ファーウェイ、スマホ事業が「正常化」の意味深長 新型ハイエンド機種「Pura 70シリーズ」を発売

5/13 15:02 配信

東洋経済オンライン

 中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)のスマートフォン事業が、(アメリカ政府の制裁を克服して)製品ラインナップの「正常化」を成し遂げつつある。

 同社は4月18日、新型ハイエンドスマホ「Pura 70シリーズ」を発売した。第1弾として投入した「Pura 70 Pro」と「Pura 70 Ultra」のメーカー希望価格は、前者が6499元(約13万8620円)から、後者が9999元(約21万3274円)からとなっている。

 ファーウェイはもともと、ハイエンドスマホの「Mateシリーズ」と「Pシリーズ」を同時に展開するダブルハイエンド戦略を採っていた。Puraシリーズは、そのうちPシリーズの名前を変更したものだ。

 今回発売した2機種のうち、上位版のPura 70 UltraはOS(基本ソフト)にファーウェイが独自開発した「鴻蒙(ホンモン、英文名はハーモニーOS)」のバージョン4.2を採用。高解像度のトリプルカメラや衛星電話、AI(人工知能)アプリケーションなどの最新機能を満載している。

■「ダブルハイエンド」が復活

 なお、ファーウェイはPura 70シリーズの発表イベントは開催しなかった。また、同シリーズが搭載する半導体の詳細も公表していない。

 ファーウェイは2023年8月、心臓部に自社設計の高性能半導体を搭載したMate 60シリーズを発売。5G(第5世代移動通信)に対応したハイエンドスマホを約2年ぶりに再投入した。今回のPuraシリーズの発売により、同社のダブルハイエンド戦略が復活した格好だ。

 MateシリーズとPureシリーズのほかにも、ファーウェイは女性向けの折り畳み式コンパクトスマホ「Pocketシリーズ」や若者向けの「novaシリーズ」の新機種をすでに投入済みだ。Pureシリーズの発売で、同社のスマホ事業はフルラインナップの再建を果たしたと言える。

 ファーウェイは、かつてはスマホのグローバル市場のトップブランドだった。市場調査会社のIDCのデータによれば、同社は2020年4~6月期に全世界で5580万台を販売(メーカー出荷ベース)し、約20%の市場シェアを獲得。韓国のサムスン電子を抜いて世界首位に躍り出た。

 だが、アメリカ政府の制裁強化の影響により、ファーウェイの天下は長続きしなかった。2020年9月以降、5Gに対応した高性能半導体の調達ルートをふさがれてしまったためだ。

 IDCのデータによれば、ファーウェイのスマホ販売台数は2021年1~3月期に世界のトップ5から転落。中国市場でも2021年4~6月期には6位以下に沈んだ。

■中国でトップ5に返り咲き

 しかしファーウェイは諦めなかった。アメリカ政府の制裁を回避しながら、自社設計の半導体の製造を再開することに成功し、Mate 60シリーズに搭載。その後も5Gスマホの製品ラインナップを拡大し、失った市場シェアを奪回しつつある。

 市場調査会社のカナリスのデータによれば、中国市場では2023年10~12月期のスマホの総販売台数が前年同期比1%減少する中、ファーウェイは逆に販売台数を同47%も伸ばした。その結果、同四半期は約14%の市場シェアを獲得し、中国市場で第4位とトップ5に返り咲いた。

 「2024年の中国のスマホ市場は、前年比1%前後拡大すると予想している。ファーウェイに関しては、製品ラインナップの充実でさらなる販売増加が見込め、(アップルなど)競合他社の市場シェアを奪うことになるだろう」

 カナリスのアナリストの劉芸璇氏は、財新記者の取材に対してそんな見通しを示した。

 (財新記者:翟少輝)
※原文の配信は4月19日

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最終更新:5/13(月) 15:02

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