株式週間展望=日銀利上げ警戒、下値不安も出尽くしへ

1/17 17:29 配信

ウエルスアドバイザー

日経平均予想レンジ:3万7600-3万9200円

 今週の日本株相場は、トランプ米次期大統領の言動と日米の金融政策の先行きをめぐり、様子見姿勢が強まる展開となった。日経平均株価は下値を模索し、1カ月半ぶりの水準まで下落。日銀の1月利上げ確度が高まったことから、本格的なアク抜けは来週末ごろへ先送りされる可能性がある。

<半導体は好悪材料が混在>

 今週は日銀の正副総裁が1月金融政策決定会合(23、24日)での利上げ判断に言及したことを受け、マーケットに警戒感が走った。また、米国では前週末に出た12月雇用統計の強い内容を受けて、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げペース鈍化の観測がより強まった。外国為替相場で円高が進み、日銀のタカ派スタンスと相まって日本株の上値を重くしている。

 市場では、20日の米大統領就任式が1つの転換点として意識されてきた。トランプ氏は就任直後に関税引き上げに踏み切ることも予想されているが、実際にそう出れば、いったん悪材料出尽くしと考えることができるためだ。しかし、従来は3月以降とみられていた日銀の利上げが前倒しされそうな雰囲気になったことで、投資家が動きにくい状況は1月会合まで解消されないかもしれない。

 日本株への影響が大きい半導体セクターに関しては、好・悪両材料が混在している。16日発表の台湾TSMCの業況には市場予想以上の勢いがあり、今年の設備投資も前年比で大幅な拡大を見通した。AI(人工知能)向け需要が依然として旺盛な状況を示している。

 一方で、米中対立の激化を背景に、中国市場への輸出規制が一段と厳格になる流れもある。ただ、それでもTSMCの投資計画は中央値が400億ドル(約6.2兆円)と巨額で、増加率も前年比で3割超となる。シェアの高い日本の製造装置メーカーの事業環境は明るいといえよう。

<IMF経済見通し期待>

 現状はヘッジファンドなどにとって、円買いと日経平均先物の売りをセットで仕掛けやすい局面だ。積極的に買い支える材料が見当たらない以上、下方向に極端な値動きを余儀なくされるリスクはぬぐえない。ただ、それも日銀会合に前後してピークアウトすることが期待される。

 また、場合によっては望外の買いが流入する可能性もある。17日、日本時間の夜に発表が予定されているIMF(国際通貨基金)の世界経済見通しで、日本の成長率が上方修正されるとみる向きがある。同見通しはグローバル投資家が資金配分の参考にするため、外国人買いの呼び水として引き上げが期待される。

 再び企業の決算シーズンにも突入する。先行する米国では来週に3Mやネットフリックス、J&J、GEが控え、翌週は日本企業の10-12月決算発表も増え始める。アク抜けのタイミングと重なれば、日経平均を押し上げる原動力になるかもしれない。

 来週の日経平均の予想レンジは3万7600-3万9200円とする。国内は20日に11月機械受注が発表され、24日には12月消費者物価も出るほか通常国会が召集される。海外は20日に世界経済フォーラムが始まり、21日はドイツ1月ZEW景況感指数が控える。

提供:ウエルスアドバイザー社

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最終更新:1/17(金) 17:29

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