3年間ときが止まっていた「旧そごう川口」、新しい「駅前の顔」へ《楽待新聞》

10/22 19:00 配信

不動産投資の楽待

三井不動産は2024年8月22日、「旧そごう川口店」の建物のリニューアル計画として「(仮称)川口駅前商業施設計画」の着工を発表した。

株式会社そごう・西武の持分等を三井不動産が取得し、三井不動産ブランドの商業施設として再開発する。

以降では、そごう川口店が閉店に至った経緯や、現在までに発表されている新商業施設の概要、また川口駅周辺で持ち上がっているその他再開発計画などについて紹介する。

■閉店から現在までの経緯

1991年10月に開業した「そごう川口店」は、川口駅前の顔として約30年にわたり地域に親しまれてきた。

しかし2019年10月、株式会社そごう・西武は経営環境の悪化を理由として、そごう川口店を含む5店舗の営業終了を発表。そごう川口店の閉店日は2021年2月末に決まり、長年にわたり地域の中心的存在であった商業施設が姿を消すこととなった。

そごう・西武のプレスリリースを見ると、閉店発表当時、そごう川口店の年間売上高は約160億円であった。ピーク時の1997年2月期には約359億円を記録しており、売上高は30年間で半分以下にまで落ち込んでいたことがわかる。

従業員数は本社員64人、契約社員135人の計199人。その他アルバイトなどを含め、雇用面における地元への影響も懸念された。

閉店後、そごう・西武は店舗解体などの動きを見せず、跡地の活用方法について公表していなかった。このため、川口市・地元商工会議所・商店街連合会は、2020年の1年間で2回にわたり、そごう・西武に対して店舗跡地の活用方針を示すよう要請していた。

転機が訪れたのは2023年9月のことである。

川口市議会の9月定例会において、奥ノ木信夫市長が三井不動産による建物の所有権取得を明らかにした。また、三井不動産は商業施設としてリニューアルオープンするべく、改修工事を行う予定であることも同時に報告された。

この発表は、長らく不透明であったそごう川口店跡地の行方に一定の方向性を示すものとなり、地元の期待を集めることとなった。

川口駅前の中核施設として、そごう川口店跡地が再び賑わいの創出に貢献することへの期待が高まった。

■新商業施設の概要

新商業施設の開業は2025年春を予定しており、JR川口駅東口から、ペデストリアンデッキで直結する好立地を活かした計画となっている。

2024年9月時点では、川口駅の停車路線は京浜東北線のみとなっているが、今後は新たに上野東京ラインの停車駅となる見込みだ。上野東京ラインの停車については、こちらの記事で詳しく紹介されている。

一方、バス路線に目を向けると、駅前交通広場のバス停留所には約30系統の路線バスが乗り入れており、川口駅前には多方面からのアクセスが可能だ。新商業施設の立地は交通利便性が高いと言えるだろう。

施設の規模は、敷地面積が約8900平米(約2700坪)、延床面積が約6万8800平米(約2万800坪)だ。

構造は鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造で、地上11階・地下2階建ての建物となる。店舗面積は約2万1500平米(約6500坪)で、出店予定の店舗数は約100店舗を予定している。

三井不動産は、旧そごう川口店の特徴であった大時計や大理石などの象徴的な要素を残しつつ、魅力的な商業環境の創出を目指している。

この再開発により、三井不動産は駅前地区の利便性と賑わいを向上させ、活気ある街づくりに貢献することを目指している。長年地域に親しまれてきた建物を活用しながら、新たな商業の中心地として生まれ変わることで、川口駅周辺エリアの更なる発展が期待される。

■再開発が盛んな川口駅周辺エリア

川口駅東口エリアでは近年、再開発が盛んだ。

目につくものとしては、2023年3月に竣工した「川口栄町3丁目銀座地区」の再開発事業が挙げられる。この事業は野村不動産が手掛けたもので、対象地区は川口駅東口から徒歩3分という好立地だ。

再開発建物は地上28階・地下2階建てで、敷地面積約9070平米、延床面積約6万6570平米の大規模な複合施設となっている。

この再開発事業では、1~3階部分に商業施設「樹モールプラザ」が設けられ、2023年5月24日にグランドオープンを迎えた。

約40店舗が入居する商業施設には、スーパーマーケットの「マルエツ」を始め、飲食店や100円ショップなど、日常生活に密着した店舗が並んでいる。また、オフィスや医療モール、保育園も併設されており、一帯の利便性向上に貢献していると言えるだろう。

さらに、川口駅東口エリアでは現在、別の再開発事業が進行中だ。

川口駅東口から南に約400メートルの場所で進められている「川口本町4丁目9番地区第一種市街地再開発」事業だ。

地下1階・地上28階建ての再開発ビルの建設が計画されており、延床面積は約2万5220平米に及ぶ。主にタワーマンションとして整備される予定が、低層階には複数の店舗も入居する見込みで、2026年8月の建物竣工を目指している。



そごう川口店は川口駅前の顔とも言える商業施設だっただけに、活用の方向性が明確に示されたことで、地元行政なども胸を撫で下ろしたことだろう。

今後も駅周辺エリアのさらなる発展に向けて、さまざまな取り組みが行われていくことに期待したい。

朝霧瑛太/楽待新聞編集部

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最終更新:10/22(火) 19:00

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