中国4月経済指標、鉱工業生産が予想以上に加速 小売売上高は減速

5/17 11:47 配信

ロイター

Joe Cash Ellen Zhang

[北京 17日 ロイター] - 中国国家統計局が17日発表した4月の鉱工業生産は前年比6.7%増加し、3月の4.5%増から加速した。製造業部門の回復が勢いを増した。

ロイターがまとめたアナリスト予想(5.5%増)も上回った。

一方、4月の小売売上高は2.3%増と、3月の3.1%増から減速。2022年12月以来の低い伸びにとどまり、アナリスト予想(3.8%増)も下回った。

ANZの中国担当シニアストラテジスト、Xing Zhaopeng氏は「外需が強く、内需が弱いというパターンが続いている。内需低迷は明らかに不動産部門の悪化によるものだ」と指摘。

「消費財の下取りや特別国債の発行など、リバランスを促す現在の政策では内需の下降スパイラルを部分的にしか回避できない」と述べた。

小売売上高は、比較対象となる前年同月に祝日が2日あったことが下押し要因となった。祝日は接客・観光業の収入を大きく押し上げる。

キャピタル・エコノミクスの中国担当エコノミスト、Zichun Huang氏は「鉱工業生産は好調な輸出を背景に加速が続いたが、他の大半の指標は伸び悩んでおり、内需鈍化を示している」と分析。

「財政支援が再び強化され、今後数カ月で新たな回復が見込まれるが、構造的な課題を踏まえると、短期的な改善は長続きしないだろう」と述べた。

輸出は好調だが、米政府が再び保護主義的な姿勢を打ち出しており、好調を維持できるかは不透明。米国のバイデン政権は今週、対中関税を大幅に引き上げると発表した。

保銀投資(ピンポイント・アセット・マネジメント)のチーフエコノミスト、張智威氏は「製造業が好調なのは、輸出の伸びからも明らかなように、外需にけん引されている可能性が高い。不動産価格と販売はさらに下落し、家計のセンチメントを圧迫したようだ」と述べた。

その上で「一連の指標は4月の弱い信用データと相まって、強力な行動を政策当局に促す可能性がある」と指摘した。

<固定資産投資も減速>

1─4月の固定資産投資は前年比4.2%増。アナリスト予想は4.6%増、1─3月は4.5%増だった。

今月発表された4月の各種経済指標は強弱入り混じった内容となった。4月の輸出と輸入は増加に転じ、消費者物価指数は3カ月連続で上昇した。

一方、4月の新規融資は前月から予想以上に減少し、信用の伸びは過去最低を記録した。

中国政府は2024年の成長率目標を5%前後に設定している。第1・四半期の国内総生産(GDP)は前年同期比5.3%増と、市場予想を上回った。

<失業率は改善>

4月の新築住宅価格は前月比で9年超ぶりの大幅な下落となった。不動産部門を支援する当局の取り組み強化が奏功する兆しはほとんど見られていない。

1─4月の不動産投資は前年同期比9.8%減と、1─3月の9.5%から減少ペースが加速した。一連の政策支援にかかわらず、不動産部門がまだ底入れしていないことを示した。

国内経済の4分の1を占める不動産部門は規制強化の影響で引き続き景気の足かせとなっている。

一方、雇用市場は改善し、全国調査ベースの4月失業率は3月の5.2%から5.0%に低下した。

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最終更新:5/17(金) 15:45

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