【住民税非課税】対象世帯になる年収や条件は?給付金や優遇まとめ

3/31 7:02 配信

LIMO

2023年10月23日、岸田文雄首相は国会の所信表明演説にて「国民の努力によってもたらされた税の増収分を公正かつ適性に還元する」と発言。

賃金上昇が物価高に追いつかない現状における、国民負担を緩和する必要があるという認識を示しました。

また、首相は同じ会見内で給付金についても言及しました。

給付金に関してはその他にも、10月16日に公表された総合経済対策に向けた自民党の提言案にて、低所得世帯への継続的な給付金支給を検討する方針を明らかにしています。

今回は、住民税の仕組みと低所得者向け給付金の対象である「住民税非課税世帯」の要件などを確認していきましょう。記事の後半では、住民税非課税世帯に対する優遇措置をチェックしていきます。

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そもそも「住民税」ってどんな仕組み?

そもそも住民税は、公共施設や学校教育の運営費、上下水道やごみ処理といった行政サービスなど、各地域で必要となる費用を分担するための税制度です。

住民税には都道府県民税と市町村民税がありますが、納税する際には一括して各市町村に住民税を納め、その後、各市町村によって都道府県あてに道府県民税が払い込まれる形です。

また、住民税の仕組み上、所得額に応じて負担する「所得割」、誰もが等しく負担する「均等割」の2つに区分されます。

均等割は、個人住民税は「地域社会の会費的なものである」として負担を求めるとしたもので、一般的な税額は5000円(道府県民税1500円、市町村民税3500円)とされています。

ちなみに、東日本大震災の復興財源などを確保するため、2014年度から2023年度までの10年間、都道府県民税・市町村民税ともに500円ずつ引き上げられています。

一方、所得割の税率は市町村民税6%、都道府県民税4%の合計10%と一律です。

ただし、政令指定都市は道府県民税が2%、市民税が8%になるなど、自治体ごとで税率が異なる場合があります。

「住民税非課税世帯」とはどんな世帯?

「住民税非課税世帯」とは、一定額以下の収入などを理由として、都道府県民税と市区町村民税の合計で成り立つ住民税が課税されない世帯のこと。

これは世帯員のうち誰か一人が住民税(所得割・均等割)を支払わないのではなく、世帯員すべてが住民税を支払わない世帯を指します。

住民税は、その年1月1日時点で市町村(都道府県)に住所がある人に対して課税されます。

ただし、低所得者層の負担を考慮し、一定の事由に該当する世帯については税負担を求めることが適当ではないとして課税対象から外れます。

これを、非課税制度といいます。その際、養っている家族(扶養家族)の有無や人数、所得金額などが考慮されるのです。

どのような世帯が該当するのか、要件や所得目安などを確認してみましょう。

住民税非課税世帯の要件:所得目安はいくら?

東京都主税局によると、東京都23区の住民税の非課税条件は下記のようにまとめられています。

 ・生活保護法による生活扶助を受けている
 ・未成年者、寡婦、ひとり親、障がい者のいずれかで前年の合計所得が135万円以下(給与収入になおすと、年収204万4000円未満) 
 ・前年の合計所得や総所得が市区町村の条例で定められた額以下である
また、所得目安は次のとおりです。

 ・同一生計の配偶者または扶養親族がいる場合合計所得金額が35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下
 ・同一生計の配偶者及び扶養親族がいない場合合計所得金額が45万円以下(給与所得者であれば、年収100万円以下)
なお、住民税非課税になる年収目安は、市区町村ごとに決められた生活保護基準の級地区分や、扶養家族、年齢などの影響を受けます。

詳しい内容については、お住まいの自治体で確認してみてください。

住民税非課税世帯には、住民税の支払い免除以外にも優遇措置があります。次章にてくわしくみていきましょう。

「住民税非課税世帯」に対する優遇措置には何がある?

住民税非課税世帯に該当すると、以下のような優遇措置が受けられます。

●幼児教育・保育の無償化
3歳から5歳児の幼稚園、保育所、認定こども園などの利用料が無料となる制度。この制度において住民税非課税世帯は、0歳から2歳までの子どもの利用料も無償化されます。

●高等教育の無償化(高等教育の修学支援新制度)
大学などの授業料および入学金が免除または減額される制度です。

さらに学生生活を送るための生活費として、日本学生支援機構(JASSO)から給付型奨学金を受給可能。住民税非課税世帯の学生は支援額が満額となります。

●介護保険料の減免
原則、40歳以上のすべての人が加入して保険料を納めなければならない介護保険料。保険料率は住民税の課税状況などに応じて段階が設けられており、住民税非課税世帯は低い保険料となっています。

●高額療養費の自己負担額の軽減
「高額療養費制度」とは、医療費の自己負担額が高額になった際に自己負担限度額を超えた金額が払い戻される制度です。

住民税非課税世帯はこの自己負担限度額が低く設定されるため、医療費の負担が少なくなります。

●国民年金・国民健康保険料の減免
国民健康保険料には所得に応じて負担する所得割額と、加入者全員が負担する均等割額があります。この均等割額は、所得と世帯人数に応じて軽減されます。

国民年金保険料は住民税が非課税の人は、原則として、申請をすれば全額免除になります。

この他にも、独自の支援を行っている自治体もあるので、気になった方はお住まいの自治体ホームページ等でチェックしてみてください。

既に実施されたものを含む「住民税非課税世帯」対象の給付金

住民税非課税世帯に対しては、以下のような給付金の支給が実施されました。

●「電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金」
住民税均等割非課税世帯や2022年1月から12月までに家計急変のあった世帯を支援することを目的に実施された給付金が「電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金」です。

対象は、2022年度の住民税非課税世帯のほか、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて家計が急変し、住民税非課税世帯と同様の事情と認められる世帯(家計急変世帯)でした。

給付額は1世帯あたり5万円、世帯に転入者がいた場合や家系急変世帯の方は申請が必要となるケースが多く見受けられました。

●「住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金」
住民税非課税世帯等を対象として、臨時特別給付が実施されました。

新型コロナウイルス感染症による物価高騰や労働環境の変動が長期化する中、様々な困難に直面した方々に対する生活・暮らしの支援を目的とした給付金で、対象は住民税非課税世帯と家計急変世帯でした。

給付額は1世帯あたり10万円で、住民税非課税世帯の方々の申請期限は市町村による確認書の発行から3ヶ月以内と定められていました。

今後の給付金についても、様々な世帯に対応するため個々に申請する必要が出てくる可能性もあります。

詳しくは自治体のホームページや窓口で確認するのがよいかもしれません。

給付金や今後の税制改革を要チェック

「住民税非課税制度」の要件や収入目安、過去行われてきた政策について確認しました。

過去2年の税収増を国民に還元するべく「住民税非課税世帯」には、すでに給付されている3万円に加えて継続した支給を検討する方針のようです。

首相のいう「還元」がどのような形となるか、今後の政府や自治体から公表される情報を見落とさないようにしていきましょう。

参考文献

 ・首相官邸「第二百十二回国会における岸田内閣総理大臣所信表明演説」
 ・自民党「新たな総合経済対策策定に向けて提言 政務調査会」
 ・東京都主税局「個人住民税」
 ・内閣府「電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金(5万円/1世帯)のご案内」
 ・内閣府「住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金(10万円/1世帯)のご案内」
 ・東京都「個人住民税均等割の税率改正」
 ・厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」

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最終更新:3/31(日) 7:02

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