株式週間展望=ドル・円軟化で日経平均レンジ切り下げも
日経平均予想レンジ:3万7000-3万9000円
今週の日本株相場は手掛かり材料に乏しい中で、トランプ米次期大統領の保護主義政策や円高の逆風を浴び、日経平均株価は上値の重い展開が続いた。強調を維持してきたAI(人工知能)/データセンター関連株にも息切れ感がみられる。師走を迎える来週は、一段の円高に注意する必要がある。
<日米金利差の縮小を意識>
日経平均の今週の高値は25日の3万9053円(前週末比769円高)で、その後は上値を切り下げた。戻り待ちの売り圧力が緩和しない一方で、下値では3万7500円に近づくと買いが優勢になる傾向が続いている。
9月半ばからの4万-3万7500円どころの日経平均のレンジ相場だが、目先は下ブレリスクが増していると思われる。為替が円高方向に転じてきたことが背景にあり、その要因とみられる日米の金利差縮小観測が一段と強まりそうなためだ。
ドル・円はトランプ氏の再選決定後に米財政の拡張が見通され、いわゆる「トランプラリー」の一環として11月中旬までに5円程度上昇した。ただ、その勢いは次第に鈍化し、足元では日米両中銀の金融政策の方向性への意識から、ドル売り・円買いニーズが強まりつつある。
29日の東京外国為替市場では、1ドル=149円台まで円が買われ、およそ1カ月半ぶりの円高水準を付けた。この日の朝に発表された東京都区部の11月CPI(消費者物価指数)の上昇率(生鮮食品除く)が市場予想を上回り、日銀の追加利上げ確度を高めたことが影響した。
日銀は12月18-19日に次回の金融政策決定会合を開く。植田総裁は利上げに関してデータ次第であるとの見解を示しており、物価上昇を示唆する統計が市場で重視された格好。一方、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げペースは緩やかになるとの見方が強い(次回FOMC<米連邦公開市場委員会>は12月17-18日)。
<グロース・小型株優位の展開続くか>
来週は12月の日銀会合、FOMCを占うデータがさらに出そろってくる。米国では6日の11月雇用統計に至る一連の雇用系指標に加え、2日の11月ISM製造業景況指数、4日の同非製造業景況指数も注目される。強い経済状況が再確認されれば、FRBの利下げ期待が後退する。
日本は6日に10月毎月勤労統計の発表が控え、実質賃金の動向次第で日銀の12月利上げを織り込む動きが一段と強まりそうだ。ドル・円はテクニカル的にも正念場にあり、ファンダメンタルズ(経済条件)との両面で下値不安が大きくなっている。
日経平均にとって円高は、輸出企業の交易条件悪化につながるほか、ドル建て日経平均の下支えとなることなどからを売りを誘いやすい。このため、相場のレンジが一段切り下がる恐れがある。特に輸出株は、トランプ氏の関税政策への警戒感も残ることから買いにくい。
一方で、復調色を強める小型グロース(成長)株の人気が増すことが期待される。日経平均とは対照的に、東証グロース市場250指数はレンジ切り上げを視野に入れている。東証プライム市場でも、小型株優位の展開が続く可能性がある。
来週の日経平均の予想レンジは3万7000-3万9000円とする。アップサイドの要素は、関税引き上げについてのトランプ氏のトーンダウンや、半導体セクターをめぐる強力な好材料の浮上など。また、為替が意外にも円安に転じれば日経平均は持ち直すと考えられる。
提供:ウエルスアドバイザー社
ウエルスアドバイザー
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最終更新:11/30(土) 8:55