【来週の注目材料】雇用の伸び回復へ=米雇用統計
【来週の注目材料】雇用の伸び回復へ=米雇用統計
6日に11月の米雇用統計が発表されます。12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが行われるかどうか、市場の見通しが分かれる中、カギを握る大きな材料としていつも以上に注目を集めています。
前回10月の米雇用統計は非農業部門雇用者数が+1.2万人に留まりました。ハリケーンなどの影響で、ある程度の伸び鈍化が見込まれていましたが、市場予想の+10.8万人も大きく下回っています。雇用減となった2020年12月以来の弱い数字です。9月は+25.4万人から+22.3万人、8月は+15.9万人から+7.8万人にそれぞれ下方修正されています。9月末から10月にかけて米南東部に甚大な被害をもたらしたハリケーン「へリーン」「ミルトン」の影響や、ボーイングのストライキの影響が予想以上に強く出たものと見られます。失業率は市場予想通り9月と同じ4.1%となりました。
前回の内訳を確認すると、民間部門は-2.8万人と雇用者が減少しました。政府部門は+4.0万人。政府部門は7-9月の平均が+3.9万人となっており、いつも通りといったところです。
民間部門のうち、財部門は-3.7万人。建設業や鉱業などその他財部門はプラスでしたが、製造業が-4.6万人と雇用が大きく減少しています。ほとんどが輸送機器で-4.4万人。ボーイングのストライキで3.3万人が解雇されたほか、その影響で関連産業でも雇用が減少したことが背景にあります。サービス部門は+0.9万人と何とかプラス。介護部門などを抱え、リーマンショック時でもプラスを維持するなど、基本的に雇用増となっている教育・医療部門が+5.7万人と好調を維持しましたが、対事業所サービス、小売業、接客業などがマイナスとなりました。小売、接客は景気に敏感な部門だけに、警戒感につながる内容となりました。
ただ、前回に関してはハリケーンとストライキという特殊事情がはっきりしていたこともあって、米雇用市場への判断をそれで決めるという雰囲気にはなっていません。11月のFOMCでの利下げ実施の材料の一つとなったとは見られますが、その後も利下げを続けるというところまで市場の警戒感は強まっていません。市場は今回の雇用統計をきちんと確認したいという流れになっています。
今回の予想は+20万人と、雇用の伸び回復が期待されています。失業率は前回と同じ4.1%見込みです。
関連指標をみると、週間ベースの新規失業保険申請件数は、雇用統計と調査期間の重なる12日を含む週のデータで、10月の24.2万件に対して11月は21.5万件と好結果になっています(失業保険なので少ないほうがいい数字です)。コンファレンスボード消費者信頼感指数は10月の109.6から111.7まで改善。内訳のうち雇用については職を見つけるのが困難であるとの回答が10月の17.6%から15.2%に低下。5月以来の低水準となりました。
その他の関連指標は今週これからとなります。
2日の米ISM製造業景気指数は10月の46.5に対して、11月は47.6と改善が予想されています。3日の雇用動態調査(JOLTS)求人件数は9月末の744.3万件から10月末は747万件の予想と、ほぼ横ばいです。4日のADP雇用者数は10月の+23.3万人から+15.8万人に伸びが鈍化する見込み。同日のISM非製造業景気指数は10月の56.0から55.5も小幅悪化見込みです。
関連指標の予想は総じてまちまちという印象。前回の弱さが特殊事情で今回はその影響が収まると考えると、予想の+20万人前後は十分にありそうな数字となります。
現時点で12月17日、18日米FOMCでの利下げ見通しは65%程度となっています。予想下回る伸びとなった場合、この見通しが強まる可能性が高いです。この場合、ドル安円買いが見込まれます。一方、前回の反動でかなり強く出た場合は、現状35%程度となっている据え置き見通しが利下げ見通しを上回る展開となり、ドル買いが大きく進む可能性があります。現状で見通しが割れており、市場はかなり神経質になっていますので注意が必要です。
みんかぶ(FX)
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最終更新:11/30(土) 17:10