年収数千万円、「17歳年下の妻」と結婚して暮らす51歳男性に起きたちょっと意外な変化

5/12 11:02 配信

東洋経済オンライン

 独身生活に不自由は感じていないけれど子どもが欲しくなったので結婚したい、という男女は少なくない。最大の目的が子作りと子育てなので、特に男性の場合は自分よりかなり年下の女性を結婚相手として求めがちだ。

 ただし、相手も生身の人間なので要望や打算がある。お互いの需要と供給がある程度は合致しなければ交際にすら発展しない。自分は結婚において何が欲しくて何が要らないかをはっきりさせて、自分を求めてくれそうな人がいる場を選ぶこと。それが条件が良いとは言えない人が婚活を成功させる道だと思う。

■障害者手帳を持つ51歳、年収は数千万円

 沖縄県で会社員をしている中野和久さん(仮名、51歳)は若い頃に躁鬱病を患い、現在も精神疾患の障害者手帳を持っている。誤解されやすい性格を自覚しているが完全に直すのは難しく、人間関係が原因で会社を転々としてきた。また、自暴自棄になって酒を飲み過ぎた時期があった影響で糖尿病も抱えている。知的で優しげな風貌ではあるが、173センチで80キロ超という体型はスマートとは言えない。

 そんな和久さんにもいくつかの長所がある。数字に強くて行動力もあり、海外生活も厭わないことだ。米国公認会計士の資格があり、外資系を含めた企業で経理担当者として能力を発揮してきた。プライベートでも投資を行っていて、現在は株式だけで年間200万円ほどの配当金を得ているらしい。勤務先からの給料や他の投資を含めると年収は数千万円に達する。

 「シンガポールで働いていた頃にネット婚活を始めましたが、恋愛経験がなかったのでプロフィールや申し込み文をコピペして若い女性に送りつけるようなことをしていました。当然、大苦戦。一方で、シンガポールで稼いでいたので、初対面の40代女性から選挙演説並みのアピールをされたこともあります。私は長男なので子どもが欲しく、年上女性との結婚は考えられませんでした。子どもをあきらめて年上で妥協していれば、100%結婚できたと思います」

 自信があるのかないのかよくわからない発言をする和久さん。5年ほど前に沖縄にある会社に転職してからは理解ある経営者の下で落ち着いて働けている。そして、婚活手法も少し改善した。シングルマザーが多いことで知られるマッチングアプリに登録したのだ。

■連れ子の選択も

 「年の差を相手に受け入れてもらう代わりに、私は連れ子を受け入れようと思いました。もともと子どもとはすぐに仲良くなれるほうで、海外でも小さな女の子にはよく懐かれます。男の子には殴られたりするんですけど(笑)」

 アプリで出会った看護師の奈津子さん(仮名、34歳)は沖縄生まれの沖縄育ち。19歳で妊娠して出産したが夫の浮気で離婚。高校1年生になる娘を育ててきた。和久さんによれば奈津子さんはかなりの浪費家で、結婚したときに100万円単位の借金があった。

 「私が大部分を代理返済しました。現在、妻に225万円の貸しがある状態ですが、子どもを1人産むたびに100万円チャラで合意しています」

 ドキッとするような条件だが奈津子さんは「(夜の)やる気が出てきた~」と笑い飛ばしているらしい。和久さんが障害者手帳を持っていることは結婚前に知り、失言癖も許してくれた。

 「2回目のデートで何か買ってあげると話したのですが、一緒にお店に入って彼女が商品を手に取ったときに『本当に買うの?』と言ってしまったのです。交際に発展しなかった場合にお金が無駄になると思って……。フラれて当然の言動ですが、彼女は根に持たずにいてくれました」

 和久さんは「病的な倹約家」を自認するが、「釣った魚にエサをやらない」タイプではない。むしろ、昨年末に結婚して家族になってくれた奈津子さんと娘のために経済力と行動力を大いに使っている。

 「妻と娘は大のディズニーファンなので、結婚したら世界中のディズニーランドに連れて行くことを約束しました。結婚式はもちろん東京ディズニーランドのホテルです。ミッキーとミニーを呼ぶだけで数十万円もかかりましたが、娘は泣いて喜んでいました。新婚旅行はカリフォルニア、先日は家族旅行で香港のディズニーランドへ。あとはフロリダとパリですね。妻は『あなたは夢を次々と叶えてくれる!』と言ってくれています」

 母親と同じく看護師を目指す娘は遠方の私立高校へ進学。その学費や生活費も和久さんが快く出した。沖縄での住居は4LDKの新築一戸建てだ。

 このように書くと、和久さんの金と奈津子さんの相対的な若さを交換しただけの結婚のように見える。しかし、年頃の娘がいる奈津子さんとしては、結婚相手の経済力は前提条件に過ぎず、結婚の決め手は和久さんの真面目でユーモアもある人柄だったようだ。

 「17歳も年上の相手でいいのかと友達から心配されたそうです。でも、私と一緒にいて楽しいと言ってくれています。妻はちょっと抜けているところがあって、話しているときに主語がなくて誤解を招きやすいのです。そこを私と娘が一緒にいじって笑っています。妻も私と同じぐらいふくよかなので、お腹の肉をつかんでプニプニすると叱られますけど」

■似た者夫婦だからこそ、お互いに許し合える

 他人から誤解されやすいのは和久さんも同じなので、似た者夫婦なのかもしれない。だからこそ、お互いに許し合えているのだろう。

 和久さんのほうも結婚後に嬉しい発見があった。夜勤もある奈津子さんが家事の8割をやってくれて、作る料理がとても美味しいことだ。

 「こんなに家事ができる人だとは思いませんでした。夜中に働くのは大変だと思うので、もっと規則正しく働ける職場への転職を勧めているところです」

 子作りに関しては、それぞれ不妊症の検査を受けようと話している段階だという。子作りが最優先課題だったはずの和久さんにしては行動が遅い。婚約前にブライダルチェックを受けてもおかしくない事例なのに、和久さんは「子どもができなかったときは仕方がない。特別養子縁組という道もある」とトーンダウンしている。奈津子さんの連れ子を含めた家族だんらんですでに幸せを感じられているので、実子は「できたら嬉しいけれどいなくても仕方ない」という心境に達しているのかもしれない。

 結婚のきっかけや動機は保身や打算でも構わない。大切なのは、結婚後の共同生活に意外な美しさや安らぎを見出すことだ。そんな暮らしをともに送れる相手に感謝して思いやることが夫婦の愛なのだと思う。

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最終更新:5/12(日) 11:02

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