半減期、消費者へのビットコイン普及を加速【Future of Bitcoin】

3/29 6:30 配信

CoinDesk Japan

ビットコイン半減期とその結果としてのビットコイン(BTC)価格をめぐって世界中が熱狂する中、現実を確認する時間を取ることが重要だ。

半減期とは

ビットコイン半減期は、世界の大半の人々にとっては何でもないことだ。その核心は、ビットコイン取引を処理する人々の報酬が単純に半分になることだ。クレジットカード、決済アプリ、スマートフォンのタップなど、すべての電子決済は何らかの処理を必要とする。


ビットコイン取引も例外ではない。


オンチェーンでのビットコイン取引は、ブロックチェーン上で取引の検証と記録を行う、いわゆる「マイナー」と呼ばれる人たちの膨大なネットワークによって処理される。現在までのところ、これらのマイナーは2種類の報酬を受け取っている。


ビットコインネットワークから支払われるブロック報酬と、取引を行う人がビットコインで支払うネットワーク取引手数料だ。


半減期では、1つ目の報酬が半分になる。これには何の驚きもない。半減期はシステムにあらかじめ設定されたものであり、最大2100万ビットコインが発行されるまで、新しいビットコインの供給を予測可能な方法で調整するように設計されている。現在のトレンドからすると、来世紀のある時点で、ビットコインの支払いを処理するためのブロック報酬は、ゼロになるまで半減する。


しかし、ブロック報酬が半減する結果は、2つ目のネットワーク取引手数料に大きな影響を与える。取引手数料の上昇は、ビットコインの供給が設計上、制限されていることを痛感させる。2100万ビットコインが(ブロック報酬として)発行されると、誰かがビットコインを増やしたり、供給量を変えたりすることはできない。


ビットコインを「デジタルゴールド」に例える人がいるのはこのためだ。悪い比較ではないが、2つの重要な違いがある。


第一に、ビットコインの供給量は2100万ビットコインに固定されている。金の供給量は有限だが、固定されているわけでも、既知でもない。結局のところ、明日になって大規模な金鉱が発見されるかもしれない。


第二に、ビットコインは無限に分割可能だ。ビットコインの価値が上がれば上がるほど、人々は価値を細分化して取引するようになる(例えば、1ビットコインは1億サトシに相当する)。


金は現物であり、価値の上昇につれて、無限に細分化することは事実上不可能だが、新たにデジタルゴールドの世界に参入する企業は、金をよりビットコインのように機能させようとしている(例:パクソスによるパックスゴールド)。

レイヤー2へのシフトとそこから生まれる好循環

半減期は、ビットコイン供給量が限られていること、そして需要が増加していることを人々に思い出させ、長期的にビットコインの価格を押し上げる。何かの価値が高まれば、それを使いたいと思う人が増え、そのサイクルは続く。


短期的には、半減期による日常的な最大の影響は、取引手数料の安価な処理業者への消費者の幅広いシフトだろう。ライトニングネットワークは、メインのブロックチェーンの外側でビットコインの取引を行うレイヤー2ネットワークだ。ライトニングネットワークは、メインのブロックチェーンと同様に、ピア・ツー・ピアのビットコイン取引をほぼ瞬時に処理する。


大きな違いは、ライトニングネットワークの取引手数料はわずか数セントであること。少額の送金や、少しのビットコインで商品やサービスを購入するような普通の人々にとって、こちらの方が迅速で安価なため、好まれる取引方法になるだろう。ライトニングネットワークでの取引が比較的簡単であることも、消費者への普及を加速させるかもしれない。


もちろん、オンチェーン取引はなくならないだろう。人々は今後もブロックチェーンを利用して、大規模な取引を記録していくはずだ。自動車や住宅を購入する際に、デビットカードではなく電信送金を利用するのと同じように。


オンチェーンネットワークの取引手数料が上昇し続けると、ネットワークの混雑はレイヤー2ネットワークへの移行によって相殺され、その結果、より大量の取引が促進され、その一部はメインブロックチェーン上で発生し、処理手数料を押し上げるだろう。


結局のところ、ライトニングのようなレイヤー2ネットワークが台頭しても、ビットコインが広く採用されるにつれて、ネットワーク手数料は着実に上昇することになるだろう。


それは良いことだ。


ビットコインが他の通貨と同じように振る舞えば振る舞うほど、人々はより快適に使えるようになるだろう。我々の多くはマイナーではないが、現在、経済的な権利を奪われた人が多い。


現在、世界にはスマートフォンは持っているが銀行口座を持っていない成人が10億人以上いる。このような人々は世界の他の地域とはデジタルでつながっているが、グローバルな金融システムに参加することのメリットを享受していない。


彼らにとってビットコインは、日々の支出や個人的な貯蓄のための強力なソリューションとなる。ただし、高速で信頼性が高く、安価でアクセスしやすい場合に限る。半減期は、ライトニングのようなレイヤー2ネットワークの普及に拍車をかけることで、ビットコインをまさにそのような存在にしてくれる。


|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸|画像:Michał Mancewicz/Unsplash(CoinDeskが加工)|原文:The Bitcoin Halving Could Accelerate Consumer Adoption of BTC

CoinDesk Japan

関連ニュース

最終更新:3/29(金) 7:08

CoinDesk Japan

最近見た銘柄

ヘッドラインニュース

マーケット指標

株式ランキング