高価な教材を使わず、対話相手がいなくても、英語力をアップさせるにはどうすればいいのでしょうか。その方法について、『[完全版]すごい英語独学』より、一部抜粋・再構成のうえお届けします。
■「ひとりごと」でアウトプットする
英語を読むことはそれなりにできるのに、英会話が苦手という人が多いのはなぜでしょうか。その原因は、会話ができるようになる学習方法を実践していないことと、語学学習で避けては通れない失敗を極端に嫌がることです。
例えば、料理動画を見て、「かんたんそうだ」と思った料理も、いざ自分で作ってみると、イメージした通りにできないことがありませんか。はじめて自転車に乗ったときや、運転免許の取得のために教習所に通ったときも、最初からイメージしたように運転できた人は少ないでしょう。
英会話もそれに似ています。どんなに英単語の知識や文法の知識、発音を知っていたり、聞いたことがあったりしても、最初から使いこなせるわけではないのです。
特に英会話の場合は、言いたいことをすぐに言葉にして話す瞬発力が必要です。例えば「ああ、疲れた」と日本語で言ったとします。通常意識することはありませんが、口にするまでには、「言いたいこと」があり、知っている「言葉」を使って「文」を「構成」し「発音」するというプロセスがあります。英語で話す場合も、同じプロセスが必要です。そして会話ですから、それを瞬発的に行うことが求められるのです。
突然ですが、日本語のこんな早口言葉を頭に浮かべてみてください。
「なまむぎ なまごめ なまたまご……」という有名なアレです。目で見て読むことはスムーズにできるのに、口に出してみると最後まで噛まずに言うのがなかなか難しいですよね。
頭の中では黙読できていても、実際に口に出して言えないということは、日本語でも英語でもあるということを理解していただけましたか。
自分が言いたいことや思ったことを英語で伝えたいなら、実際に口を動かして練習をするしかありません。ひとりでもその練習ができる方法としてお勧めなのが“ひとりごとトレーニング”です。もしかしたら「英語が話せないと、ひとりごとだって言えない」と思うかもしれません。もちろんはじめから流暢につぶやくことができないのは当然です。ですから最初は、英単語を言ってみることからスタートです。
その後、知っているフレーズを言ってみる、自分の行動や動作を言ってみる、と少しずつレベルアップしましょう。
実際にやってみると、言い方がわからない場面に何度もぶつかると思います。そんなときは、本に載っているフレーズを参考にしたり、調べてメモをしたりすることを繰り返します。ひとりごとをつぶやくのはアウトプットですから、並行してインプットも必要です。地味な作業ですが、これが大事なインプットになります。
また、かんたんな文法で間違ってしまう自分にびっくりするかもしれません。わかっているはずの単純な文法なのに、口にすると間違ってしまうことはよくあります。でも、心配しないでください。その失敗は、誰も見ていません。それがひとりごとトレーニングのメリットでもあります。
ひとりごとトレーニングは、次の図のように進めます。本稿ではステップ03までを詳しく説明していきます。
■目に入るものすべてを英語にしてみる
<STEP01>身のまわりのものをなんでも英単語で言ってみる
最初のステップとして、自分の身のまわりにあるものを英語で言ってみましょう。
「bed」「desk」「pair of socks」
最初はこのような英単語からスタートです。
今、まわりを見回して、目に入るものすべてを英語にすることができますか? もしもわからないものがあって、すぐに調べることができないなら、そのひっかかりとモヤモヤした気持ちを覚えておきましょう。なぜなら、解決できなかったモヤモヤは、その対象をまた見ることが思い出すきっかけになるからです。
例えばbookshelf(本棚)という英単語が思い浮かばなかったとします。調べないままだと、また本棚を見たときに、「あ! あのときもわからなかったな」となるだけでしょう。わからないものがあったらすかさず、調べてメモします。これがインプットとなります。その後、繰り返し口に出して覚えていきます。
まずは、身のまわりのものすべてを英単語で言えるようにしましょう。このとき意識したいのが発音です。学生のときは人の目が気になり英語っぽい発音を恥ずかしく思っていたかもしれません。しかし、英語っぽい、つまり正しい発音に近づけないと、相手に聞き取ってもらえません。ですから、正しい発音を知り、真似をすることで伝わる英語を身につけていきましょう。
■英語は体を使って発音する
<STEP02>知っているフレーズを口に出してみる
続いてはステップ02です。ここでは、なんでも口に出して言ってみましょう!
例えばCMで使われている英語のキャッチコピー。有名なものだと「JUST DO IT」「HAVE A BREAK」などがありますね。
正確さにこだわる必要はありません。聞いたまま、耳で聞いたそのままを真似して言ってみましょう。
私の運営するSakura Englishでは、日常で役立つ英会話フレーズを公開しています。通勤時などに聞き流し、覚えたものを思い出しながら口に出してみるのもいいトレーニングになります。
バックミュージックのように聞き流すだけでは、なかなか記憶が定着しませんが、思い出しながら口に出していけば、しっかり記憶することができます。
知っているフレーズや耳で聞いた英語をつぶやくときには、できるだけおおげさに発音してみましょう。ひとりごとですから、恥ずかしがる必要はありません。そうやって、正しい発音に近づいていきます。声を大きくして、ジェスチャーもつけると最高ですね。
英語と日本語は声の出し方が違います。日本語は口の動きだけで話すことができますが、英語はもっと喉の奥のほうで発音をします。これは喉発音といわれるもので、日本語との違いです。英語は体を使って話したほうが発音しやすくなります。
ですから、もしもうまく発音できなかったら、声を出している場所を意識してみてください。喉と胸に手をあてながら、発音してみます。そうすることで英語らしい発音に近づいてきます。
■疑問に思ったことはそのままにせず、必ず調べる
<STEP03>今していることをつぶやいてみる
今していることや、いつもやっている自分の一つひとつの行動を英語で言ってみましょう。
I'm still sleepy.(まだ眠い)
I wash my face.(顔を洗います)
最初はシンプルな現在形を使って表現するのがおすすめです。だんだん慣れてきたら、時制や文法にも気をつけてみましょう。
毎日ひとりごとをつぶやくようになると、「これってどう表現するんだろう?」とわからないことがでてきます。他にも、「これで言い方はあってるのかな?」と思うこともあるでしょう。
どちらもそのままにしておいてはいけません。ここでもう一歩深い学習が必要になります。
「これってどう表現するんだろう?」と思ったことについては、そのままにせず、必ず調べましょう。
●おすすめ方法 その①
「DeepL 翻訳」「Google 翻訳」などの翻訳アプリを使って調べます。できるだけ、英語らしい日本語を使うことが正しい翻訳を調べるポイントです。
「コーヒーを淹れる」→「私はいつもコーヒーを淹れます」
このように、主語を入れることで、英訳しやすい日本語を作るのがコツです。
●おすすめ方法 その②
Googleなどで「コーヒーを淹れる」の後に「英語」と入力します。多くのサイトがヒットしますが、一番上からサッと見てほしい情報が載っているページを確認しましょう。調べたフレーズは忘れずにノートにメモします。ノートには日付とフレーズとかんたんな日本語訳をつけましょう。
「調べる、書く、言ってみる」というインプットとアウトプットを組み合わせることが、新しいフレーズを定着させるためのポイントです。独学とはいっても、決して楽な学習ではありません。これらを何度も繰り返すことで、必ず英語力がアップします。
独学で英語力をアップさせたい人は、ぜひ参考になさってください。
東洋経済オンライン
最終更新:3/28(木) 16:02
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