ポッドキャスト風に男女2人が軽妙トークを展開するグーグルAI「NotebookLM/音声概要」がついに日本語にも対応、その自然な会話力に震えた!
さまざまな形式の資料をまとめる手助けを行うグーグルのAIサービス「Notebook(ノートブック)LM」。この初版がリリースされたのは2023年7月のことだ。当初は英語版のみだったが、2024年6月以降は日本語にも対応している。
このノートブックLMに昨年秋に追加され話題になっていたのが「音声概要(Audio Overviews)」機能である。こちらも当初は英語のみの対応だったが、4月29日にはついに日本語を含む50以上の言語にも対応した
。
この機能はノートブックLMにアップロードした資料をAIが分析し、情報をわかりやすくまとめ、AIによる2人のホスト(話者)が会話形式で要点を解説する音声コンテンツに変換するというものだ。
■単なる資料の朗読や要約ではない
使い方は簡単。必要な資料を登録したうえで「Studio」にある「クリックして会話を読み込みます。」を押すだけ
だ。しばらく待っていると、対談形式で6〜15分程度の「エピソード」に凝縮される。単なる資料の朗読や要約ではなく、会話になっているところが斬新だ。
2人のホストのうち一人がインタビュアー役、もう一人が専門家役のように振る舞い、資料の要点をまとめたり各トピック間の関連性を指摘したりしながら、時折ユーモアを交えた掛け合いによって進行していく。
百聞は一見に如かず。この記事の編集前段階のメモから音声概要を作ってみた。ぜひ聴いてみてほしい。
きわめて自然な会話になっていることに驚いたのではないだろうか。手元にあるさまざまな資料をもとに、ご自身でも試してみて欲しい。複雑なテーマほど「音声概要」の威力を実感できるはずだ。
■「疑問→回答→納得」という展開を追体験
生成された音声はファイルとしてダウンロード可能で、スマートフォンに入れておけば移動中にポッドキャスト感覚で学習することも可能
だ。
情報の量や深さの面では大量の資料には及ばないが、資料内の情報の関係性をナラティブな(物語風な)学習体験となるようストーリーが組み立てられるため、全体像の把握や新たな気づきを得やすい。
グーグルは音声概要機能を導入した際のブログで「人によっては、テキストを読むより会話を聞くほうが学習した内容をよく覚えられる」ことに着目
し、この音声機能を導入したとその目的を紹介している。
例えばあるトピックについて一方のホストが疑問を投げかけ、もう一方が解説する流れは、聞き手に「疑問→回答→納得」という展開を追体験させ、より深い理解を得ることができる。
音声概要はまだ実験的な段階だ。機能的には驚きを与えるに十分なものだが、難点もある。
まず設定の自由度は高くない。音声のホスト役は男女の固定された音声と喋り方に固定
されており、会話の長さや資料のうちどのテーマに言及するのかなどをユーザーが調整することはできない。男女のどちらがホストで、どちらが専門家の役目を果たすかもランダムで、生成するたびに主題とするテーマの説明方法も変化する。
しかしノートブックLMのプロダクトリーダーであるライサ・マーティン氏は「最初は驚きから始まるが、すぐに、自分で生成する会話内容をカスタマイズしたくなるもの」とブログに記しており、今後は会話を自由に調整するためカスタマイズ機能を順次リリース
していくという。
■対話への参加も可能に
根本的な機能アップも並行して進められている。日本語にはまだ未対応だが、英語版では「インタラクティブ音声モード」が登場し、ユーザーが音声概要の再生中にマイク入力でホストに質問し、対話に「参加」できるようになった
。
その場でAIホストの解説役にパネラーとして質問し、回答や新しい議論の種にできるわけだ。「音声で理解しながら即座に疑問をぶつけて解消する」という双方向の学習形態とも言えるが、視点を変えると社内教育プログラムなどの開発に使える、という見方もできる。「音声概要」の進化は、まだ始まったばかりといえそうだ。
文書の整理を得意とするAIや、人間に近い抑揚でテキストを音声化するAIは数多く開発されている。例えば静止画に音声を与えることで、人間が表情を変えながら話をする動画を生成できる「Hedra」という生成AIサービスがある。プロンプト指示だけで高品位な動画が得られる点で注目されている。
こうしたAIの進化によって、ポッドキャストはもちろん、YouTube投稿動画や広告動画などのあり方も大きく変わっていくことに
なりそうだ。
東洋経済オンライン
関連ニュース
- Apple Intelligence、プライバシー重視の独自路線
- DeepSeekの影響なし?NVIDIA決算が映す実態
- 話しかけたらアプリが連携「Galaxy S25」の新AI
- 世界が震撼「DeepSeek」創業者による問題提起
- マクドナルド「AI広告の炎上」が示す嫌悪感の正体
最終更新:5/10(土) 15:32