台湾でM7.7、99年以来の大地震-TSMCは朝までに生産再開へ

4/3 9:38 配信

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(ブルームバーグ): 台湾で3日午前7時58分(日本時間同8時58分)ごろ、過去25年で最大規模の地震が発生した。台湾当局によると、20棟を超える建物が倒壊し、934人が負傷したほか、56人が閉じ込められ、少なくとも9人が死亡した。

米地質調査所(USGS)によれば、地震の規模はマグニチュード(M)7.4、台湾東部・花蓮市から18キロ付近が震源と推定される。花蓮市は台北の南東約200キロに位置し、地震の影響は同市とその周辺に主に集中しているもようだ。中央通信社が伝えたところでは、同地域への鉄道・道路交通網のリンクに影響が出ている。

民放TVBSは、地震で一部倒壊した花蓮市のビルの映像を放映した。花蓮のオフィスと学校を3日は休業にすると行政当局が明らかにした。日本の気象庁は台湾付近の地震の規模をM7.7に更新した。

半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は、生産ラインの一部エリアからスタッフを避難させた。広報担当によると、スタッフは全員無事という。また、極端紫外線(EUV)露光装置など重要な機器に被害はないもようだとし、4日朝までに生産を再開できるとの見通しを示した。

聯華電子(UMC)のスタッフも新竹と台南の製造拠点の一部施設から退避し、半導体製造装置の稼働が一部停止した。エイサーの陳俊聖最高経営責任者(CEO)は操業に重大な影響はないとした。

鴻海は操業が正常化したとし、地震による業務や財務への影響は軽微だと、取引所に提出した文書で明らかにした。

人工知能(AI)向け半導体で圧倒的シェアを占めるエヌビディアとアップルの主要サプライヤーであるTSMCは3日遅くの発表文で「EUV露光装置の全てを含む重要な機器に損傷はない」と説明。一部施設の少数の機器に被害があったが、完全復旧に向けて全力で取り組んでいると付け加えた。

地震に対する市場の反応はかなり落ち着いていた。3日の台湾株式市場では、TSMCの株価が一時約1.5%下落したものの、UMCと台湾株の指標、加権指数の下げは1%未満にとどまり、台湾ドルの対米ドル相場も安定して推移した。米国市場ではTMSCの米国預託証券(ADR)が朝方の取引で1.9%上昇。UMCのADRはほぼ変わらずとなっている。

世界の先端半導体の大部分を生産する台湾は、グローバル経済と市場にとって決定的に重要だ。ノートパソコンやマザーボード、ネットワーク機器向けで世界市場の半分以上を占める現状を考えれば、今回の地震被害が生産に及ぼす潜在的な影響が懸念される。

米アップルの「iPhone(アイフォーン)」から車載機器に至るまで、搭載される半導体の大部分をTSMCやUMC、日月光投資(ASEテクノロジー・ホールディング)といった台湾企業が製造する。地震のわずかな振動でも精密加工された半導体のバッチ全体を破壊する恐れがある。

中央気象局の3日の会見によると、今回の地震は1999年に台湾中部で発生し、2400人余りが犠牲となった「921大地震」以来の規模という。台湾電力によれば、台湾の原発は引き続き正常に運転されており、電力供給も安定している。空の便に影響は出ていない。

沿岸部への津波到達の脅威は去ったと米ハワイの太平洋津波警報センター(PTWC)は発表した。

日本の気象庁は津波警報を沖縄本島地方、宮古島・八重山地方に発令し、その後注意報に切り替えたが、正午までに全て解除した。

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原題:Worst Taiwan Quake in 25 Years Kills Nine, Disrupts Chips (5)、TSMC Facilities to Resume Production Overnight After Quake(抜粋)

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最終更新:4/4(木) 1:02

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