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新興国を含む全世界の株式1万銘柄以上に超分散、ゆうちょ銀行が「全世界超分散株式ファンド」取り扱い開始

5/21 17:39 配信

ウエルスアドバイザー

 日興アセットマネジメントは5月17日、日本や新興国を含む世界1万超の銘柄に幅広く分散投資する「全世界超分散株式ファンド」を新規に設定し、運用を開始した。当初設定は自己資金で行い、5月20日からゆうちょ銀行で取り扱いが始まった。同ファンドは新NISAの成長投資枠の対象ファンドになっている。新NISAのスタート以来、新興国を含む全世界の株式インデックス「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」に連動するインデックスファンドを使った積立投資が人気を集めているが、この全世界株式(オール・カントリー)の構成銘柄は約2900銘柄だが、新ファンドは約1万3000銘柄に分散投資し、かつ、独自の観点に基づいた評価の高い銘柄は組み入れ比率を高く持つことで中長期的にインデックスを上回る運用成果をめざす。新NISAを使った運用の選択肢の1つとして注目したい。
 

 同ファンドの実質的な運用は、米国のディメンショナル・ファンド・アドバイザーズのシステマティック運用によって行う。ディメンショナルは、ノーベル賞受賞者などファイナンスにおける高名な学術研究者と深い協業関係を構築し、学術研究を活かした運用戦略を特徴としている。世界15の運用拠点で約1600人という比較的少ない社員数で、運用資産残高は約6770億米ドル(約95兆円)という巨額の運用資産を運用しているユニークな会社だ。
 

 「全世界超分散株式ファンド」では、市場をアウトパフォームする要因になり得る「企業規模(小型株の方が市場をアウトパフォームする)」、「相対価格(バリュー株は市場をアウトパフォームする)」、「収益力(高い収益力の企業の方が市場をアウトパフォームする)」という3つの観点で高く評価した銘柄の組み入れ比率を相対的に高く設定した運用を行う。また、リスク管理、コスト管理の観点からも調整を行った上でポートフォリオを構築し、これらをシステマティックに行うことによって、1万銘柄を超える銘柄を対象としたポートフォリオを相対的に低いコストで構築し、管理することが可能になっている。同ファンドの信託報酬率は投資対象となる投資信託証券の信託報酬率を合わせた実質的な負担で年0.99633%程度(税込み)となる。
 

 新ファンドと同じ運用戦略で運用する類似ファンドは2011年9月からの運用実績があり、2024年2月末までに円換算ベースで100の基準価額が558へと約12年半で5.56倍になっている。直近のパフォーマンスをたとえば、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」との年間パフォーマンスを比較すると、勝った年と負けた年があり、5年程度の運用成績では優劣を見分けることは難しい。実質的な評価としては、より幅広く分散投資し、かつ、小型・バリュー・高収益にフォーカスしたことによる市場をアウトパフォームする期待と、運用コストの差(新ファンドの年0.99633%とオルカンの年0.05775%)を比較して評価することになりそうだが、現実的には銀行の窓口でも購入できる商品とオンライン販売専用ファンドは同じ土俵には乗らない。銀行窓口で販売される商品でも「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」に匹敵する魅力を備えた商品が現れたということだろう。
 

 全世界株式(オール・カントリー)というカテゴリーは、最大人気の「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の信託報酬率が年0.05775%(税込み)という株式公募ファンドとしては、業界で最低水準になっている。コスト競争でより低い水準を競っても、実質的な運用成績にどれほどの影響があるか計測するのが難しい水準になってしまっている。これを上回る魅力は、アクティブファンドとして、いかに安定的にインデックスをアウトパフォームする実績を示すかということになるが、現実問題としてはアクティブファンドでやや高いコストを負担しながら長期にわたってインデックスファンドをアウトパフォームし続けるのはかなり難しいということが過去の実績では示されている。ただ、「全世界超分散株式ファンド」は、アクティブファンドの中でも「システマティック運用」を活用することによって、約1万3000銘柄という人間が一つひとつ内容を確認していくことが不可能なくらいに多くの銘柄を組み入れ可能とする魅力を提供することに成功している。同じカテゴリーで同じようなコンセプトの下で運用を行うファンドの中にも、工夫次第で異なる価値を提供することができる。投資家のニーズをきめ細かく汲み上げる努力が続くことが重要だ。(イメージ写真提供:123RF)
 

ウエルスアドバイザー

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最終更新:5/21(火) 17:39

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