都庁超えの「新宿で1番高い」ビル誕生、再開発で新宿駅西口エリア一新か《楽待新聞》

5/20 19:00 配信

不動産投資の楽待

3月下旬、新宿駅西口の小田急百貨店跡地にて再開発ビルの建設が始まった。規模は地上48階建て・高さ260メートル。243メートルの東京都庁舎を超え、完成後は新宿で最も高いビルとなる。

低層階は商業施設であり、高層階にはオフィスが入居する。新宿最大となる同ビルはショッピングそしてビジネス面でも重要な場所となるだろう。

隣接する京王百貨店の建替え計画も公表されており、今後、西口一帯の再開発が一気に進められる予定だ。

■毎日多くの人が行き交う新宿

JR・私鉄を含めた新宿駅の乗降客数は約270万人/日で、世界一の規模として2022年にギネス世界記録にも認定されている。

JR線は山手線・埼京線・湘南新宿ライン・中央線(各駅および快速)などが乗り入れ、京王線や小田急線のターミナル駅でもある。地下鉄は東京メトロ・丸の内線と都営地下鉄の新宿線、大江戸線が停車する。

南北に長い新宿駅は、東口側と西口側に街が広がる。東口側は繁華街となっており、ビックカメラや伊勢丹などの大型商業施設がある。店舗・飲食店が入居する雑居ビルも多い。少し北に進むと歌舞伎町に至る。

西口側はランド―マークだった小田急百貨店が既に解体され、再開発ビルが建設中だ。百貨店自体はロータリーの北に位置する「新宿西口ハルク」に移転し営業中している。

京王百貨店は従来通り営業中で、同百貨店から通りを挟んだ向かい側は飲食店街だ。西口から西に200メートルの位置には個性的な外観で知られる東京モード学園のビルが建っている。

中央通りを少し西に進んだ場所は新宿センタービル、新宿三井ビルディングなどが建つ超高層ビル群であり、西口から600メートルの地点には同地域で最も高い東京都庁舎(243メートル)がそびえる。

ちなみに新宿駅の中心を東西に横切るように国道20号が通る。20号に面する出口は南口で、今回の再開発が行われている西口は20号線の北側に位置する。

■260メートルの超高層ビルが誕生

今回の再開発の正式名称は「新宿駅西口地区開発計画」。すでに解体された小田急百貨店の本館と新宿ミロードの「モール2階」のほか、ミロード本館の跡地が対象である。

20号線に面するミロードの本館は現在も営業中で、2025年4月以降の解体を予定する。再開発地の敷地面積は1万5720平米で、北側のA街区(8060平米)と南側のB街区(7660平米)に分かれている。

B街区は通りから面して京王線新宿駅(京王百貨店)のちょうど裏側にあたる。後述するが、将来的に京王百貨店も再開発で解体される予定だ。

まずは本再開発の中身を見てみよう。A街区は小田急電鉄・東京地下鉄・東急不動産の3社による共同事業、B街区は小田急電鉄の単独事業である。

高層ビルが建つのはA街区側で、地上48階・地下5階建て、高さ約260メートルのビルが建設される予定だ。地下2~10階は商業施設、12~13階はビジネス創発の階としてフリースペースのような空間が整備される。

低層階より細くなる14~46階にはオフィスが入居し、47・48階は展望台などの施設を想定。ちなみに地下5階~地下3階に駐車場や機械室が入り、11階も機械室となる予定だ。

B街区は地上8階・地下2階建ての規模で最高部は約50メートル。現在の小田急線新宿駅のほか、他の部分は商業施設となる予定だ。8階まで建つのは20号線側に面する南側だけであり、現在の新宿ミロード本館に置き換わるようなビルが建つとみられる。

なおAおよびB街区のビルは低層階で直結する構造だ。いずれも2029年度の竣工を予定する。ただ、商業施設が「小田急百貨店」として再び営業するかは未定のようだ。

■京王百貨店も将来的には解体

そして、現在営業中の京王百貨店についても将来的に解体される予定である。京王百貨店はJR東日本と共同で「新宿駅西南口地区開発事業(仮称)」を進めており、百貨店は同再開発事業における北街区に相当する。

解体時期は未定だが、2040年代までに地上19階建て・高さ110メートルの複合商業ビルとして建て替える予定だ。店舗の他、宿泊施設も入居するという。

参考までに西南口地区開発事業について紹介すると、20号線を挟んだ南街区では先駆けて超高層ビルが建設される予定だ。店舗やオフィスが入居する地上37階建て・225メートルの規模で、今年10月の着工、2029年の竣工を目指す。

西口地区開発計画と合わせて、西口一帯の様相を大きく変化させる再開発計画である。

■西口全体が生まれ変わる

新宿駅西口地区開発計画のA街区で建設されるビルは、新宿駅の利用者数の多さとその利便性から都内有数の商業施設となるだろう。飲食店やアパレル、ブランド品などの店舗も高い集客力が見込まれる。

ただし、旧来の百貨店業態には戻らないかもしれない。現在は百貨店不況時代とも言え、隣の西武池袋本店も駅前一等地という立地にも関わらず百貨店単体では厳しい状況だ。

現在の新宿西口ハルクは、建物の大部分をビックカメラが占めていることから、新ビルにも家電量販店が入居するかもしれない。高層階のオフィスについては駅直結という利便性、そして副都心という立地から大企業が入居する可能性も考えられる。

再開発建物は新宿一の高さとなるようで、街の新たなシンボルともなりうる。開業後は、新宿駅周辺の人流がまた変わるのかもしれない。

B街区に関しては、新宿ミロードが参考となるだろう。ミロードは20代など若年層の女性をターゲットにしており、比較的リーズナブルな店舗が多い。新ビルも現在と同様、大衆向けの商業施設となるのではないだろうか。

2030年代までに、西口地区一体そして西南口地区に新ビルが建てられる計画だ。京王百貨店の建て替えが完了すれば、2040年代までに西口全体が完全に生まれ変わることになる。

旧来の新宿西口は小田急百貨店と京王百貨店の開業に伴い、2060年代に形作られた。建物の老朽化が進んだことで、魅力は低下しつつあった。

この再開発で、再び集客力を高めることになるだろう。新宿駅西口の変容に注目してみたい。

山口伸/楽待新聞編集部

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最終更新:5/20(月) 19:00

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