◆今日の内容を10秒でチェック!
・日経平均は失速し下落転換、イラン情勢の収束期待が後退
・決算ではJT好調、任天堂は失望…TSMCと提携のソニーGが急伸!
・今週は国債入札・米CPIで金利注視、国内決算はピーク迎える
●【1】今日の株式相場&話題株 早わかり!
失速し下落転換、イラン情勢の収束期待が後退
【今日の相場】
日経平均株価は続落! 8日の米国市場ではS&P500指数とナスダック総合指数が最高値を更新。アップルの自社製品向け半導体の生産委託を巡って暫定的な合意に至ったと伝わったインテルが急伸し、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は+5.50%と急伸した。4月の雇用統計で雇用者数が予想を上回ったことも投資家心理を上向かせた。一方、日経平均株価は一時6万3385.04円(+671.39円)まで上昇し、取引時間中の最高値を更新したが、午前中にマイナスに転じるとその後は軟調に推移。米国の和平提案に対するイランの回答を受け、トランプ米大統領が「全く受け入れられない」との見解を示したことで原油市況が上昇、先行き不透明感の高まりが重石になった。
今日は日経平均株価の上値の重さとともに、ハイテク株を中心に買い意欲が根強いことも感じられる相場展開だった。決算シーズン終盤を迎え、ハイテク株物色や日経平均株価の上昇は続くか…今日のX(旧ツイッター)の音声チャット「スペース」配信では、注目のハイテク株や相場見通しについて解説したので、投資の参考にしてほしい。
【日経平均】62417.88円↓
(-295.77円)
【グロース250】842.66↑↑
(+14.31)
【NYダウ】49609.16ドル→
(+12.19ドル、8日)
【ナスダック】26247.076↑↑
(+440.880、8日)
【今日の話題株】
◆ソニーグループ(6758)
3372円(+258円)
子会社を通じ、台湾積体電路製造(TSMC)との間で、次世代イメージセンサーの開発・製造に関する戦略的提携に向けた基本合意書を締結した。熊本県に建設されたソニー工場への開発及び生産ラインの構築に向けた検討や、「フィジカルAI」応用分野における新たな機会の探索・対応を進めていく。なお、先週末の取引時間中に発表した決算では、半導体メモリー価格の高騰が懸念されたゲーム事業で市場期待を上回る見通しを示したほか、自社株買いも発表した。
◆任天堂(7974)
7020円(-647円)
2026年3月期の営業利益は前の期比27.5%増の3601億円と計画および市場予想を下振れ。2027年3月期は2.7%増の3700億円と市場予想を大きく下回った。「ニンテンドースイッチ2」などの値上げを同時に発表しており、値上げによる販売減の影響を織り込んでいる。計画は保守的である上、半導体メモリーの価格高騰による業績悪化は概ね予想されていたが、業績見通しは想定以上に弱く、株価にはネガティブな反応が先行した。
◆JT(2914)
6164円(+395円)
2026年12月期の第1四半期(1〜3月)営業利益は前年同期比24.7%増の3045億円と市場予想を上回った。たばこ事業で値上げ効果が引き続き貢献。シェア拡大が続く加熱式たばこ「Ploom」を中心に販売数量も堅調だった。中東情勢による業績への影響が軽微であることも投資家を安心させた。通期予想に対する進捗率は33%と高い。今後、投資費用が嵩む計画だが、それを踏まえても業績・配当の上方修正への期待が高まる内容だった。
●【2】月曜コーナー「ザイアナリスト仲村幸浩『今週の焦点』」
今週は国債入札・米CPIで金利注視、国内決算はピーク迎える
先週の日経平均株価は+3200.53円(+5.38%)。米国からイランに向けた覚書に関して合意に近づいていると伝わり紛争終結への期待が高まったほか、引き続きAI(人工知能)関連株の大幅高が相場をけん引した。
今週の株式相場は上昇一服か。先週までの日米株価の急ピッチでの上昇の背景には(1)「中東情勢に対する懸念後退」(2)「AI銘柄を中心とした好調な企業決算」があった。ただ、トランプ米大統領は紛争終結に向けた米国の提案に対するイランの回答について「全く受け入れられない」との見解を示した。NY原油先物相場が再び1バレル=100ドル前後まで上昇する中、5月中に事態が収束するとの楽観的なシナリオは修正を迫られそうだ。また、日本国内では週末にかけて決算発表がピークを迎えるが、これまでの主要企業の決算動向から、AI関連企業の好決算は概ね織り込み済みだろう。
一方、米国の大型テック企業はAI関連の設備投資額を引き上げているほか、需給(需要と供給)が逼迫する半導体メモリーは2年以上先まで供給能力の不足が予想されている。市場動向の予測が見立て通りであれば、材料出尽くしには程遠い。このため、AI関連株については、短期的には利益確定売りが先行しても、中長期的には押し目買いの好機と捉えたい。
他に、国内外の物価指標・金利動向に注目したい。米国では4月の消費者物価指数(CPI)・卸売物価指数(PPI)が、国内では10年物・30年物の国債入札が発表・実施される。世界的なインフレ・財政不安が長期的な懸念材料としてくすぶる中、中央銀行による利上げ観測が高まっている。予想を上回る物価指標や国債入札の低調が確認された場合には、金利が一段と上昇する恐れがある。米国の10年物国債利回りが4.5%を超えてくると、株価の重石になり得るため注意しておきたい。
【仲村の今週の注目銘柄・テーマ】
物語コーポレーション(3097)
「好決算」「外食」「インフレ下での高い経営力」
4905円(+700円)
「焼肉きんぐ」「丸源ラーメン」「ゆず庵」などを展開する大手飲食チェーン。先週末に発表した2026年6月期の第3四半期(2025年7月〜2026年3月)営業利益は前年同期比31.4%増の91億円と市場予想を大きく上回った。据え置かれた通期予想から逆算される第4四半期(4〜6月)営業利益は28.5%減となる見込み。改装投資の集中などが予定されているようだが、あまりに保守的で、上振れが期待される。
インフレ下で出店を見送る企業も少なくない中、各業態において積極的な新規出店を続けている。また、高い顧客満足度から、値上げを行っても客数が伸びる好循環が続いている。近年は海外展開を積極化させ、ハンバーグ専門店「肉肉大米」や米国で買収した鉄板焼き専門店「SHOGUN」を強化。特に「肉肉大米」は計画を上回る出店ペースで、デベロッパーからの引き合いも強いようだ。
海外展開という新たな成長ドライバーが加わった一方、PERはまだ25倍台にとどまる。同様に海外展開で成功している「スシロー」のFOOD&LIFE COMPANIESや、「すき家」「はま寿司」などのゼンショーホールディングスのPERが30倍台後半であるのに比べ、割安感が残っており、中長期的に注目したい。
仲村幸浩
ダイヤモンド・ザイ アナリスト立教大学経済学部卒業。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。証券会社や金融情報サービス会社を経て2023年10月より現職。マーケットアナリストとして各種メディアで活動中。
ザイ編集部
最終更新:5/11(月) 20:10