「S&P500」はネット証券で揃ってトップを継続、米国株に続くのは「インド株」=ネット証券の投信積立契約件数ランキング25年1月
大手ネット証券3社の投信積立契約件数ランキング(月次)2025年1月のトップ3は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、「iFreeNEXT FANG+インデックス」で前月と変わらなかった。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は3カ月連続で全ネット証券3社でトップになった。また、第4位に前月の第24位から「iTrust インド株式」がジャンプアップし、「iFreeNEXT インド株インデックス」と同ポイントの第4位になった。前月は第4位だった「SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)」は第6位に後退。トップ10圏外から「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)」が第9位に食い込んだ。
ランキングは、定期的に月次の投信積立契約件数トップ10を公表しているSBI証券、楽天証券、マネックス証券の公開情報を使用。各社ランキング1位に10点、以下、順位が落ちるたびに1点を減点し、第10位を1点として、3社のランキング10位までのファンドの点数を集計した。
◆「DeepSeek」と「トランプ関税」で米国株が揺れる
1月は23日に「S&P500」が史上最高値を更新し、その後27日に中国のAI(人工知能)開発会社「DeepSeek」が中国が使用できる最先端ではないAI半導体を使って米国OpenAIと同等の性能を実現したというニュースに反応してエヌビディアやブロードコム、スーパー・マイクロ・コンピューターなどが急落した。翌日には株価が反発したものの下落分を回復するまでには至らず、中国AIの実力について米国AIに対してどの程度の脅威となるのかを見極めようとする動きが続いている。その後、トランプ大統領がカナダとメキシコに25%、中国に追加で10%の関税をかける大統領令に署名したというニュースで株価が不安定な動きになるなど、世界的に株価が落ち着かない動きになっている。
1月の月次の騰落率では「S&P500」がプラス2.70%、「NASDAQ総合」もプラス1.64%と米国株式は上昇傾向にあった。1月のランキングで「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」や「iFreeNEXT FANG+インデックス」など米国株インデックスファンドの人気が続いているのは、堅調な米国株価の推移をみてのことだと考えられる。1月後半の株価の動揺を投資家はどのように評価するのか、2月以降のランキングの変化に注目したい。
一方、インド株については1月は月間の騰落率で「NIFTY50」に連動する「iFreeNEXT インド株インデックス」の基準価額はマイナス5.88%、アクティブファンドの「iTrust インド株式」はマイナス6.96%と1月の成績は振るわなかった。それでも積立投資の設定件数が伸びているのは、インド経済やインド株式市場への将来への期待からだろう。新年で新たな気持ちで積立投資を始めようと考えた投資家がインド株を使った積立投資をスタートしたということが考えられる。
◆史上最高値を更新した金価格
前月はトップ10から姿を消していた「ゴールド(金)」を投資対象としたファンドが第9位に戻ってきた。「SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(為替ヘッジなし)」はETFへの投資を通じて「LBMA(ロンドン貴金属市場協会)金価格指数」に連動する運用成果をめざす。「LBMA金価格指数」は金のロンドンでの現物価格の基準になる。金の価格には米COMEX市場で取引される「NY金先物」の価格があるが、「LBMA金価格指数」と「NY金先物」の価格は、現物市場と先物市場の価格にカイ離が生じると、安い市場を買い高い市場を売るという「裁定取引」が行われることによって値動きが連動している。そして、NY金先物価格は10月30日に付けた史上最高値を1月30日に更新した。
金価格の値動きは、株式や債券市場とは異なる理由で動いている。金は埋蔵量が限られた資源であり、かつては、その希少性から通貨の代わりに使われていた歴史もある。また、産業用に利用される鉱物としての価値もあり、絶対的な価値のある資産といわれる。そのため、戦争などの国際的な危機が増大するような局面で「安全資産」として金が選ばれる傾向が強い。金には、株式の配当や債券の利子などといったインカム収益がないため、資産形成のコアとして保有するには弱い資産だ。現在のように株価が不安定な局面では、株価の予測不能な大きな下落局面への備えとして金を保有しておこうというニーズが出てきているのだろう。
サーチナ
最終更新:2/5(水) 10:28