米タームプレミアムが再びマイナスに-トレーダーの間に景気後退懸念

11/21 17:13 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 米国債投資家の間では、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる金融当局が経済のソフトランディング(軟着陸)を達成することができるかどうか、懐疑的な見方が広がりつつある。

これがいわゆるタームプレミアムの最近の動きからうかがわれるメッセージだ。タームプレミアムは再びマイナスに転じ、期間が長めの米国債の保有に伴うリスクの見返りに債券の買い手が追加的な利回りを求めていないことが示唆された。

ニューヨーク連銀のデータによれば、米10年債のタームプレミアムの指標は17日にマイナス1.7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と、10月後半に記録したプラス48bpの高水準から落ち込んだ。

10月の米雇用統計とインフレ統計が予想よりも弱めの内容だったことで、金融当局が2024年に利下げに急転換するとの観測がトレーダーの間に台頭し、国債相場は今月に入り上昇傾向にある。

拡大する財政赤字の穴埋めに国債発行が増えて、需要を圧倒するとの懸念もあるものの、米経済が減速しつつあるとの兆候の方が市場に響いている形だ。相場上昇は24年のリセッション(景気後退)入り懸念の高まりを示すものでもある。

経済や金利の見通しを巡る不確実性の高まりを反映し、タームプレミアムは9月に2年強ぶりにプラス転換していた。ただ、プラスの期間は長続きしなかった。10年債利回りが10月23日に付けた16年ぶり高水準の5.02%から0.5ポイント余り低下したのに伴い、タームプレミアムも縮小した。

MUFGセキュリティーズアメリカの米マクロ戦略責任者、ジョージ・ゴンキャルベス氏は供給も引き続き懸念材料だとし、それを踏まえると、マイナスのタームプレミアムは潜在的に厳しい経済見通しを示唆するものだとの見解を示した。

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原題:Term Premium Turns Negative as Bond Traders Boost Recession Bets(抜粋)

--取材協力:Michael Mackenzie.

(c)2023 Bloomberg L.P.

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最終更新:11/21(火) 17:13

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