新山千春「マッチングアプリ婚」の偏見に思うこと 海外では当たり前でも、日本ではまだ後ろめたさがある

3/26 9:32 配信

東洋経済オンライン

昨年11月に、14歳年下の一般男性との年の差婚を発表したタレントの新山千春さん(43)。耳目を集めた理由の1つが、マッチングアプリで知り合ったことを公表したことだった。発表以降、新山さんのもとには同じような悩みを持つ女性たちからの多くの相談が寄せられるようになったという。17歳の娘を持つ母として、また芸歴30年近いタレントとして感じた仕事と家庭との両立、婚活のリアルや家族の理解など、自身の経験を踏まえて存分に打ち明けた。

■海外のマッチングアプリで出会う

 今の旦那さんと付き合い始めたのが、5年前。出会いは海外のマッチングアプリでした。最初は仕事や写真を伏せて、英語でやり取りしていましたね。それから毎日のようにテレビ電話をするようになり、彼が住んでいたアメリカで会ったのがスタートです。

 私にはダンスを中心に芸能活動をしている17歳の娘のもあがいるんですが、どんなことでも互いに相談するようにしているんです。はじめて彼のことを相談したときには「絶対に写真と違うおじさんみたいな人が来るよ」「サンフランシスコにきっと別の恋人がいるからママはあんまり熱くならないほうがいい」と言われましたね。

 それで私が、「何度か話しているけどいい人だよ」と伝えると、娘からは、「そういう人が一番危ないんだって」と警告が(笑)。私よりも彼女のほうがしっかりしていて、ずいぶん助けられているんですよ。

 結婚の決め手となったのは、ダンス留学を希望するもあの下見も兼ねて、ロサンゼルスとラスベガスに3人で旅行に行ったときのことでした。娘が原因不明の高熱を出して、そこで彼が病院の手続きからお医者さんとのやり取りまで全てしてくれました。本当に心強くて、彼女と2人だけだったらどうにもできなかったことを彼が献身的にサポートしてくれたんです。

 帰国後、娘に結婚を考えている、ということを伝えると「ママには彼しかいないと思うよ」と言ってくれたことが大きな決め手になりました。彼女が8歳のときに離婚し、シングルマザーになってからは彼女のことを最優先して考えてきた。彼が娘のことを自分の家族のように大切にしてくれたことが本当に嬉しくて、「この人となら家族を築ける」という安心にも繋がりました。

 再婚を果たした新山さんだが、そこに至るまではいくつかの壁を乗り越える必要もあった。マッチングアプリに対する認識、年齢差や仕事もその1つ。同じような悩みを抱えている女性も多いと感じているようだ。

 海外では当たり前なマッチングアプリ婚活が、日本ではまだどこか後ろめたさがあると感じていました。そこで私が公表することで、同じような悩みを持つ女性たちの背中を少しだけでも押すことに繋がればいいなと思い、堂々と世間に交際を公表したいと考えていました。

 事務所にも話したんですが、「まだ結婚したわけではないし、少し待ってほしい」となりました。でも、当時から私は「ファーストペンギンになりたい」という強い思いがあったんです。そして、長い説得期間を経て発表に至りました(笑)。

 コロナ禍以降、人との出会い方も大きく変わり、マッチングアプリの世間からの見られ方が変わってきたのも大きかったですね。私の意思を尊重してくれた事務所には感謝しかないです。

■アプリ婚に関して相談を受けるように

 去年マッチングアプリ婚をしてからは、SNSなどで本当に多くの方に相談や質問をしていただけるようになり、驚いています。その多くはシングルマザーの方や30代を中心とした独身の方。

 質問の内容もかなり具体的で、例えばシングルマザーの方から「今子どもがいるけど、新しい恋愛を始めるにはどうしたらいいかわからない」「マッチングアプリで何を気をつけたか」「仕事への影響や家庭・仕事との両立は難しくなかったか」「新しく出会ったパートナーと子どもを作ろうと思った理由は?」など、多岐にわたります。

 こうした声に触れて感じるのは、聞きたくても聞ける環境にない人が本当に多いということです。私の場合はたまたま同じような境遇の友人がいて、相談できたことで気持ちはずいぶん楽でした。

 ただ、それでもマッチングアプリへの偏見や周囲からの見られ方、職場の理解、出会い方も含めて、婚活や妊活に悩む方が抱える問題は複雑でもあるんです。そのことに対する社会の理解がもっと進んでほしい、という思いもあります。

 私自身、結婚前に彼に別れを切り出したことがあります。それは、彼の老後のことを考えると、私ではなく年齢が近い女性を選ぶほうが後々大変な思いをしなくてもすむし、将来的に彼の築く家族の笑顔がもっと増えると考えたからです。

 彼のご両親や子どものことを考えると怖くなり、連絡が来ても電話に出られなかったこともありました。同じような考えになる婚活中の女性もいるかもしれません。それでも彼が将来のことを考えてくれて、娘を通して私に連絡してきてくれたことで、壁を乗り越えることができました。

 結婚後の生活の変化について問うと、少し意外な答えが返ってきた。

 もともと3人で過ごす時間もあったので、大きくは変わっていません。ですが、家族のあり方は変わってきています。最も大きいのは娘の意識の変化でしょうか。結婚するときに、彼女から「家族、家族っていう3人の“型”にハメすぎないでほしい」というリクエストがあったんです。

 例えばいつも揃って家族でご飯を食べるとか、夏休みやお正月は一緒に旅行に行くとか、そういったこと。私や夫はそういう時間を持とうとしていろいろ企画もしていたんですが、彼女は、「今は自分のやりたいことがあって夢を叶えたいから、そういうのは大丈夫だよ」と言うんです。実際に旅行に行った際にも、あの子だけ一泊で帰ったこともあります(笑)。

 ただ、これはよく考えると親側の「こうあるべきだ」みたいなものが強すぎたからなんですよね。彼女もまもなく成人を迎え、私が芸能界に入ったときの「なんとかして名前を売りたい!」と考えていた時期と重なる部分もあって、あまり親が介入すべきところではないと感じています。

 実際にすごい熱量でダンスに励んでいますし、本人の希望である留学をすることになっても、親としてはできるだけサポートしてあげたい。今は彼女を見守るべき時間と、夫と2人で過ごす時間のバランスがすごくとれているんです。もしかしたら、彼女なりに私たちに気を遣ってくれている部分もあるのかもしれませんね。

■子どもは親が考えている以上に大人

 母として過干渉になりがちだったんですが、子どもって親が考えている以上に大人なんだな、と再婚して改めて気付かされた部分もあります。シングルマザーの女性で次の恋愛を考える方は、どうしても子どものことを優先して考え、悩む方も多いと思います。

 私のケースで言えることは、娘と些細なことでも日頃から言い合える関係性ができていたことはとても大きかった。そして、親が考えている以上に子どもはしっかりとした考えを持っているということでした。早く自立したいという彼女の意思も尊重したいですし、家族それぞれが自分らしく生きて、みんなで笑いあえる時間も共有できるのが理想的ですね。

 後編「新山千春、公表しづらい不妊治療の実態を語る訳」に続く

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最終更新:3/26(火) 17:41

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