【米国市況】株・国債は終盤に失速、FRB議長発言で-145円台前半

6/19 5:58 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 18日の米株式市場でS&P500種株価指数はほぼ変わらず。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が、関税による経済の不確実性やインフレリスクについて言及したため、終盤に失速した。米国債相場も伸び悩んだ。

S&P500種は一時、節目の6000を上回ったものの、結局は同水準を下回って終えた。

連邦公開市場委員会(FOMC)は定例会合で、主要政策金利の据え置きを決定。年内2回の利下げを引き続き予想した。今年の経済成長見通しを引き下げた一方、失業率とインフレ率の見通しは引き上げた。パウエル氏は関税がインフレに及ぼす影響がより根強い可能性もあると語った。議長としての任期が満了した後もFRB理事として留任するかどうかについては言及を避けた。

ノースライト・アセット・マネジメントのクリス・ザッカレリ氏は「当局は明らかに様子見の姿勢を続けている」と指摘。「関税がインフレを加速させるか、雇用市場が弱含み始めるのかを見守っている。二大責務のどちらが最初に影響を受けるかによって、その方向性が決まるだろう」と話した。

地政学情勢にも市場の関心は高い。トランプ米大統領は、イランは核問題を巡る合意の機会を台無しにしたと述べる一方、米国がイスラエルによる対イラン軍事攻撃に加わるかどうかを巡っては言質を与えなかった。

プリンシパル・アセット・マネジメントのチーフグローバルストラテジスト、シーマ・シャー氏は「ドットプロット(金利予測分布図)に変化があれば、将来の政策経路について当局者が明確なシナリオを描いているとのシグナルと受け取られかねない。経済の先行きが依然として不透明であるなか、当局者自身も今後の展開を読み切れていないのが実情ではないか」と述べた。

その上で「最終的に第4四半期後半まで利下げを見送り、今年の利下げは25bpの1回にとどまると当社ではみている」と語った。

国債

米国債相場は小幅まちまち。FOMC政策発表で年内2回の利下げ見通しが維持されたため買いが入ったが、その後、パウエル議長の発言を受けて2年債相場は上げ幅を縮小した。

パウエル議長は、米国経済は極めて堅調であり、関税の影響は現時点ではまだ完全には表れておらず、今後数カ月は影響が見られないだろうと述べた。

短期金融市場では約48ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の緩和を織り込んでおり、年内にほぼ2回の利下げを予想していることを示している。最初の利下げは10月実施が完全に織り込まれているが、一部は9月にも動きがある可能性を示唆した。FOMCは昨年12月に利下げして以降、政策金利を4.25-4.5%で維持している。

DWSアメリカズの債券責任者、ジョージ・カトランボーン氏は「年内2回の利下げ予想を維持し、問題を先送りする妥協案のようだ」と指摘。「ここ数週間はドットプロットが軽視されてきたが、2026年と2027年の金利予測がやや上方修正されたことは注目すべきだ」と述べた。

26年と27年の金利見通しの中央値はそれぞれ1回の利下げを示唆した。FOMC参加者による最新の四半期予測では、当局者は今年の経済成長見通しを引き下げた一方、失業とインフレの見通しは引き上げた。

ドイツ銀行のチーフ米国エコノミスト、マシュー・ルゼッティ氏はブルームバーグテレビジョンで「ややハト派寄りだ」と述べた。しかし、2026年と2027年の金利見通しの変更は「インフレが持続的になると当局者が考えていることを示している」と指摘した。

外為

外国為替市場では、ドル指数が小幅高。パウエルFRB議長が政策金利を据え置いた後の記者会見で不確実性の強さを強調したことを受け、ドル指数は上げに転じ、この日の高値水準まで上昇した。

対ドルでの円相場は小幅高。FOMC声明の発表直後に1ドル=144円34銭まで上昇したが、145円台前半まで伸び悩んだ。

ジェフリーズの為替ストラテジスト、ブラッド・ ベクテル氏は「パウエル議長が依然としてかなりタカ派なことは明らかだ」と指摘した。

原油

ニューヨーク原油先物相場は小幅高。米軍が中東の紛争に関与する可能性をトランプ大統領が示唆したことなどを受け、日中の値動きは比較的大きくなった。ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は、高値と安値の差が3ドルほど。

CIBCプライベート・ウェルス・グループのシニア・エネルギー・トレーダー、レベッカ・バビン氏は「インプライド・ボラティリティーは上昇を続けており、市場の根底にある不安が依然高い水準にあることを示唆している。ただ、それは値動きには完全に反映されてはいない」と述べた。

ペッパーストーン・グループの調査責任者クリス・ウェストン氏は、米国の関与が報じられれば、原油価格は1バレル=80ドルを上回る可能性があると述べた。

この日発表された米エネルギー情報局(EIA)のデータによれば、米原油在庫は先週、1100万バレル余り減少した。これは約1年ぶりの大幅減。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物7月限は、前日比30セント(0.4%)高い1バレル=75.14ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント8月限は25セント(0.3%)高の76.70ドルで引けた。

金スポット価格は下落。日中の大半は前日終値を挟んだ推移だったが、パウエル議長の記者会見中にドルが上昇する中で、下げが拡大した。

イスラエルとイランの交戦に米軍が加わることになるのか、その兆候を探りたいとのムードも強かった。米国が中東の紛争に直接介入する事態となれば、金相場は4月に付けた1オンス=3500ドル余りの過去最高値を上回る可能性がある。

スポット価格はニューヨーク時間午後3時24分現在、前日比0.5%安の1オンス=3371.12ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物8月限は、FOMC決定の発表前に1.20ドル高の3408.10ドルで引けた。

原題:S&P 500 Erases Gain on Powell’s Inflation Remarks: Markets Wrap(抜粋)

Treasuries Rally as Fed Sticks With Plans for Two 2025 Rate Cuts

Two-Year Treasuries Pare Earlier Gains as Powell Cautious

Dollar Rises as Powell Surprises With Hawkish Talk: Inside G-10

Oil Edges Up in Turbulent Trade Amid Fears of War Escalation

Gold Slips With Higher Dollar After Powell Flags Inflation Risks

Gold Wavers as Traders Watch Middle East Tensions, Await Fed

(c)2025 Bloomberg L.P.

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最終更新:6/19(木) 5:58

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