株式週間展望:買い材料乏しい、小型株優位の展開続くか
日経平均予想レンジ―3万7500-4万円
今週の日本株市場は主要指数の上値の重さが顕著となり、日経平均株価は狭い値幅の中で3万8000円を割り込む場面があった。トランプ・トレード一巡や決算シーズン通過により買い材料が乏しく、個別株シフトが加速しそうだ。
<米国独り勝ちで盛り上がらず>
日経平均は4万円どころが天井のボックス圏にあり、下値は穏やかに切り下がる75日移動平均線(22日時点で3万7897円)に支えられている。一方、ドルベースでは直近で下値支持線を割り込むなど、弱さが際立っている。
政治・経済の両面で米国の独り勝ちが鮮明化しつつあり、日本買いの意欲は相対的に乏しい。直近の7-9月決算も日本企業は製造業を中心に純利益ベースの減益が目立った。金融業を除く今3月期のEPS(1株利益)が前期比マイナスに落ち込む可能性がある中で、割高感も生じている。
米エヌビディアの好決算と強気の売上見通しにより、アドバンテスト <6857> やフジクラ <5803> などの人気AI(人工知能)関連株は底堅さを維持しているものの、全般的に戻り待ちの売りが根強い印象だ。主力株の米国頼みの状況は目先も続くと考えられる。
その米国では来週、26日に11月FOMC(米連邦公開市場委員会)の議事録が公表される。利下げへの期待値がこれまで以上に後退する要因とならなければ、大きな波乱にはつながらないだろう。
<テーマ系銘柄をマーク>
一方で、小型株の一角には資金が集まりつつある。今月の動きを見ると、カバー <5253> などがけん引する東証グロース市場250指数は足元でTOPIX(東証株価指数)の上昇率を上回ってきている。米国でも代表的な小型株指数のラッセル2000のパフォーマンスが相対的に強い。
相場は年末や年初にかけて値動きの軽い小型株が好まれる傾向がある。全体相場のこう着感も相まって、こうした動きは今後も続く可能性が高い。生成AI/データセンターや防衛・宇宙、防災といったテーマへの投資家の関心は根強いと考えられる。
来週は米国でFOMC議事録のほかに、26日に10月新築住宅販売件数が発表され、27日には注目度の高い10月PCEデフレータも控える。また、これまでのところ相場に大きな影響は及ぼしていないが、ウクライナ戦争のエスカレーションにも注意を払っておきたい。
日経平均の予想レンジは引き続き3万7500-4万円とするが、上値は重いと思われる。エヌビディア決算後の半導体株高の継続性が重要になりそうだ。
提供:ウエルスアドバイザー社
ウエルスアドバイザー
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最終更新:11/23(土) 8:06