日銀会合後の円安に警戒! 1/24の日銀利上げは100%織り込まれ、米ドルの利食い売りが出ても円高余地は限定。日銀追加利上げはかなり先の話で、円安の公算が高い!
トランプ米大統領の就任式まで米ドルロングで攻めていたため、利益確定の米ドル売りから、米ドルは米ドル/円以外で総じて軟調
みなさん、こんにちは。
注目されたトランプ米大統領の就任式に関しては、事前にWSJ(ウォールストリート・ジャーナル)が「就任初日の新たな関税導入は見送る」と報じていたとおり、就任早々の関税導入はなし。
「2月1日(土)までにメキシコとカナダに25%関税を計画」という報道で、一時マーケットが荒れる局面もあったのですが、総じて波乱はありませんでした。
トランプ米大統領の就任式は、マッキンリー元米大統領の高関税や領土拡大などが連想されるコメントもあり、極めて興味深い点が多々あったのですが、これに関してはセミナーやメルマガなど、他の機会で触れていきたいと思います。
ともあれ、多くのマーケット参加者はトランプ米大統領の就任式までは米ドルロングで攻めていたため、利益確定の米ドル売りから、米ドルは米ドル/円以外で総じて軟調。
年初からパリティ(1ユーロ=1.00ドル)割れを目指して、売り込まれていたユーロ/米ドルも、いったん1.04ドル台に反発しています。
ユーロ/米ドルに関しては以下の点から、トレンドはまだユーロ安・米ドル高で、ダウンサイドリスクが高いというのがコンセンサス。
★ユーロ/米ドルはダウンサイドリスクが高いというコンセンサスの理由
(1)1月30日(木)にECB(欧州中央銀行)の0.25%の利下げを控えていること
(2)ゴールドマン・サックスはこれまで、ユーロ/米ドルの目標値を1.00ドルとしていたが、新たに0.97ドルという目標値を出してきたこと
マーケットの目線はまだユーロ安・米ドル高方向ですが、マーケットのユーロショートが積み上がってきているため、なかなか下落が加速せず。
トランプ2.0は暗号通貨高、米ドル高とも予想されており、ビットコイン/円は1600万円と高値圏で推移しているのですが、ユーロに対して米ドル高がなかなか進みません。
そうした中、底堅く推移しているのが米ドル/円です。
明日の日銀の利上げは100%織り込み済み。日銀会合後のユーロ/円を筆頭としたクロス円、そして米ドル/円の続伸に注目!
OIS(※)という金利スワップ市場では、明日(1月24日)の日銀会合(日銀金融政策決定会合)での0.25%利上げの織り込み度は100%に達しています。
(※編集部注:OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)とは、固定金利と変動金利の翌日物レートを交換するスワップ取引のこと。日銀の金融政策スタンスに対する市場の見方を観察するのに適した指標として注目されている)
100%利上げを織り込んでいるので、金利はこれ以上動きようがありません。
一方、為替市場参加者は、金利の動きをそこまでフォローしていないことが多く、オーバーシュートする傾向があります。
1月21日(火)のマーケットでも、他通貨で幾分米ドル売りが進むと、日本の金利が動いていないにもかかわらず、一時米ドル/円は154.78円まで値を下げています。
ただ、明日の日銀の利上げが100%織り込まれているため、円高余地は限定的で、米ドル/円はあっさり156円台半ばまで反発しています。
明日の日銀会合後のマーケットですが、金利スワップ市場が日銀の追加利上げはかなり先と見込んでいることから想定すれば、さらに円安に推移する公算が高い。
また、金利スワップ市場で明日の日銀利上げを100%織り込んでいるにもかかわらず、仮に利上げを見送れば、大きく円売りになりそう。
こうした環境下、本稿執筆時点での米ドル/円は156.50円で底堅く推移しています。
一方、ユーロ/米ドルは前述のようにユーロショートが積み上がっており、米ドル/円での米ドル高を横目に、1.04ドル台前半で大きな動きなし。
結果として、ユーロ/円は162.94円まで反発し、スイスフラン円も172.74円まで値を上げています。
筆者が使用しているTDシーケンシャル(※)というテクニカル指標は、スイスフラン/円の日足で流れが変わったことを示唆しており、明日の日銀会合に向けて、もう一段と値を上げそう。
(※編集部注:「TDシーケンシャル」とは、トーマス・R・デマーク氏が開発したテクニカル指標の1つ)
明日の日銀の利上げは100%織り込まれており、日銀会合後のユーロ/円を筆頭としたクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)、そして米ドル/円の続伸に注目です。
ザイFX!
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最終更新:1/25(土) 14:07