どうして「がん」も「かに座」もcancerなのか? ラテン語で学ぶ12星座の雑学、あなたの星座は?

4/7 13:32 配信

東洋経済オンライン

難解なイメージのあるラテン語は、実は今でも身近な存在であることを、新刊『世界はラテン語でできている』は紹介しています。たとえば、12星座の英語名は、ほぼラテン語由来の名前で占められています。書籍から抜粋する形で、12星座とラテン語の関係性を見ていきましょう。あなたの星座にまつわる雑学も、きっと見つかるはずです。

■12星座とラテン語の深い関わり

おひつじ座「Aries」
 星座とラテン語の関わりはかなり深く、英語圏でも12星座の名前はラテン語由来の名前で呼ばれることが多いです。

 はじめに解説するのは、「おひつじ座」を表すAriesです。これは、ラテン語のaries「牡の羊」がそのまま使われています。また、ラテン語のariesは「城を壊す武器」という意味もありますが、それはこの武器の先に羊の頭の彫刻が付けられていたからです。

おうし座「Taurus」
 次は「おうし座」のTaurusで、これもラテン語taurus「雄の牛」から綴りは変えられていません。アミノ酸の一種「タウリン(taurine)」の語源もこのtaurusで、牛の胆汁の中から発見されたことに由来します。

ふたご座「Gemini」
 「ふたご座」のGeminiはラテン語gemini「双子の人たち」が元で、双子を表すので複数形になっています。この双子の名前はカストルとポッルークスといい、ギリシャ神話のゼウスとレーダの間に生まれた双子です。

■「がん」も「かに座」もcancerなのはなぜ? 

かに座「Cancer」
 次に来るのは「かに座」のCancerです。英語のcancer「がん」の語源になっており、腫瘍とそれを取り囲む数々の血管がカニのように見えたからだと考えられています。

しし座「Leo」
 今度は「しし座」のLeoです。ラテン語のleo「ライオン」が元になっています。leoは英語lion「ライオン」の語源でもあり、タンポポを指す英語dandelionも成り立ちは「ライオンの歯」です(葉っぱの形がそのように見えたことから)。また、アフリカにある国「シエラレオネ(Sierra Leone)」も国名の成り立ちは「ライオンの山」です。

おとめ座「Virgo」
 次は「おとめ座」のVirgoです。ラテン語のvirgo「おとめ」が元で、virgoは同じ意味の英語virginの語源にもなっています。ちなみに、おとめは古典ギリシャ語でparthénosと言い、「パルテノン神殿」の由来もこのparthénosです。

 また、おとめ座で一番明るい「スピカ」という星は「麦の穂」という意味のラテン語spicaが元です。このspicaは靴の裏などに付けることがある「スパイク(spike)」と同じ語源です。確かに麦の穂先もスパイクも、どちらも尖っています。

てんびん座「Libra」
 続いて「てんびん座」を指すLibraです。ラテン語のlibra「てんびん」から変わっていません。このlibraという単語は、あまり知られていませんが実はイギリスの通貨に関係しています。実は「ポンド」を表す記号£はlibraの頭文字のエルが元になっています。

 ラテン語のlibraは「てんびん」を指すとともに、重さの単位でもありました。「ポンド」の方の語源はラテン語のpondo「ポンド」で、pondoの元はpondus「重さ」です。ラテン語のpondo「ポンド」はlibra pondo「重さにおいて~リーブラ」のlibraが省略された形です。

さそり座「Scorpio」
 次は「さそり座」を表すScorpioです。ラテン語のscorpio(またはscorpius)「さそり」が元で、scorpioは英語のscorpion「さそり」の語源にもなっています。

 ちなみに、この星座で一番明るい星である「アンタレス(Antares)」は「アレース(Árēs、古典ギリシャ語で「火星」)に似た星」という意味合いです(「火星に対抗する星」という説もあります)。

いて座「Sagittarius」
 続いては「いて座」を表すSagittariusです。ラテン語のsagittarius「弓を射る人」が元になっています。ちなみに、「矢座」という星座もあります。

やぎ座「Capricorn」

 次は「やぎ座」です。英語ではCapricornと言いますが、ラテン語ではCapricornus「雄山羊(caper)の角(cornu)」となっており、語形が少し違います(さらに日本語の星座名は「やぎ」だけなので、角まで言及している英語やラテン語と違っています)。cornuは英語のcorn「うおのめ」の語源になっています。つまり皮膚が「角質化」するということです。

みずがめ座「Aquarius」
 そして次に「みずがめ座」です。Aquariusといい、語源はラテン語のaquarius「水を運ぶ人」です。aquaが「水」というのは分かりやすいのではないでしょうか。たとえば英語aquariumで「水族館」になります。他にも、水産物の養殖を指すaquacultureなどにもaquaが含まれています。

 ちなみにaquacultureのcultureは「文化」ではなく「養殖、栽培」という意味です。一般に「文化」の意味で知られている英語cultureの語源であるラテン語culturaの原義は「耕すこと」です。

■うお座「Pisces」は複数形

うお座「Pisces」
 最後は「うお座」で、Piscesです。ラテン語のpisces「魚」が元ですが、piscesは複数形です(単数形はpiscis)。というのも、うお座として描かれる魚は二匹だからです。

 piscesが語源になっているイタリア語がpescatore「漁師」で、たとえば「スパゲッティ・ペスカトーレ」と言われているspaghetti alla pescatoraは「漁師風スパゲッティ」という意味です。

 12星座を見てきましたが、日本語と少し違ったものもあり意外ではなかったでしょうか。また、たとえば最後の「うお座」の魚は複数形でしたが、日本語だけでは気づくことが難しい星座のより正確なイメージがつかめたと思います。

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最終更新:4/7(日) 13:32

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