頼まれても「ノー」と言えるようになるコツ5つ 「忙しいだけの仕事」を増やさないテクニック

4/16 14:02 配信

東洋経済オンライン

制限なく仕事を引き受けると、大切な仕事に悪影響が出ます。仕事の数は少なくても確実に仕上げる方が、たくさんの仕事がどれも中途半端なままより、ずっとよいはずです。
確実に仕上げるべき仕事はどう選べばよいのでしょうか? 
マーク・フォースター氏著、青木高夫氏訳の『仕事に追われない仕事術マニャーナの法則・完全版』から一部を抜粋、再編集してお届けします。

 毎日忙しく、たくさんの仕事をこなしている人が「よい仕事をしている」とは限りません。単に「仕事をこなす」ことと「目標に向けて行動する」ことは違います。

 私がおすすめしたいのは「本当の仕事」と「忙しいだけの仕事」を区別することです。

 「本当の仕事」とは、目標に近づくための仕事です。そのためには、あなたの能力すべてを使わなければなりません。つらい困難にぶつかることもあるし、限界にチャレンジする必要もあります。ときには「もう嫌だ」と思うこともあるでしょう。

 そして、「本当の仕事」には、綿密な計画と入念な思考の時間が必要です。

 しかし、そのせいで「忙しいだけの仕事」の方が仕事らしく見えるのです。あちこち飛び回って、慌ただしくしている人の方が、静かに座って計画を練る人より忙しそうに見えませんか? 

 あなたの上司や同僚はもちろん、あなた自身も自分に対してそんな誤解をしがちです。

 しかし、はっきり言ってしまえば「忙しいだけの仕事」は「本当の仕事」をしない口実に過ぎません。

 また、「忙しいだけの仕事」は、人、立場それぞれで違います。ある人には「本当の仕事」でも、別の人には「忙しいだけの仕事」だということもあります。

 例えば、アシスタントに任せるべき仕事を自分でした場合、それは「忙しいだけの仕事」をしたに過ぎません。そして、アシスタントの方は「本当の仕事」をするチャンスを逃したことになります。

 あなたの仕事のうち、どれが「本当の仕事」なのかを明確にしてください。見極めるべきは仕事だけではなく、あなたの人生でも同じです。「本当の仕事」だけが、あなたの人生に直接かかわることになるのです。

■まず「ノー」と言ってしまう

 「本当の仕事」を見極め、目標に近づく極意とは何でしょうか? 

 1つ提案するなら「できない『イエス』は言わない」こと。もっと簡単に言えば「まず『ノー』と言ってしまう」ことです。

 基本はこれだけです。しかし「ノー」と言う技術が身についていなければ、仕事がいくらできるようになっても「忙しいだけの仕事」が増えるだけです。

 仕事の効率がよくなって時間の余裕ができると、そこには必ず新しい仕事が押し寄せてきます。そこに「忙しいだけの仕事」を入れて、それをテキパキと片づけたところで、「本当の仕事」には何の影響もありません。

 さらに注意すべきは、無意識のうちに「忙しいだけの仕事」の出現を願い、それを「本当の仕事」をしない言い訳にしてしまうことです。

 ビジネスでもプライベートでも、予定がいっぱいという状況は、まず間違いなく「忙しいだけの仕事」を言い訳にして「本当の仕事」を避けているという状態です。

 「なぜ、私はいつも忙しいのか?」をよく考え、逃避行動のメカニズムを知ることが、生産性の低い忙しさから脱出する第一歩です。

 ある仕事が、あなたにとってどれだけの価値を持つかー。これを決めるのはあなた自身です。

 もし「忙しいだけの仕事」ばかりに時間を割いているのなら、その原因は、とりあえず「イエス」と言って上司に見せかけの忠誠心を示したり、どうやって「ノー」と言うのかわからなくて差し出された仕事をすべて引き受けていたり、そこにある仕事を勝手に「私の仕事だ」と思い込んでいたりといった状況でしょう。

 あるいは「本当の仕事」から逃げるために「忙しいだけの仕事」の陰に隠れている可能性もあります。新しい仕事が来たら、引き受ける前に必ず「この仕事は、既存の仕事より価値があるか?」をまず自分に問いかけることです。

 すでに、毎日はやるべき仕事で埋め尽くされていることを忘れてはいけません。それでも引き受けるなら、抱えている仕事をどれかあきらめる必要があります。

 誰にでも、何かを頼まれて反射的に「イエス」と答えてしまい、後悔する傾向があります。こうして「忙しいだけの仕事」が増えていくわけです。

 この傾向を絶ち切るには、「ノー」と言える人になる必要があります。そのためには、何か頼まれた時のとりあえずの反応を「イエス」から「ノー」に変えることです。

■「ノー」と言う5つのコツ

 これから「ノー」と言うコツを紹介します。このやり方で、1日に何度「ノー」が言えるか試してください。

 ■ ヒント1 落ち着いた声と態度を保つ

 「ノー」と言う時は、落ち着いたトーンでの発声を意識してください。嫌な素振りをしてはいけません。反対に、弱気になったり、悩んだりするのは禁物です。

 ■ ヒント2 言い訳しない

 弁解してはダメです。あなたの価値観に基づいて、理由を説明してください。例えば「クルマがないから行けない」と言うのではなく「娘と過ごす時間を増やしたいので行かない」とあなたの価値観を伝えましょう。

 ■ ヒント3 考え込まず、当たり前のように

 「頼んでくれるのはうれしいけれど、今、引き受けられる状況じゃないんだ」と気軽に言ってみてください。

 深く考える必要はありません。「そこを何とか」などと食い下がられても、同じ調子でくり返し答えることです。

 「今、仕事の仕上げに集中している」といった理由もよいでしょう。当たり前の説明であればあるほど、相手が要求をくり返す可能性は少なくなります。

■最後は自分の意思で決める

 ■ ヒント4 現状を説明し、仕事を選択してもらう

 もし、仕事を頼んだのがあなたの上司なら「今の仕事の大切さを考えると、新しい仕事は難しいと思います。

 期限を延ばしていい仕事があるでしょうか?  そうすれば、この仕事に取りかかれると思います」とあなたの現状を説明しましょう。ここでも、ニュートラルな発声を忘れずに。

 ■ ヒント5 引き受けるなら、自分の意思で

 「ノー」と言った後で気持ちが変わり、やはりその仕事を引き受けると決めるならば、それは問題ありません。その仕事がしたいから引き受けるのであって、義務感だけで仕事をしてはいけません。

 くり返しますが、大切なのは、まず「ノー」と言ってしまうことです。
しかたなく引き受けたり「悪いなあ」と思いつつ断るのではなく、「心から『イエス』と言えるか?」を自分に問いかけてみてください。

 答えが「ノー」ならやはり断るべきです。「僕は、コミットできない仕事は断るのをルールにしています。この仕事を責任を持って引き受けることはできません」と伝えることです。

 いいかげんな仕事をしても、相手に迷惑をかけるだけです。あなたも引き受けたことを後悔することになるでしょう。

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最終更新:4/16(火) 14:02

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