割高でもインド株をなお選好、日本のバリュー株も人気-MLIV調査

4/15 9:02 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 経済成長を企業利益に結び付けるインドの能力は、投資家にとって同国を日本や中国よりも有望な投資先にしている。最新のブルームバーグ「マーケッツ・ライブ(MLIV)パルス」調査が示した。

中国市場が低迷する中、インド株と日本株が力強く上昇したことでアジアの金融市場の状況はリセットされ、世界の投資家は地域別配分で3つの競合する極を得ることになった。

中国株のバリュエーションは魅力的な水準に低下し、日本ではコーポレートガバナンス(企業統治)の改善が進んでいるが、MLIVパルス調査に回答した390人のほぼ半数が、アジア3大国の中でインドを最良の投資先として選んだ。世界最大の民主主義国であるインドは4月19日から6月1日まで7回に分けて投票が行われる総選挙を控えており、今回の調査結果は「株式会社インド」にお墨付きを与えるものだ。

ユニオンバンケールプリヴェ(UBP)のアジア株式調査責任者キーラン・カルダー氏(シンガポール在勤)は、「インドでは国内総生産(GDP)の伸びが利益成長により良く反映されるなど、割安な中国株よりも割高なインド株を好む理由は多くある」と指摘。「安定した利益成長の実績と地政学的環境」がインド株をさらに後押ししていると述べた。

インドと日本の主要株価指数は今年に入って最高値を記録。インドでは急速な経済成長、日本では企業改革とインフレの緩やかな回復が追い風となっている。ブルームバーグがMSCIの指数に基づいて集計したデータによると、インド株は現在、来年の予想利益の約23倍で取引されており、日本の約17倍、中国の約9倍よりも高く、米国も上回っている。

デフレと不動産危機が経済の重しとなり、中国の主要株価指数は3年前のピークから約40%下落した。調査回答者の半数以上は、中国株式市場が今後12カ月にインドと日本をアンダーパフォームすると予想した。

ブルームバーグがまとめたデータによると、3月までの1年間でインド株への純資金流入が250億ドル(約3兆8300億円)だったのに対し、中国株は53億ドルにとどまった。インド株への追い風には、人口増加や中産階級の拡大が企業利益の増加につながるという楽観がある。

M&Gインベストメンツのポートフォリオマネジャー、ビカス・パーシャド氏(シンガポール在勤)は「インドは保有するのに最適な市場だ」と語り、インド株は地域のベンチマークとして大きな役割を果たすだろうと指摘した。

インド株は現在、MSCI新興市場指数の18%を占めている。中国のウエートは25%で、数年前の40%超から大きく低下している。

回答者の41%はインドのインフラを特に明るいスポットとして挙げた。モディ政権は、2025年度予算でインフラへの配分を5年前の3倍以上となる11兆ルピー(約20兆円)余りに増やした。モディ首相は30年までの6年間で、重要インフラの近代化のために143兆ルピーを投資する見込みだ。

インドのインフラ・資本財の代表格であるラーセン・アンド・トゥブロの株価収益率は約30倍。一方、PNCインフラテックやJSWインフラストラクチャーなどは、なお10年間の平均バリュエーション以下の水準で取引されている。

インドは、中国に代わるグローバルな製造拠点としても急浮上しており、アップルなどはインドの製造施設を増強している。

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インドでは今年、国政選挙が控えており、モディ首相率いる政党がもし敗北すれば、インフラ整備と製造業推進の計画が頓挫する可能性はある。しかし、投資家は心配していないようだ。回答者の5分の4余りは、選挙が市場に与える影響はごくわずか、もしくは気にならないと答えている。

回答者の3分の1余りは、魅力的な投資先として日本のバリュー株も挙げた。

日本株上昇の主な理由の一つは、東京証券取引所が推進する企業改革だ。

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GMOのリサーチアナリスト、フミエ・キクチ氏は、「日本企業は東証の要請に真剣に対応している」と指摘。企業経営者の考え方が投資家と同じ方向にあるというのは大きな意味があると述べた。

UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのグローバル資産アロケーション責任者で、グローバル投資マネジメントAPACの共同責任者であるエイドリアン・チュルヒャー氏は、中国の経済成長鈍化やデフレ不安、進行中の不動産危機が投資家を敬遠させる公算が大きいと指摘する。

「中国に資産を配分するインセンティブはほとんどない。なおデフレ環境下にあり、トレンドが上向きになることで収益成長の余地が生まれない限り、魅力はほとんどない」と語った。

MLIVパルス調査は、MLIVブログを運営するブルームバーグの「マーケッツ・ライブ」チームが、ブルームバーグ・ニュースの読者を対象に端末とオンラインで実施している。今回の調査は4月8-12日に行われた。

今週の調査は四半期決算に照準を定める。エヌビディアの決算は、ハイテク大手へのエクスポージャーを増やす結果につながると思うか。調査(英語)は匿名で参加可能です。こちらをクリックし、ご意見をお聴かせください。

原題:Overpriced India Lures Investors Tired of China Risk: MLIV Pulse(抜粋)

--取材協力:Masaki Kondo、テソ由美.

(c)2024 Bloomberg L.P.

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最終更新:4/15(月) 9:02

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