「どれを選んだらいいのかわからない」 後付け「宅配ボックス」で失敗しないための“知恵” 園芸用のコンテナなどで手作りする方法も紹介

12/10 7:02 配信

東洋経済オンライン

 再配達の伝票を見るたびに「またやってしまった!」と溜息……。筆者が一軒家の自宅に宅配ボックスを設置したきっかけです。おそらく同じ思いをしている方も多いでしょう。

 近所の宅配ボックスを見ると、新築時に外構工事で取り付けるものばかり。後付けできるタイプをホームセンターなどで見かけますが、「工事費込み」とあったり、「これ自分で工事できるのかな?」と疑問に思ったりで、どれを選んだらいいのかわかりません。

 今回は家電おじさんが宅配ボックスの最新事情から、オススメ宅配ボックス、代替宅配ボックスまで一挙ご紹介しましょう。

■再配達問題を一挙に解決! 

 コロナ禍で爆発的に増加した小口貨物輸送量。コロナ収束で輸送量が一時的に減少・安定したかに思われましたが、ヤマト運輸の発表によれば、2024年10月の宅急便・宅急便コンパクトの取扱実績は、前年度比累計で103.7%(約11億600万個)となっています。

 一方、働き方改革の影響でトラックドライバーが減少し、長距離輸送が困難になるなど、輸送不足が問題になっています。とくに小口貨物で問題となっているのが、全体の11.1%を占める再配達率(2023年国土交通省調べ)です。不在時の処理に加え再配達には倍の労力がかかるため、配達効率の悪化につながっています。

 そんななか注目されているのが「宅配ボックス」。新築時に外構工事で設置するものだけでなく、既存住宅に後付けできるものから、自分で設置できる簡単なものまでさまざまなものがあります。

【写真で見る(全12枚)】筆者宅にある園芸用コンテナで作った「手作りの宅配ボックス」

 宅配ボックスのメリットは次の通りです。とくに女性の一人暮らしでは、寝巻のまま対応するワケにもいかず、一人暮らしであることを悟られることもないので、①は重要なポイントでしょう。

① 宅配業者と顔を合わせて対応する手間が不要で防犯にもつながる
② 荷物を指定時間に受け取れ、再配達の手間や心苦しさがない
③ 配送時間内に在宅する必要がなく時間を自由に使える
 このように便利な宅配ボックスですが、いいことずくめではありません。

 宅配ボックスをしっかり固定しなければ、ボックスごと盗難に遭う恐れもあります。荷物を入れた後に鍵をかけてくれる配達員だけでなく、このあとの配達員のためなのか、鍵をしないままで帰ってしまう配達員もいます。そうなると荷物を盗られてしまうリスクもあります。

 もっと言えば、宅配ボックスにゴミなどを入れて嫌がらせをされることも、あるかもしれません。

 このように盗難やイタズラの問題は避けて通れないだけに、宅配ボックス自体の選び方、取り付け方がより大事になってくるのです。

■鍵の付いたロッカーではない

 ウェブサイトで「宅配ボックス」と検索すると、何万円もするものから1万円を切るものまで、さまざまな製品が出てきます。しかし、しくみを知らなければ製品選びができません。宅配ボックスは「単なる鍵の付いたロッカーではない」からです。

 ■宅配ボックスのしくみ

 宅配ボックスには、据え置き型(玄関前に置くタイプ)、埋め込み・設置型(玄関や地面に取り付けるタイプ)、手軽な簡易型があります。

 基本的に考え方は一緒で、注文した荷物を配達員が配送する際、宅配ボックスがある場合(指定されている場合)は、そこに荷物を入れてロックをします(鍵をかけます)。

 このロック・鍵で一般的なのは、押しボタン式やレバー式です。最近では暗証番号式の鍵がセットになった商品も登場しています。

 押しボタン式は古い旅館でみかける部屋のドアの鍵と同じ。ボタンを押せばロックされます。レバー式もボタンがレバーに変わっただけで同じで、回せばロックがかかります。配達員はこのしくみを使って、宅配ボックスに荷物を入れて、カギをかけることができます。

 荷物を取り出す際は、ボタンやレバーにある鍵穴に鍵を差し込むだけ。ロックが解除されて、ドアが開きます。

 この方式のメリットは「誰でもロックができる」という点。一方でデメリットとしては、これは一度使ったら鍵を開けるまで使えないという点が上げられます。

 わかりやすく言うと、1日に複数の配達員が荷物を持ってきた場合、次の配達員はこの宅配ボックスを使えないということになります(宅配ボックスが1区画しかない場合)。つまり、午前中配送のヤマト運輸は受け取れても、午後配送の佐川急便が受け取れないということになります。

 したがって、宅急便を頻繁に利用する人や、複数の人たちが住んでいる一家などでは不便かもしれません。最低でもロッカーが2区画ある宅配ボックスがほしいところです(宅配ボックスが荷物で一杯になってしまったら、代替宅配ボックスを利用するという考え方もありますので、それは最後のほうでご紹介します)。

■どこに設置するか問題はこれで解決

 次は、設置場所についてです。

 セキュリティの観点から外から見えにくいところに置きたいですが、配達員に宅配ボックスがあることを認識してもらわなければ、せっかく設置してもスルーされてしまいます。

 では、どこが適切かというと、玄関前や門扉の横などになります。

 この際、雨ざらしなのか、軒下などで雨をよけられるかも気にしたいところ。雨ざらしの場合は、雨で浸水してしまうことがあるほか、雪国では雪に埋もれて出せなくなることもあるので、1mほどの足がついたものを選んだほうがいいでしょう。

 盗難を防止するために望ましいのは、埋め込み・設置型の宅配ボックスです。置きたい場所の床面に「アンカーボルト」という専用のボルトを打ち、宅配ボックスを固定します。

 これで持ち出されるという問題はクリアできますが、コンクリート用のドリルなどの工具が必要になりますし、設置してしまうと移動はできません。床面に傷が付いてしまいます。

 床面を傷付けたくない場合は、コンクリートのブロックで重しをしたり、車両の車止め、一部通販で購入できる自動販売機用架台(アンカーボルト対応)を使って固定したりする方法もあります。

 簡単なのは、家の一部にワイヤーやチェーンで宅配ボックスを固定する方法です。宅配ボックスは必ず固定できるようになっていますが、いくつか種類があるので、固定しやすい宅配ボックスを選びます。

 お住まいの地域によっては、宅配ボックスの材質にも気を付けたほうがいいかもしれません。

 多くの宅配ボックスはトタン・ブリキ(亜鉛鋼板)を使っているので、雨ざらしでも10年ほどは安心して使えます。ただし、海や温泉の近くでは、塩分や温泉のガスに含まれる金属腐食性ガスの影響で錆びやすいので、注意。ステンレスかアルミ製のものを選ぶのが賢明です。

 ■郵便ポストを宅配ボックス仕様に

 宅配ボックスの設置を機に、郵便ポストの新調をしてはどうでしょう。

 最近では宅配ボックス機能を備えた郵便ポストもあります。レターパックや大きな封筒で送られるケースも増えているので、小さい郵便ポストでははみ出してしまい、濡れてしまったり盗難にあったりします。こうしたリスクを回避することができます。

 ■取り付けには給付金が使える場合も

 きちんとしたものを取り付けようとすると、宅配ボックスの足をコンクリートで固めたり、基礎を作ったりといった外構工事が必要になり、費用はそれなりにかかります。

 そんなときに助けになるのが「給付金」です。

 昨今、宅配ドライバーの処遇改善や人手不足により、再配達の増加は社会問題になっています。そのため、国土交通省は共同住宅だけでなく、一戸建てやリフォームなどでの宅配ボックスの設置に対して給付金を用意しています。

 地方自治体でも同様の取り組みをしている場合があるので、インターネットでお住まいの地域名と宅配ボックスで検索して、給付金の有無を調べてみるといいかもしれません。

■安くすませたいなら園芸用コンテナ

 家電ライターを営む筆者の事務所兼自宅のように、大型の荷物がいくつ届くかわからないという場合や、「とりあえず宅配ボックスを設置したい!」という場合、通販などで購入できる布製の簡易宅配ボックスや、園芸用のコンテナなどを使うといった手もあります。

 簡易宅配ボックスはワイヤーなどでドアノブなどに固定します。チャックを開けて荷物を入れたら、たいてい南京錠がセットになっているので、南京錠をかけてもらいます。

 帰宅したら南京錠の鍵を開けて、荷物を受け取ります。集合住宅でも共用部分の利用規約に問題がなければ、一時的な宅配ボックスとして利用できます。

 園芸用のコンテナを利用するときは、ワイヤーで柱などに固定したり、コンクリートブロックなどで重しをしたりします。フタの上に「宅配ボックス」と書いておけば、玄関前まで来る配達員にも伝わります。

 セキュリティを考え、道路から見える側面にはフェイクで「園芸用品・スコップ」などと書いておくといいでしょう。フタの本体には穴が開いているので、そこに南京錠をかけ、荷物を入れてもらったら鍵をかけてもらいます。

 ただ、どちらも治安のよくない地域ではオススメできません。盗難に遭っても自己責任となりますので、ご了解ください。

 ■自分でてきる盗難防止対策

 最後は盗難やイタズラの問題です。宅配ボックスの固定だけでは心配な方は、次のような対策をしてはどうでしょうか? 

 1つめは「カメラ付きインターフォンの前に宅配ボックスを設置」です。最近のインターフォンは、自動応答したり、来客者の映像をSDカードに記録したりしてくれます。

 2つめは「ダミーカメラの設置」。宅配ボックスから目立つ場所にダミーカメラを付けるだけでも効果があります。数千円で購入でき、電池を入れると撮影中の赤いランプが光るといった凝ったものもあります。

 3つめは「インターネット対応のドアフォンの取り付け」です。たとえばGoogle Nest DoorbellやArlo Essential 無線ビデオドアベルを使うと、簡単にインターフォンが付けられます。

 来客者がベルを鳴らすと、自分のスマホがインターフォン代わりになり、カメラの映像を見ながら対応ができます。来客者の映像を残したり、荷物を持った人を判定して、「配達員が訪問」とスマホにメッセージを送ったりすることも可能です。どの機種も広い画角をもっているので、人の顔から宅配ボックスの状態まで撮影できるようになっています。

 あとは最後の手段になりますが、高価な荷物はコンビニの宅配ボックスで受け取るという方法もありです。配送先をコンビニの宅配ボックスにすれば、荷物の到着後にQRコードがメールで送られてきます。指定のコンビニに行ってQRコードをかざせば、安全に荷物を受け取れます。

■少しでも再配達を減らせる工夫を

 盗難防止策や手軽で安上りに設置する方法、高価な荷物の受け取りや宅配ボックスが満杯になってしまった対処法、給付金にいたるまで、総合的にまとめてみましたが、いかがでしょうか。

 この記事がみなさんのお役に立ち、再配達の減少につながることを願ってやみません。

東洋経済オンライン

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最終更新:12/10(火) 7:02

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