを経営する四宮隆史さんが務め、活動再開の時期こそ未定ではあるものの、「タイミングが来たらメンバーから発表される」というニュアンスのコメントを発しました。ファンにしてみれば、ここまで言われたら期待せざるをえないでしょう。

 エンタメに精通し、権利関係にも強い社長のもとで、嵐はどんな活動をしていくのか。

 コンサートなどイベントの開催、グッズや出版物などの販売、ファンクラブ運営、著作物などの管理など、嵐とファンをつなぐさまざまなマネジメントが行われると見られています。

 ただ、ファンも業界関係者も「以前のように戻ることはない」という見方でほぼ一致。これは大野さんが活動休止に至った経緯や宮古島ではじめたビジネス、あるいは全員40代になり、5人中3人が結婚したことなどを踏まえると、「5人のタイミングがそろった時だけのスポット的な活動ではないか」「多くても数年に一度のツアー程度だろう」「テレビやネットなどのメディアにはあまり出ないかもしれない」などと見られています。

 しかし、もしライブやリリースなどファン向けのスポット的な活動にとどまったとしても、それを国民的アイドルの嵐がする波及効果は大きく、旧ジャニーズ事務所はもちろん他事務所のグループにも影響を及ぼすでしょう。

 まず「所属事務所が違うメンバーが同じグループで活動する」こと。また、「会社を立ち上げて独立しつつ、前所属事務所とはエージェント契約でつながって円満な関係を保つ」こと。さらに「権利関係の問題をクリアして新旧の楽曲を歌う」ことや「それらが世間の理解を得られる」こと。

 嵐がこれらを実証したら、今後は「アイドルグループが“解散”という形を選ばなくて済む」「解散や休止中のグループが『これなら活動再開できる』と思い直す」という可能性が高まるのではないでしょうか。

■世界でも稀有なレジェンドアイドルに

 それぞれ異なるスキルを持ち、40代までトップシーンで駆け抜けた彼らなら、「『嵐の後継者となるようなグループを育成する』という形でファンを喜ばせるかもしれない」。ある芸能事務所のマネジメント担当者がそんなことを言っていました。もちろんこれは何の根拠もない噂話に過ぎませんが、株式会社嵐の設立がそれほどの期待感を抱かせていることの証でしょう。

 活動休止期間中の3年あまり、5人はリフレッシュやスキルアップなどの時間が取れたのではないでしょうか。また、ジャニー喜多川氏の性加害問題をきっかけに、あらためて嵐というグループやアイドルそのものについて考えたことは想像にかたくありません。

 そのうえで「STARTOとの関係を保ちながら自立する」という決断をした彼らは今後ステージでどんな姿を見せるのか。仮にブランクでパフォーマンスに多少のかげりが見えたとしても、精神的なたくましさを増し、グループへの思いを再認識した彼らならファンを魅了させられるだろう……今回のコメントはそんな力強さを感じさせるものでした。

 そして彼ら5人が活動頻度に限らず現役アイドルとして存在し続けることで、日本国内だけでなく世界でも稀有なレジェンドアイドルとして認識されていく可能性もありそうです。具体的な発表はまったくないにもかかわらず、業界関係者の間でこのような言葉が飛び交っているのは、やはり嵐が替えの利かないグループだからでしょう。

東洋経済オンライン

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最終更新:4/15(月) 18:38

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