株式週間展望:中銀ウイーク、押し目は買いで日経平均5万円に再挑戦

10/24 17:24 配信

ウエルスアドバイザー

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日経平均予想レンジ:4万8300-5万800円

 今週は高市新首相の誕生が迫った21日の前場に、日経平均株価が史上初の5万円に肉薄した。その後はAI(人工知能)半導体ブームの先行きに生じた懸念などで勢いがいったん鈍化したものの、相場のボルテージは冷めていない。来週は日米で中銀イベントが控えるが、押し目は買いで向かいたい。

<高市トレードが継続>

 21日に4万9945円の取引時間中最高値を記録した日経平均は、大台を目前に調整を余儀なくされた。トリガーは、米国時間の同日に出たアナログ半導体世界最大手テキサス・インスツルメンツ(TI)の10-12月売上見通し。その内容は市場予想に届かず、AIバブルを投資家が見つめ直す要因になった。日経平均はソフトバンクグループ <9984> やアドバンテスト <6857> といった値がさハイテク株の値崩れが響き、5万円のマイルストーンが遠のいた格好だ。

 しかし、より重要なのは、まだ「高市トレード」が機能している点だ。ハイテク株がプチ・ショックの様相を呈した22日もTOPIX(東証株価指数)が終値・取引時間中ともに最高値を更新し、日経平均が大幅に下落した23日の東証プライムの騰落銘柄数は値上がりが値下がりを大きく上回った。防衛などの政策関連株の人気は根強く、新興市場にも資金がめぐり始めている。

 AI半導体に関しては、TIの売上見通しがバブルの終えんを告げたわけではないだろう。逆に米インテルは、コンセンサスを実質的に上回る強気な10-12月の売上見通しを打ち出した。ただ、関連株は高値警戒感により悪材料に敏感になってきた感もある。そのため、従来のようにハイテクがひたすら日経平均を引っ張る状況は変化するかもしれず、少なくとも30日に予定される米中首脳会談の実現までは予断を許さない。早期に5万円を突破し大台を固めるには、より広範に物色が拡大する展開が求められる。

 そうした中で、来週から発表が本格化する日本の3月期企業などの7-9月決算が重要になる。AI中核のアドバンテスは28日に7-9月業績を開示する。先行組の業況からはAI景気が電子部品などの周辺セクターにも浸透しつつある点がうかがえる。各社の株主還元も注目される。トランプ関税の影響は懸念材料だが、米ゼネラルモーターズが今年度の業績予想を増額するなど明るい兆しもある。

<日銀年内利上げは織り込み済みか>

 来週はFOMC(米連邦公開市場委員会、28・29日)と日銀の金融政策決定会合(29・30日)が予定されている中銀ウイークだ。日本時間のきょう24日夜には、政府機関の閉鎖で公表が遅れていた米9月CPI(消費者物価指数)が出る。コアベースの市場予想は前年同月比プラス3.1%(前月比はプラス0.3%)となっている。利下げ観測の変動要素ではあるが、足元の関心は物価よりも雇用に重きが置かれていることを踏まえると、わずかな上ブレであれば市場は動じないと考えられる。

 FOMCでの政策金利引き下げの確度は高く、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は翌12月会合での追加利下げ期待にも水を差すことはしないと考えられる。ただ、仮に政府機関が来週再開して9月雇用統計が即座に公表される可能性には注意をしておきたい。その内容が意外に強ければ、前提が揺らぎかねない。

 FRBとは対照的に、日銀はここ直近で当局者らがタカ派的な発言を繰り返しており、10月会合での利上げ強行シナリオを完全にはぬぐえない。予想通り据え置きの場合も、植田総裁は会見で引き続き利上げに意欲を示す公算が大きい。もっとも、高市政権は緩和的な金融環境を志向しているとみられる上、年内の日銀の利上げに関しても市場関係者はおおむね織り込んでいると考えられる。このため、株高や円安(つまり高市トレード)への障壁にはならない可能性がある。

 そして28日には高市首相がトランプ米大統領との初会談に臨む。両首脳の信頼関係の構築や関税の日米合意の履行姿勢が確認できれば、日本株には好材料となりそうだ。また、防衛費の増額やレアアース(希土類)の供給網での連携、造船支援などの個別テーマにも関心が集まる。来週の日経平均の予想レンジは4万8300-5万800円とする。下値リスクはまたぞろ頭をもたげている金融所得課税の強化論の活発化と、予想以上の原油高だ。

提供:ウエルスアドバイザー社

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最終更新:10/24(金) 17:24

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