FOMC議事録、国債減額上限を月300億ドルに半減を支持

4/11 10:48 配信

ウエルスアドバイザー

<チェックポイント>
●議事録、利下げ開始に必要なインフレ低下の十分な確証得られずと判断
 
●議事録、雇用市場が悪化した場合、金融緩和の可能性を示唆
 
●議事録、多くの委員がバランスシートの縮小で慎重なアプローチを支持
 
 
 
 
 FRB(米連邦準備制度理事会)は10日に公表した3月19-20日開催分のFOMC(公開市場委員会)議事録で、利下げサイクル開始のタイミングを測るため、インフレ低下の確証を探したが、十分な確証が得られなかったことが分かった。
 
 議事録では、「委員らは、ここ数カ月の経済指標が米経済の強さを示し、インフレ率についても失望するようなデータしか得られなかったと指摘した上で、インフレ率が物価目標の2%上昇に向けて持続的に収束しているという、さらなる確信が得られるまで政策金利を引き下げることは適切ではないと判断した」とし、現在の金融引き締め政策ではインフレが抑制されるほど、まだ十分に景気が冷え込んでいないことへの焦りや失望感が示された。
 
 市場では今回の議事録の公表にあたって、FOMC内で米国経済とインフレの状況、利下げのタイミングとペースを決定する際、これらの動きをどのように見ているのか、さらには過去の量的金融緩和(QE)措置により、7兆5000億ドルに膨らんだFRBのバランスシートの縮小について、どんな議論が行われたかに注目していた。
 
 FRBは政策決定について議論する中で、インフレが物価目標に向かって低下するという確信が持てなかったとした理由について、経済とインフレの両方の見通しに不確実性があることを挙げている。議事録では、「委員らは総じて、高インフレが(いつまで)持続する見通しが不透明なため、最近のデータを見てもインフレが持続的に2%上昇(物価目標)に低下するという確信が高まらない」とし、また、「複数の委員は(中東紛争などの)地政学的リスクで、より深刻なサプライチェーンのボトルネック(制約による品不足)や輸送コストの上昇が起こり、インフレ圧力が高まる可能性がある。その一方で、こうした状況が経済成長を抑制する可能性もある」とし、外的要因により経済とインフレの不確実性が高まっていると指摘している。
 
 また、一部の委員はこれまでの制限的な金融引き締めの効果についても不確実性があると指摘している。議事録では、「制限的な金融政策には不確実性がある。思ったほど制限的でないか、または制限的にならない場合、経済の総需要が高まり、ひいてはインフレ圧力を高める可能性がある」と指摘している。制限的とは景気に打撃を与えることになる金利水準にまで、金融引き締めを行うことを意味する。
 
 ただ、FRBは金利据え置き決定の次は経済データが許せば、利下げになるとの認識を示している。議事録では、「委員らは政策金利が今回の引き締めサイクルでピークに達する可能性が高いと判断し、経済が全体的に予測通りに進展すれば、今年のある時点で政策を緩和スタンスに移行するのが適切だとほぼ全員が判断した」としている。
 
 さらに、議事録では、経済やインフレの見通しの不確実性が解消されない場合、今回の金利据え置きによる金融引き締めスタンスが長期化する可能性があると指摘する一方で、経済、特に、雇用市場が悪化した場合、金融緩和の可能性があることも示した。議事録は、「委員らは、金融政策は経済の今後の動向や経済見通しに対するリスクに対応できる態勢にあると判断している」とした上で、「ディスインフレのプロセス(インフレの低下基調)が鈍くなった場合、現在の制限的な金融政策スタンスを長期間維持する可能性や、雇用市場が予想外に悪化した場合、制限的な金融政策を縮小(金融緩和)する可能性も含まれる」と指摘している。
 
 また、議事録では現在、量的金融緩和(QE)からの出口戦略として実施している国債・MBS(不動産担保証券)買い取り減額(バランスシートの縮小)ペースについて、さらなるバランスシートの縮小に向けては慎重なアプローチを支持していることが分かった。FRBは現在、買い取りの減額ペースについて、国債の毎月の減額上限は600億ドル、エージェンシー(政府機関ジニーメイと政府系住宅金融会社)MBSの毎月の減額上限は350億ドルとしているが、MBSは減額上限を現状維持とし、国債の減額上限を半分の300億ドルにすべきと考えている。
 
<関連銘柄>
 NASD投信 <1545> 、NYダウ投信 <1546> 、上場米国 <1547>
 SPD500 <1557> 、NYダウ <1679> 、NYダウブル <2040>
 NYダウベア <2041>
 
(イメージ写真提供:123RF)
 

ウエルスアドバイザー

最終更新:4/11(木) 12:39

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