中国の「ロボタクシー」事業が本格的な成長段階に 小馬智行、文遠知行、蘿蔔快跑の3社が規模拡大競う
「ロボタクシー」と呼ばれる自動運転タクシー事業が本格的な成長段階に入ってきた。
中国の自動運転スタートアップの小馬智行(ポニー・エーアイ)は5月20日、2025年1〜3月期の決算を発表。同四半期のロボタクシー事業の売上高は1230万元(約2億4377万円)と前年同期の3倍に増加した。
決算報告書によれば、同社のロボタクシー事業の売り上げは(乗客から受け取る)運賃収入と(運行会社向けの)技術ソリューション提供料という2種類の収入から成り立っている。
■関連収入や利用件数が急増
同じく中国の自動運転スタートアップの文遠知行(ウィーライド)は、翌5月21日に発表した1〜3月期決算でロボタクシー関連の売上高を初めて開示した。その額は1610万元(約3億1907万円)で、総売上高に占める比率が前年同期の11.9%から22.3%に上昇した。
なお、文遠知行のロボタクシー関連売り上げにはサービス収入のほかにロボタクシー車両の(他社への)販売収入も含まれている。
中国国内におけるロボタクシーの事業化は、小馬智行、文遠知行およびネット検索大手の百度(バイドゥ)の傘下にある蘿蔔快跑(アポロ・ゴー)の3陣営が先導している。百度はロボタクシー事業の売上高を開示していないが、1〜3月期の決算報告書の中で、蘿蔔快跑の同四半期のサービス利用件数が延べ140万件に上り、前年同期比75%増加したと明かした。
現時点では、中国国内のロボタクシーはまだ(事業エリアや運行台数が制限された)テスト営業の段階にある。だが2024年末から2025年初にかけて、北京市、湖北省武漢市、広東省広州市などの主要都市(の所管当局)が相次いで規制を緩和し、より多くの一般市民がロボタクシーを利用することが可能になった。
ロボタクシーの開発企業にとって、規制面の要件をクリアした後の最優先の課題は、車両の生産コストや運行コストを速やかに引き下げ、サービスの規模拡大と採算の確保を図ることだ。
■「収益化への道のり見えた」
「2025年の最大のミッションとして、ロボタクシーの次世代車両の量産と大量投入を進める。次世代車両は4〜6月期に量産段階に入り、自動運転システムのハードウェアのコストを旧型比7割引き下げて経済性を高める」。小馬智行の彭軍CEO(最高経営責任者)は、1〜3月期の決算説明会でそう述べた。
「わが社はロボタクシー車両のセンサー・モジュールのコストを過去5年間で7割以上低減した。次世代の車両では、さらに2〜3割のコストダウンを目指している」。文遠知行の李璇CFO(最高財務責任者)は、同じく1〜3月期の決算説明会でそう強調した。
百度の李彦宏・董事長(会長に相当)は、やはり1〜3月期の決算説明会で、ロボタクシー事業に関してより長期的な視点から次のようにコメントした。
「ハードウェアのコストは引き続き下がり、規模拡大によるスケールメリットで(運行サービスの)事業効率も上がっていく。ロボタクシーの収益化への道のりはすでに明確に見えている」
(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は5月25日
東洋経済オンライン
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最終更新:6/10(火) 16:02