国会議員からタレントに転身。今では投資家・実業家など、さまざまな顔も持つ杉村太蔵さん。なかでも投資家としての実力は“超一流”と自負しているという。果たして、それほど自信を持つ根拠とは何なのか? そこで、今回は太蔵流・資産づくりの秘訣についてインタビュー。有望株を探すコツも教えてもらった!(ダイヤモンド・ザイ編集部)
「ダイヤモンド・ザイ」2026年5月号の「あの人に聞きたい! おカネの本音!」を基に再編集。データはすべて雑誌掲載時のもの。
● 就職氷河期で派遣スタッフとして社会に出るも、 度胸を買われて外資系金融に就職⇒その後は国会議員に!
――杉村さんと言えば、2005年に“小泉チルドレン”の一人として最年少衆議院議員(当時)となり、その後はテレビタレントに。でも、それ以前のことはあまり知られていないですよね。
杉村さん こう見えてもスポーツ少年で、幼少期からテニスに没頭していました。高校3年のときには、国体(現・国民スポーツ大会)で優勝したんですよ。おかげで、スポーツ推薦枠で筑波大学体育専門学群に入学できたのですが、6年在学した挙句に中退。当時は超就職氷河期だったので、卒業できなかった人間を雇ってくれる会社はなく、派遣スタッフとして社会人生活をスタートさせました。
――大学を中退されたのが2004年。それから1年ちょっとで国会議員になったのですね。
杉村さん ビル清掃の会社に派遣され、とある外資系証券会社の掃除を担当することになったんです。そこで働くカナダ人の営業幹部と仲良くなり、ある日「ウチで働いてみないか?」と誘われたんです。嘘みたいな話ですが、そのカナダ人と会うたびに、時代劇のお殿様のように「ははーっ」と持ち上げたりしたことが面白がられたみたいですね。物おじしないところに、度胸と人間味を感じたのでしょうか(笑)。
――それで、そのまま就職を?
杉村さん はい。といっても、いきなり株の営業なんてできません。まずは、株式調査部というところに配属され、企業分析のアシスタントのような仕事を担当しました。この部署で、超絶優秀な外資系アナリストの皆さんにかわいがってもらい、銘柄分析のイロハを教わったのが、「投資家・杉村太蔵」の成長に役立っています。
それと、この部署にいたからこそ国会議員になる道が開けたんです。というのも、部の調査活動の一環として「郵政解散選挙の動向を調べなさい」と上司に命じられたのです。そこで、調べてみると自民党が立候補者を公募していることがわかりました。そして、駄目もとで論文を送ったところ、通っちゃったんです。あとは、ご承知のとおり。外資系証券マンから晴れて国会議員になったけど、いろいろあって1期4年で“お役御免”となりました(笑)。
――でも、その後はテレビタレントとして長くご活躍されていますよね。かなり稼いでいると思いますが、なぜ投資を行っているのですか?
杉村さん テレビタレントって、かなり不安定な商売なんですよね。私の場合、一応『サンジャポ』(『サンデー・ジャポン』TBS系)の準レギュラーということになっていますが、たまたま毎週出演のお声が掛かっているだけで、継続が保証されているわけではありません。
思い返せば、派遣の時代から収入は不安定だったし、国会議員だって、おカネの面では安泰じゃありません。今年初めに引退された菅義偉元総理は、議員歴30年なのに退職金や年金は1円ももらっていません。法律が変わって、もらえなくなってしまったんです。いろいろ考えると先々のことが不安なので、投資はしておくべきだと考えるようになりました。
● 毎年6月に発表される「骨太の方針」で政策関連株をリサーチ 投資と「推し活」はよく似ており、結局応援したいかどうかが重要!
――ご自身を、投資家としては“超一流”と言っているそうですね。
杉村さん はい(笑)。株式投資に関しては、誰にも負けないという自信を持っています。なぜなら、自分なりの勝ちパターンを持っているからです。
――先ほど、外資系証券の株式調査部で銘柄分析のイロハを教わったと聞きましたが、それが勝ちパターンに影響しているのでしょうか?
杉村さん もちろん、それも大きいですね。加えて、私には1期4年の国会議員経験があり、その後も政治評論家として、日本の経済政策を研究し続けてきた経験があります。おかげで、ミクロ経済(銘柄分析)とマクロ経済(政策分析)の両面から、先行きを見通せる力が身に付きました。
国政に携わって実感したのは、日本経済が良くも悪くも「官民一体型」で動いているということです。国が特定の産業や技術を重点分野として掲げ、その方針に沿って企業が投資を拡大し、成長していく──そうした構図がはっきりと存在しています。だからこそ、政策の方向性をいち早く読み取り、その恩恵を受ける“政策関連株”をポートフォリオに組み入れながら、全体を組み替えていく。これが、私の基本的な勝ちパターンです。
――具体的に、どんな政策に着目しているのですか?
杉村さん 私が投資をする際にもっとも注目しているのは、政府の経済財政諮問会議が毎年6月に発表する「経済財政運営と改革の基本方針」、いわゆる「骨太の方針」です。なぜ、これに注目するのかというと、「国としてどんな問題を、どう解決しようとしているか」「日本経済をどうしようとしているのか」といった大きな方向性が示されるからなんです。
――方向性が重要なんですね。
杉村さん 「骨太の方針」には、課題解決のために投入する予算の規模や、企業の参画を後押しするための規制緩和策なども盛り込まれます。これらがインセンティブとなって、関連する企業の投資は活発化し、成長する可能性も高まるわけです。
そうした方針の恩恵を受けやすそうな企業の中から、自分が応援したくなるような銘柄に投資しています。投資って「推し活」によく似ていると思うんですよ。最後は、好きなアイドルや俳優のように、成長を応援したくなるかどうかです。
――最近で言うと、どんな業種の銘柄が「骨太の方針」の恩恵を受けたのでしょうか?
杉村さん 岸田文雄内閣のときに「貯蓄から投資へ」という方針の下で、新NISAが始まりました。その恩恵を受けて、証券会社などの株が上がったのが直近の典型例だと思います。ちなみに、岸田内閣が新NISAを始めたのは、かつて安倍内閣が狙ったものの、効果が表れなかったトリクルダウンを別の形で狙ったものではないかと思うんですよ。
――と、言いますと?
杉村さん ご承知のように、トリクルダウンとは、大企業や富裕層に恩恵を与えることで、その富が低所得層にも広がっていくという理論です。ところが、直近20年、国民の賃金はほとんど上がっていない。日本企業全体の当期利益は2000年の8兆円から2024年には89兆円と、10倍に増えているにもかかわらず、です。
つまり、トリクルダウンは起こっていないのです。アベノミクスの恩恵を受けて企業が稼いだおカネは金庫に仕舞い込まれてしまい、内部留保が300兆円も貯まってしまいました。とはいえ、企業の税金を上げて、それを再分配するのも難しい。そこで、企業が賃金を上げないのなら、国民には株主となって利益を受け取ってほしい、というのが新NISAの狙いなんだと思います。
――面白い考え方ですね。ここ数年、ようやく賃金も上がり始めていますが、それを上回る勢いで物価が上がっているので“焼け石に水”です。
杉村さん この先もインフレが続くとすると、ますます給料だけに頼らないほうがいいでしょう。“投資によるトリクルダウン”をしっかり受け取ったほうがいいと思います。投資をする人としない人では、今後、収入格差がどんどん広がるかもしれませんよ。
ちなみに私は、岸田内閣だった2年前ぐらいから、日本は「第2次高度経済成長期」に突入したのではないかとみています。企業業績は好調が続き、日経平均も5万円を超えましたからね。何より、日本企業の挑戦する意欲が増してきたのは、非常にいい兆候だと思っています。10年後から15年後には、日経平均株価が8万円を超えるとみています。
――そんな杉村さんが、個別で有望視している銘柄は何でしょう?
杉村さん 出身が北海道だからというわけではありませんが、北海道電力には注目しています。今後、洋上風力の開発によって発電量が大幅に増えれば、ラピダスのような次世代半導体メーカーやデータセンターが国内外からどんどん集まってくる可能性があります。
寒冷で土地も死ぬほどある北海道は、電気さえあれば、これらの企業の格好の受け皿になるからです。半導体にAI、自然エネルギーと、「骨太の方針」の恩恵をいくつも受けられる有望銘柄だと言えます。
――今後の目標を教えてください。
杉村さん 私の「推し活」は長期投資です。少なくとも70歳になるまではじっくり保有して、持ち株の成長を楽しみたいですね。当面は、6月に発表される今年の「骨太の方針」で、どんな新しいテーマが登場するのかを楽しみにしています。
本記事は、ダイヤモンド・ザイ5月号の内容紹介を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で運営しているものではありません。投資は自己責任において行ってください。
渡辺賢一/ダイヤモンド・ザイ編集部
最終更新:4/8(水) 21:00