中国の鉄道貨物輸送、1~3月期は7年ぶりマイナス コモディティの輸送需要低迷、国際貨物は好調

5/14 16:02 配信

東洋経済オンライン

 中国の鉄道貨物の輸送量が、2024年1~3月期に前年同期比で7年ぶりのマイナスを記録したことがわかった。国家鉄路局が4月16日に発表したデータによれば、1~3月期の全国の鉄道貨物輸送量は前年同期比1.3%減少した。

 貨物の輸送距離を含めた輸送量を表すトンキロ(訳注:貨物の重量[トン]に輸送距離[キロメートル]を乗じた数値)ベースでは、1~3月期の輸送量は前年同期比4.8%減少。月別では、3月の輸送量が重量ベースで前年同月比2.7%、トンキロベースで6.6%落ち込んだのが目立った。

■鉄鋼不況が需要を直撃

 1~3月期の鉄道貨物輸送量の減少は、鉄鋼市況の悪化を受けて(鉱石や石炭などの)コモディティの輸送需要が落ち込んだのが主因だ。例えば、石炭の生産が盛んな山西省の大同市と中国最大級の石炭積み出し港がある河北省秦皇島市を結ぶ石炭輸送専用線の大秦鉄路では、1~3月期の輸送量が9824万トンと前年同期比6%減少した。

 鉄道貨物の輸送量には季節的な波があり、(中国の旧正月である春節が含まれる)1~3月期はもともと閑散期にあたる。しかし過去データを振り返ると、中国政府が2017年に「トラック輸送から鉄道輸送へのシフト」を促進する政策を打ち出して以降、1~3月期の貨物輸送量は2023年まで一貫して前年同期比プラスで推移してきた。

 中国国内の鉄道貨物輸送の落ち込みとは対照的に、国境を跨ぐ国際鉄道貨物輸送は目覚ましい成長を続けている。

 例えば、中国の雲南省とラオスを結ぶ中老鉄路(中国ラオス鉄道)では、1~3月期の輸出入貨物の輸送量が138万トンを超え、前年同期比3割以上も増加した。また、中老鉄路の国際貨物列車の運行本数は1日当たり平均14本と、前年同期より10本も増えた。

 ヨーロッパと中国を結ぶ国際貨物列車「中欧班列」は、1~3月期の貨物輸送量が49万3000TEU(20フィートコンテナ換算)と前年同期比10%増加。列車の運行本数は4541本と同9%増加した。このほか、ベトナムと中国を結ぶ「中越班列」の1~3月期の貨物輸送量は1594TEUと、総量は小さいものの前年同期比82%の大幅な伸びを記録した。

■鉄道輸送能力の強化継続

 中国では4月10日の18時から全国の貨物列車のダイヤ改正が実施され、国内の長距離貨物列車や国際貨物列車の輸送能力が強化された。

 国家鉄路集団のSNS(社交サイト)公式アカウントによれば、今回のダイヤ改正では(全国に18ある)地方鉄路局の管区を跨いで運行する長距離快速貨物列車を1~3月期よりも31本増発。また、中欧班列の定期運行路線を87路線、中央アジアと中国を結ぶ「中亜班列」を同39路線に増やし、需要に応じてさらに輸送能力を引き上げるとしている。

 輸送需要が低迷しているコモディティに関しても、輸送能力は強化している。ダイヤ改正後は、複数の地方鉄路局管区を跨いで運行するコモディティ輸送専用の直通貨物列車を1~3月期より37本増発。そのなかには石炭専用直通貨物列車の8本増発も含まれている。

 (財新記者:趨暁桐)
※原文の配信は4月17日

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最終更新:5/14(火) 16:02

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