北急南北線が「箕面萱野駅」まで延伸、新施設も開業で賑わいの起点目指す《楽待新聞》

4/12 11:00 配信

不動産投資の楽待

1970年、大阪万博の会場へアクセスする路線としてスタートした私鉄、北大阪急行電鉄南北線(以下、北急南北線)。2024年3月23日、延伸開業を迎えた。

北急南北線は、大阪府吹田市の「江坂駅」と豊中市の「千里中央駅」を南北に結ぶ路線だ。地下鉄御堂筋線と相互直通運転を行っており、大阪の都心である「梅田駅」や、さらに南にある堺市の「なかもず駅」までつながっている。

北急の延伸事業は千里中央駅から北に約2.5キロメートル延伸するもので、今回「箕面(みのお)船場阪大前」と「箕面萱野(みのおかやの)」の2駅が新設された。

本記事では、延伸の経緯とそれに伴う周辺開発事業について紹介する。

■ようやく実現した延伸事業

北急南北線の延伸事業の発端は1986年にまでさかのぼる。

箕面市は、都市開発の大枠を示す「箕面市総合計画」をこれまで5回策定しているが、そのうち1986年度の「第三次総合計画」で、延伸事業が施策として取り上げられたのが始まりだ。

1989年に、現在の国土交通省が設置していた運輸政策審議会で「2005年までに着手が適当な区間」として位置づけられ、1991年には「北大阪急行延伸推進会議」が設置された。

しかしその後は、なかなか具体的な動きは見られなかった。

2001年になって、「第四次箕面市総合計画」で再び実施施策として位置づけられ、2005年には「北大阪急行線延伸検討委員会」が初開催された。

2006年に「整備計画(案)」がとりまとめられ、翌2007年からは複数年度にわたって市民アンケート(延伸に賛成かどうか)を実施している。

2011年、延伸事業は「第五次箕面市総合計画」にも位置づけられた。当初の見通しでは事業採算性が合わないとされたものの、事業スキームが見直されたことで採算性が向上し、延伸事業は大きく前進した。

事業スキームの見直しとは、簡単にいうと国からの交付金を受けられるようになったことだ。

それまで全予算の35%だった国からの補助率が、箕面市の働きかけによって交付金を受けられるようになったことで50%にまで上昇。鉄道事業を運営する北大阪急行電鉄の採算性が確保されることになった。

2014年度末に大阪府、箕面市、北大阪急行電鉄、阪急電鉄の関係四者間で延伸に関する基本合意を締結。

2015年12月には延伸事業に関連する箕面市の都市計画決定までこぎ着け、2016年から箕面市と北大阪急行電鉄による工事が開始された。

■渋滞解消につながるか

北大阪急行線の延伸が持ち上がった背景には、いくつかの都市課題があった。主な目的は、道路混雑の緩和(自家用車依存からの脱却)と、北部大阪地域における都市拠点の形成促進だ。

北急南北線の線路と駅は、大阪の都心から北摂エリアの箕面市内までをつなぐ幹線道路「新御堂筋」沿いに敷設されている。

2015年に実施された「全国道路・街路交通情勢調査」によると、新御堂筋の交通量は、大阪府内はもとより西日本で最も多いという。特に朝夕の渋滞が深刻な社会問題になっている。

新御堂筋の終着点は箕面市の南部中央付近にあるが、周辺には鉄道が通っていない。

その近辺から大阪の都心へ出るために自家用車を利用する人が多いため、それに代わる交通手段として北大阪急行線の延伸が持ち上がったわけだ。

2点目の都市拠点の形成促進とは、千里ニュータウンの再生が該当する。千里ニュータウンは千里中央駅の周辺に開発された日本初の大規模ニュータウンだが、1962年のまちびらきから60年以上が経過している。

東京で開発された多摩ニュータウンなどと同じく、少子高齢化の進行や各施設の老朽化などが課題となっている。

公共交通のインフラ整備は都心へのアクセスを向上させ、バリアフリー対応や人を呼び込む効果などにもつながるものと期待される。

■箕面萱野駅周辺で再開発も

北急南北線延伸線の開業は2024年3月23日。北の終点駅となる箕面萱野駅にはバスターミナルがつくられ、東西南北に発着するバス路線も整備される。

また、駅前では東急不動産が「みのおキューズモール STATION棟」を開発しており、延伸線の開業日と同じ3月23日にグランドオープンした。

みのおキューズモール STATION棟は、新駅とバスターミナルおよび「みのおキューズモール」(2003年に同社が開発)に隣接する位置にある。

STATION棟は商業施設であり、駅前ビルが「STATION1棟」、また北大阪急行の高架下の店舗が「STATION2棟」となる。

STATION1棟の規模は地上3階建てで延床面積約6000平米、STATION2棟は地上1階建てで延床面積約950平米だ。入居するテナントは主に飲食店と物販店で、その数は32店舗になる。

既存施設のみのおキューズモールは6エリアに分かれており、入居店舗は約110にのぼる。新商業施設はみのおキューズモールと一体で運営され、まちの賑わいの起点となる施設を目指すという。

ニュータウン開発により、新商業施設の周辺は住宅街になっている。都心へのアクセスが改善され、新たな商業施設ができたとなれば、今まで以上に人が集まってくるのではないだろうか。

とはいえ新商業施設の周りには、ほかに賑わいの創出源となるような施設は見当たらないということでもある。新駅および商業施設の完成を発端として、都市開発の波が周辺に広がっていくことを期待したい。

朝霧瑛太/楽待新聞編集部

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最終更新:4/12(金) 11:00

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