日銀の年内利上げ予想が8割占める、最多10月は4割に増加-サーベイ

4/18 14:15 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 3月に17年ぶりに利上げを実施した日本銀行が、年内に追加利上げに踏み切ると予想するエコノミストが8割に達した。具体的なタイミングは、10月が4割で最多となっている。

ブルームバーグが12-17日にエコノミスト54人を対象に実施した調査によると、年内の追加利上げ予想は合計で81%と、3月の金融政策決定会合の直後に行った前回調査の64%から増加した。10月会合が41%に増える一方、7月会合は19%に減少。前回11%の9月会合が17%で続いた。前回は10月が最多の26%、7月が23%と拮抗(きっこう)していた。

調査リポート:日銀4月会合ほぼ全員が現状維持予測-年内利上げ増加

一方、リスクシナリオとして利上げの最も早いタイミングも尋ねたところ、7月の52%を筆頭に、84%が7月までに利上げがあり得ると回答。今年末の政策金利水準は中央値で0.25%と前回調査と同水準だったが、ターミナルレート(利上げの最終到達点)は0.75%と前回の0.50%から上昇した。

植田和男総裁は今月、日銀の見通し通りに推移すれば「基調的な物価上昇率が少しずつ上がっていく中で、緩和の度合いの縮小も考えていかないといけない」と発言。円安による輸入物価の大幅上昇で「2%を超えて基調的物価上昇率が上がってしまうリスクが上がれば、金融政策の変更も考えないといけない」とも語った。好調な春闘集計結果の継続に加え、円安加速も年内の利上げ予想の拡大につながっている。

オックスフォード・エコノミクスの長井滋人在日代表は、黒田東彦前総裁の時代であれば2%達成に万全を期すために利上げは当分あり得ないが、「黒田時代への反省で生まれた植田日銀ではインフレ目標を絶対視しない」とみる。植田体制は「2%近傍へインフレが向かっている限りにおいて、できるときに早めに金利のある世界に戻ることを優先させる」との見立てだ。

米国の堅調な経済や根強いインフレに伴う早期利下げ観測の後退を背景に、外国為替市場では34年ぶりの1ドル=154円台まで円安が進行している。円安要因で日銀が利上げを余儀なくされるリスクに関しては、70%があると回答した。

T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストは円安進行を踏まえ、輸入物価の上昇が基調的な物価上昇率に近い「第二の力」に作用した面は記憶に新しいと指摘。再び輸入物価上昇を価格転嫁する「第一の力」が強まれば、「日銀は動かざるを得ないだろう。早めに金利を引き上げる可能性も視野に入れておきたい」と語った。

物価上振れ

4月25、26日の会合は、3月に大きな政策変更をしたばかりであり、ほぼ全員が金融政策の現状維持を予想している。もっとも、植田総裁が物価見通しの上振れや上振れリスクの高まりは「政策変更の理由になる」と説明している中で、同会合で議論される新たな経済・物価情勢の展望(展望リポート)が今後の政策運営を占う観点で注目を集めている。

大和証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは、2026年度まで見通し期間が延びる今回の展望リポートでは「足元の成長率は下方修正、基調的な物価では2%程度が続く見通しが見込まれる」と指摘。その上で「今後は、この数字に確度が高まっていくかの点検が続くことになろう」との見方を示す。

調査では、76%のエコノミストが、今回の展望リポートにおける物価見通しのリスクバランスの判断が従来よりも重要になると回答した。1月の前回リポートでは、「おおむね上下にバラン スしている」となっていた。

UBS証券の足立正道チーフエコノミストによると、今会合は3月の政策正常化開始を裏付ける経済・物価見通しを示す機会になる。このため、物価見通しは「2%のインフレが3年間続く見通しとなるはずだ」としつつ、「それでも、下振れリスクや不確実性が強調されて政策変更はない」とみている。

事情に詳しい複数の関係者によると、日銀は好調な今年の賃上げなどを踏まえ、24年度の消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)見通しを従来の前年比2.4%上昇から引き上げることを検討する可能性が高い。日銀が2%の物価安定目標が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断している中で、26年度は2%程度が見込まれるという。

関連記事

(c)2024 Bloomberg L.P.

Bloomberg

関連ニュース

最終更新:4/18(木) 14:15

Bloomberg

最近見た銘柄

ヘッドラインニュース

マーケット指標

株式ランキング