「敬老優待」が将来激減 ? 支援を頼りにせず、自分の老後は自分でケアする視点も

5/15 8:00 配信

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交通機関などにおける「敬老優待」は、多くの自治体で存在する。しかし、高齢化が進むなかで政府・自治体の財源にも限界がある。そのため、こうしたシニア向けの優遇制度は減っていくことも考えておかなければならない。

本記事では、敬老優待の例や縮小・廃止事例を紹介するとともに「自分の老後は自分でケアする」という視点を提供する。

■政府・自治体のさまざまな「敬老優待」

敬老優待は、さまざまな自治体で展開されている。特に多いのが移動に関する支援で、例えば東京都では一定条件を満たした70歳以上の人を対象に「東京都シルバーパス」を格安で発行し、多くの乗合バスに無料で乗車できる仕組みを提供している。

また、横浜市でも「敬老特別乗車証 (敬老パス) 」という名称で、収入状況に応じて負担金を支払えば無料で市内のさまざまなバスに乗車できる制度を用意している。

移動に関する支援以外で、敬老優待を展開している自治体も少なくない。一例として、高知県高知市では65歳になった人に「長寿手帳」を交付しており、バスや鉄道の運賃割引、公的施設の入場料・利用料の免除・割引、映画館での割引、協賛店舗でのサービスなどが受けられる。

これらは自治体で展開されている敬老優待だが、国が実施している医療費の負担軽減も広義ではシニア向けの優遇施策といえる。医療費の窓口負担割合は、69歳まで原則3割だが70~74歳は原則2割負担、75歳以上は原則1割負担で済む。

■日本で進む高齢化

日本で高齢化が進んでいることは周知の事実だ。総務省統計局が公表しているデータによると、65歳以上の割合は以下のように推移している。


西暦65歳以上の割合
1950年4.9%
1960年5.7%
1970年7.1%
1980年9.1%
1990年12.1%
2000年17.4%
2010年23.0%
2020年28.6%

出典:総務省統計局「統計からみた我が国の高齢者」


ちなみに国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口 (令和5年推計) 」によると65歳以上の割合は2030年に30.8%、2040年には34.8%まで高くなる見通しとなっている。

■高齢化が進むことで「敬老優待」が消える ?

国や地方自治体の財源は、主に税金だ。働きながら所得税や住民税、消費税などを支払う若い世代が減ると、増え続ける高齢者向けの支援に予算を確保するのが加速度的に難しくなってくる。そう考えると、敬老優待が徐々に減っていくことが容易に予想できるのではないだろうか。近年は、すでに敬老優待の縮小・廃止に関する事例が出てきているのが実情だ。

●敬老パスに上限

バスや鉄道で利用できる敬老パスに関しては、これまで乗り放題だった仕組みを変え、利用回数に上限を設ける自治体も出てきている。頻繁に公共交通機関を乗り継いで外出する高齢者からは不満の声もあがっているが、財源確保に向けて自治体側は理解を求めている状態だ。

また、敬老パスの利用額に上限を設ける方針を発表した自治体もある。その分、「自己負担をなくし歩数に応じて得られるポイントを使う」といった仕組みに変え、高齢者の負担減や健康増進を狙っているが、利用上限が減ることに対して見直しを求める声も少なくない。

●敬老祝い金の削減

「敬老祝い金」制度を見直し、廃止もしくは減額に乗り出す自治体も出てきている。敬老祝い金は、80歳や100歳といった節目の年齢を迎えるタイミングで祝い金を支給する制度だ。高齢化が進むなかで支給対象者が増え、財政の圧迫につながっていることなどが見直しのきっかけとなっている。

●敬老会の廃止・縮小

「敬老会」の事業を廃止する自治体もある。敬老会とは長寿を祝うために開催されているもので、自治体が主催して費用を負担し、記念品などが贈られる形で続いてきた。しかし、敬老会も高齢者の増加で事業費が膨らみ、自治体の負担が相対的に重くなるケースが増加しているため、敬老会事業を廃止・縮小するケースも出てきている。

■自分の老後を自分でケアするための資金準備を

敬老優待がさらに減っていくことが予想される現代においては、ただ貯蓄を増やすだけではなく「資産運用でお金を増やす」という発想を持つことが大切だ。シニア期の自分の生活を自分でしっかりとケアできるように準備をしておきたい。

資産運用は、自分が保有している資産を投資に充当し、効率よく資産を増やしていく取り組みだ。具体的には、株式投資や投資信託、外貨預金といった方法があり、余剰資金を使ってリスクを抑えながら堅実にリターンを狙っていくのが正攻法である。

日本銀行が「2%」というインフレ (物価上昇) 目標を掲げるなか、今後も継続的に物価が上昇していくとすると、資産運用に取り組むべき必要性はかなり高まっていくだろう。なぜなら、物価が上昇すると現在保有している現金の価値が目減りするからだ。少なくともこの目減り分を資産運用のリターンで相殺したい。

■早めに資産運用を始めるのが得策

シニア期の生活では、国や自治体をある程度は頼りにしたいが、これからの時代は高齢者向けのサービスが縮小する可能性がある。そうなったとしても、自分の老後を自分の資産でケアできるよう早めに資産運用を始めるのが得策だ。

(提供:大和ネクスト銀行/ZUU online)

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最終更新:5/15(水) 8:00

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