イランへの攻撃は十分だったのか-沈黙守るイスラエル、国内では議論

4/20 2:41 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): イスラエルはイランに対する19日の報復攻撃について、これまでのところ公式には沈黙を守っている。しかし、イスラエルのアナリストや当局者の間では、今回の攻撃の規模が強さの表れなのか、それとも弱さの表れなのかを巡り議論が行われている。

イラン第3の都市イスファハンを標的にした攻撃が行われたとの報道から程なく、かつてイスラエルの国家安全保障担当高官を務めていたエヤル・フラタ氏は「イランがわれわれに攻撃を仕掛ける時には以下の点を理解しておかなくてはならない。イスラエルにはいつでも攻撃する能力があり、深刻な打撃を与えることが可能だということだ」と軍のラジオで発言。「われわれには高い能力を持つ空軍があり、米国もわれわれの味方だ」と語った。

イラン、イスラエルによる無人機攻撃確認-試みは失敗とも主張

「弱い」。X(旧ツイッター)でこうつぶやいたのは、ネタニヤフ政権で国家治安相を務める強硬派のイタマル・ベングビル氏だ。同氏は約1週間前にイスラエルがイランからの直接攻撃を受けて以降、徹底的な報復を要求してきた。

イスファハンには軍事基地や施設が複数あり、イランが13日にイスラエルを攻撃した際の発射地点の一つがあったと考えられている。

米当局者2人は、イスラエルがイランに対する報復攻撃に踏み切ったと認めた。イスラエル当局者によると、同国政府は高官や大使館に対し、今回の攻撃については確認も議論もしないよう指示。こうした対応はほぼ従来通りだという。イランの国営メディアはイスラエルによる無人機での攻撃を確認したが、作戦は失敗し、被害はなかったとしている。

イスラエルのアナリストの多くは、先週末のイランによるミサイル・無人機攻撃の大半を撃退できたことの重要性を強調しており、イスラエルの対応は意図的に抑制されたものだったとみている。

対外情報機関モサドの元高官、シマ・シャイン氏は同国テレビ局に対し、今回の攻撃は限定的ではあるものの、イスラエルに何ができるかを示すものだと語った。

イスラエルは現在、複数の紛争を抱えている。イスラム組織ハマスによって約100人の人質がなお拘束されているパレスチナ自治区ガザで軍事作戦を続けているほか、レバノン、シリア、イラク、イエメンの親イラン勢力からの攻撃も受けている。

イスラエル、イランとの対立で新局面-代理勢力だけでなく直接対峙も

19日にイスラエル国内のテレビ・ラジオ番組に出演した人からは、イランとの新たな直接戦争に突入するのではなく、政府は差し迫った問題に今後も焦点を当てるべきだとの指摘が多く聞かれた。

ただ、イランによる前代未聞の直接攻撃という深刻さを踏まえ、今回の報復攻撃自体やその正当性を巡っての反発はイスラエル国内にはほとんど見受けられない。

イスラエル軍情報機関の元高官ヨッシ・クーパーワッサー氏は、イスラエルによる19日の攻撃は限定だったが、それに対するイランの反応は「あらゆる可能性」があり、大規模な反応にも備えるべきだと語る。

「今回の攻撃がイスラエルによるものだと仮定した上で、われわれが達成したのは、イランが脆弱(ぜいじゃく)であることをイラン国民に分からせたことだ」と指摘。「攻撃目標は核施設から遠く離れていなかった。そうした場所に到達し、打撃を与えることがわれわれには可能だ。それがメッセージだ」と述べた。

原題:Israel Debates If Reported Strike on Iran Was Big Enough (1)(抜粋)

--取材協力:Henry Meyer.

(c)2024 Bloomberg L.P.

Bloomberg

関連ニュース

最終更新:4/20(土) 2:41

Bloomberg

最近見た銘柄

ヘッドラインニュース

マーケット指標

株式ランキング