今は大丈夫でも、やがてトラブルにつながる 日本人の“足の悩み”の「元凶=扁平足」9つのサイン
足裏の「土踏まず」がつぶれている状態を指す「扁平足」ですが、「足のクリニック表参道」 院長の桑原靖先生によれば、じつは日本人の足の不調のほぼすべては扁平足に起因しているそうです。
今は大丈夫でもいずれは足のトラブルを招きかねない「扁平足」の見分け方と、その対応策について、桑原氏の著書『外反母趾と足底腱膜炎 自力でできるリセット法』から、一部を抜粋・編集してお届けします。
■ほぼ「扁平足」に起因している、日本人の足の不調
日本人の足の不調のほぼすべては扁平足に起因します。扁平足というのは、足裏の“土踏まず”がつぶれている状態です。
なぜ土踏まずがつぶれると足の不調が生じるのか。そのメカニズムをひと言で説明するのは難しいので、本稿では詳しくは触れませんが、扁平足は次のような不都合を起こします。
①ふくらはぎに負担がかかる。
②足の指の筋肉が弱る。
③歩くとき足にかかる圧力の方向が歪む。
これらのことが原因となって、いくつもの足の不調が生まれます。
扁平足になる原因は、“骨格”と“歩き方”にあります。けれども、“骨格”を変えることはできません。骨格というのは、いくつもの骨が立体パズルのように組み合わさっている、いわゆる「骨組み」のことです。
この骨格の構造は、生まれつき決まっています。筋肉はトレーニングで強くしたり柔らかくしたりできますが、骨格構造は自分の努力で変えることはできないのです。
そして、“歩き方”も無理に変えるべきものではありません。なぜなら、かりに「歩き方がおかしい」と言われるような歩き方をしていたとしても、それは足のトラブルを無意識のうちにかばった結果なのかもしれません。言い換えれば、その「おかしな歩き方」が、今のあなたの骨格や筋肉に最適な歩き方となってしまっているのです。
足にトラブルが起こった原因に向き合うことをせず、表面的に「きれいな歩き方」に矯正してしまうと、別のどこかに不都合が出る可能性が大きいので、無理に「歩き方を変えよう」とは思わないことです。意識だけで“歩き方”を矯正するのではなく、足や脚のセルフケアをして、痛みを軽減することで、結果として「ちゃんとした歩き方」がついてくるのです。順序を間違えないことが肝心なのです。
「扁平足は治る」とか、「歩き方を変えれば治る」などという言葉をどこかで見たり聞いたりするかもしれませんが、それを信じて何かをやったとしても、残念ながらあなたの足の悩みは解決しません。
たとえば、外反母趾の人に「足の指と指の間に手の指を入れて回すと良くなる」と教えているものがありますが、それで外反母趾が治ることはありません。
外反母趾の原因には、扁平足に加えて、脚まわり・足まわりの“筋肉や関節”が硬くなっていることがあります。
「指と指の間に手の指を入れて回すと良くなる」と教えているのは、そのケアによって硬くなった筋肉や関節が柔らかくなるからですが、ただ硬さが取れるだけで、根本原因の扁平足が治るわけではありません。
「扁平足を治そう」とは思わないでください。扁平足は治せないのですから。扁平足は治りません。ですが、「扁平足ではない」かのような状態にすることはできます。
■そもそも日本人の大半は「扁平足」
多くの人が、自分が「扁平足」だとは知らずに、扁平足に起因するさまざまなトラブルに悩んでいます。扁平足とは、「アーチ」と呼ばれる足の骨格構造が崩れた状態です。
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「よく歩くから、扁平足にはならないはず」「プールサイドについた足跡には空間があったから、扁平足じゃない」などと思っていたら、とんでもない。そもそも日本人の大半は扁平足なので、そうでない人のほうが例外的なのです。
扁平足の人は、かりに今は足の悩みがなかったとしても、やがてトラブルが生じる可能性が高いでしょう。次のリストで当てはまる項目が1つでもあれば、それは扁平足のサインです。
◼靴の裏が左右非対称にすり減っている
◼大股で、ゆっくり歩くことが苦手
◼歩くとき、ぺたんこの靴よりも、ハイヒールのほうが楽だ
◼夜寝ている間に、ふくらはぎがつることがある
◼家族や親戚に足のトラブルで悩んでいる人がいる
◼ズボンの裾上げをすると、片方が合わない
◼靴のサイズが以前よりも大きくなった
◼裸足で片脚立ちをすると体がふらふら揺れる
◼足、膝、股関節が痛む
残念ながら、扁平足の形が変わることはありません。ですが、セルフケアをすることで、扁平足のままでも、痛みがなくなったり、それ以上悪化しなかったりする効果を得ることができます。
大事なのは、脚まわり・足まわりの筋肉や関節です。体幹やお尻などの筋力、足首や股関節などの柔軟性を取り戻し、鍛え、それを維持することが、足をトラブルから守ることになります。
たとえば、扁平足の人が足に体重をかけると、足のアーチがベチャッと崩れてしまい、それがトラブルのもとになります。ですが、足まわりの筋肉に柔軟性と筋力があれば、アーチの骨格がベチャッと下まで崩れようとする途中で、止めることができます。ダメージを最低限に抑えることができるのです。
■基本は「ふくらはぎを柔らかく伸ばす」こと
ふくらはぎが硬い人は珍しくありません。ふくらはぎの硬い人は足首も硬く、じつは「ちゃんと歩く」ことができていません。足首が柔軟に動かないので、足がちゃんと前に出ないのです。
そのような歩き方では、歩くたびに足に負担がかかります。すでに硬くなっている足首やふくらはぎに、さらに余分な力が入ります。そして足首が前に倒れるときに、土踏まずを地面に押しつけることで、なんとか蹴り出すことになります。
土踏まずを強引に地面に押しつけているのですから、足のアーチが崩れていくのは当然です。こうして扁平足が、どんどんひどくなっていくのです。それだけではなく、足の裏が無理に引っ張られているので、足裏の筋肉が炎症を起こしてしまいます。
足の前が上がらないせいで、つまずいて転ぶことも多いはずです。お年寄りが転びやすいのは、加齢でふくらはぎが硬くなっていることも1つの要因です。
フラットな靴よりも、ヒールが4センチを超えるようなハイヒールをはくほうが楽に感じる女性は、ふくらはぎの筋肉が縮んで硬くなっています。すでに「足底腱膜炎(そくていけんまくえん)」になるリスクを抱えている可能性もあります。
ハイヒールをはきたい人、立場上はかなければならない人は、ふくらはぎが柔らかくなるように、しっかり伸ばすことが必要です。硬くなっている脚まわり・足まわりの筋肉や関節は、緩めてしなやかにすることが必要です。
そのために効果的なのは「ふくらはぎを伸ばす」ことです。ふくらはぎを伸ばすことで、足首を柔らかくしましょう。びっくりなさるかもしれませんが、それだけで足先への負担が減り、取れる痛みは多いのです。
■「股関節」も「脚の後ろ」も鍛えるほうがいい
足に痛みがなく、「ちゃんと歩く」ことができるようになるためには、股関節も柔らかくなければいけません。股関節に柔軟性がないと、無意識のうちに膝や足首で足の弱点を補うような歩き方になるからです。股関節の硬い人は、そこを伸ばさないかぎり、ちゃんと歩けないのです。
一方、若い頃は体が柔らかいので、足に弱点があっても、股関節などがその弱点を補ってくれます。そのおかげで足に痛みを感じないのです。
ですから、足にトラブルを抱えていることに気づかない人も多いのですが、歳とともに股関節は硬くなります。そうなると、足の弱点をかばうことができなくなり、人によっては膝にも痛みが出ます。ですから、股関節を鍛えることが、脚や足を守ることになるのです。
お尻の筋肉も大切です。お尻の筋肉は脚の後ろを通って足につながっているので、脚の後ろも鍛える必要があります。お尻や脚の後ろの筋肉を鍛えれば、足が守られて、ちゃんと歩けるようになるでしょう。
東洋経済オンライン
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最終更新:2/8(土) 15:32