将来を考えた不動産購入【不動産エージェントが選ぶ「大阪府」4つの注目エリア】 交通の利便性や街が活気づく要素、社会変革も見据えて
日本の不動産市場は、少子高齢化や人口減少により、縮小が避けられません。不動産コンサルタントの長嶋修氏は近い将来、大きな社会変革が起きることを見据え、不動産と“幸せな関係”を築くための知識と手段を著書『2030年の不動産』にまとめました。同書より一部を抜粋し、本記事では大阪で不動産を買うときの「おすすめエリア」をご紹介します。
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■注目エリア1「大阪市内中心部(北区・中央区)」
大阪府の中心といえば大阪市。梅田や難波を中心に発展してきた日本第二の大都市です。
コアエリアと言えるのはその梅田や難波の周辺で、路線で言うと大阪メトロ御堂筋線の梅田駅〜なんば駅間、堺筋線の天神橋筋六丁目駅〜日本橋間、谷町線の天神橋筋六丁目駅〜谷町九丁目駅間、四つ橋線の西梅田駅〜なんば駅間あたりが該当します。
梅田や難波がある北区、中央区は数々の商業施設が集中。道頓堀や心斎橋、大阪城といった人気観光スポットがあるほか、交通の要所でもあり、利便性が極めて高いことから、すでに不動産価格はかなり上がっています。
コアエリア内でも古くから人気があるのは、大阪城から天王寺方面にかけての上町台地エリアです。この一帯は地盤が強いと言われ、大阪府庁や大阪府警察といった大阪の主要公的機関が集中しており、この先も地価が低下する可能性は低いでしょう。
また、近年脚光を浴びているエリアにうめきた地区があります。うめきた地区は、大阪駅北側の旧梅田貨物駅の跡地のことで、この約24haの敷地を開発するうめきたプロジェクトは、2002年から着々と進められてきました。
すでに2013年には、複合商業施設「グランフロント大阪」がオープン。さらに2024年9月には、こちらも商業店舗やオフィスなどで構成される「グラングリーン大阪」の一部がオープンしました。
グラングリーン大阪は、従来の複合商業施設と同様にショップやホテルが入るほか、JR大阪駅直結の広大なうめきた公園も有しています。うめきた公園は、その造形美や都市の中心部とは思えないほどの開放感から、早くも来園者に高い評価を受けています。
交通利便性が高いうめきた地区は「関西最後の一等地」と呼ばれてきましたが、グラングリーン大阪内のタワマンには関西最高額として話題になった25億円の住戸があり、即完売したことでも耳目を集めました。
この事例からもわかるように、東京の都心3区・5区と同様、大阪コアエリアの新築物件は、もはやマス層をターゲットにしておらず、国内外の富裕層をターゲットにしています。
もちろん、今後とも期待値の高い狙い目のエリアではありますが、あくまで資金力があれば、という但し書き付きになります。
■注目エリア2「大阪市阿倍野区・天王寺区・城東区・鶴見区」
大阪市の中心部(北区・中央区)からやや離れると、不動産価格は現実的な水準になってきます。そのため、隣接する福島区や西区あたりには若い世代が集まり、徐々に注目度が高まっています。
そのほかに注目しておきたいエリアは、やはり北区・中央区からの距離が近い阿倍野区、天王寺区、城東区、それに鶴見区です。
なかでも、コアエリアに短時間で電車移動ができ、すでに人気の街となっているのが阿倍野区と天王寺区です。
阿倍野区と天王寺区は隣接しており、その境界付近には地上300mの超高層ビル「あべのハルカス」がそびえ立っています。あべのハルカス内には百貨店の近鉄本店や大阪マリオット都ホテルが入り、一帯のランドマークとなっています。あべのハルカス周辺にはほかにもショッピングモールが充実し、交通面でも生活面でも利便性は抜群です。
阿倍野区と天王寺区の特徴としては、ともに教育レベルが高いことが挙げられます。それでいて、大阪の庶民性も感じることができるエリアなので、ファミリー世帯を中心に今後も人気は続いていくでしょう。
また、中央区の東に位置する城東区は、ターミナル駅の京橋駅を中心に栄え、もともと人口密度の高いエリアです。ファミリー層が多く住む治安のいい住宅街が広がり、駅前の商業施設は常に賑わいを見せています。
京橋からJR大阪環状線で2駅のところにある森ノ宮には、大阪市立大学と大阪府立大学の合併により誕生した大阪公立大学のメインキャンパスが、2025年9月にオープン予定です。1年次は全学部・学域がこの森之宮キャンパスに学ぶため、学生の往来が増えることによって街が活気づき、発展するものと予想されます。また、学校のような大規模施設は、災害時の避難場所として活用できるという大きなメリットもあります。
最後に、鶴見区は大阪市の東部に位置し、西側は城東区、北側は守口市や門真市などと隣接しています。大阪市の中では比較的新しい街であり、外部からの移転希望者も多数。市内の梅田にも電車で30分前後もあれば移動できるため、交通アクセスは良好です。今後も、市の中心部に行き来しやすいエリアに住みたいというニーズの受け皿になるでしょう。
■注目エリア3「豊中市・吹田市」
大阪の北部から兵庫の南東部にかけての一帯は北摂と呼ばれ、古くから高級住宅街としてその名を馳せてきました。具体的には、豊中市や吹田市、池田市、箕面市、茨木市、高槻市などが北摂に含まれており、今なお緑豊かで閑静な住宅街が広がります。なお、関西の名門・大阪大学のキャンパスは、豊中、箕面、吹田の北摂エリアに点在しています。
北摂の中でも、今後とも人気が継続しそうなのが豊中市と吹田市です。豊中市は梅田駅まで約10分でアクセスできるほか、新大阪駅へも乗り換えなしで行くことが可能。大阪国際空港(伊丹空港)も市内にあるため、遠出に便利なところも地価の安定に寄与するでしょう。
吹田市は、古くからのお屋敷街とニュータウンに二分されていますが、どちらも大阪・関西の成功者が住む街として有名です。大阪以外からの転居者の割合も高い地域であり、教育熱はかなり高く、今後とも大阪随一のブランド力は色あせないでしょう。
■注目エリア4「堺市北区・堺区」
堺市は中世に文化・技術の発信地として隆盛を極め、「ものの始まりはなんでも堺」と言われるほどの貿易都市・商業都市として発展しました。現在も大阪第二の政令指定都市でありながら、市内に日本最大の前方後円墳(仁徳天皇陵古墳)など、複数の古墳を有する歴史の街でもあります。
そんな堺市は、大阪市中心部に電車で15分程度もあれば移動できる、交通利便性の高いエリアでもあります。北摂のような上品さはないものの、なにわの庶民感覚が好きな人には、おすすめの地域と言えるでしょう。また、不動産価格も大阪市中央部や北摂エリアに比べると手頃になるため、利便性のわりにはコスパがよいと言えます。
東洋経済オンライン
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最終更新:4/8(火) 14:32