(ブルームバーグ): 連日のように史上最高値を更新し続けている金相場の高騰はまだ終わっておらず、2月中旬以来20%近い急騰をもたらした要因が一層の上昇を促す見通しだ。ブルームバーグのインタビューに応じたマクロ・ファンドマネジャーらがこうした見方を示した。
金相場上昇に弾みを付けているのは、米金融当局による年内の利下げ期待で、金を保有する機会費用を減らす環境をもたらす。また、中東やウクライナでの紛争の混迷が安全資産需要を支えており、世界の中央銀行による購入も金相場への強気に拍車を掛けている。
GAMAアセット・マネジメントのグローバルマクロ・ポートフォリオマネジャー、ラジーブ・デメロ氏は現在の勢いについて、金保有を増やすシグナルとみる。同氏は価格が目先、若干の調整を受けやすいかもしれないが、どんな下げも買い手を呼び込むだろうと述べ、「(米国債市場に比べて)小さめの市場であり、非常に急ピッチな上昇があり得る。極めてモメンタムドリブンな資産だ」と付け加えた。
ただ、金の急ピッチで持続的な上昇は、実質利回りが高水準にとどまる状況で起きているため、困惑する市場関係者もいる。金は利子を生まないため、高金利の状況は通常、逆風となるからだ。
それでも投資家はひるまない。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物市場では、マネーマネジャーが金に対しより強気な姿勢を取っており、4月2日終了週のネットロングポジションは4年ぶりの高水準近くまで増加した。
主要な要因の一つは中銀の買い意欲で、9億3300万ドル(約1400億円)を運用するクオンティックス・コモディティーズの投資家ソリューションズ責任者マシュー・シュワブ氏のような買い手を勇気づけている。ブルームバーグ商品指数の金のウエートは約15%だが、同社のロングオンリーファンドは2022年以降、金を「オーバーウエート」、組み入れ比率を約30%としている。
資産の分散でドル離れを加速させる中国を中心に中銀の金購入量は22年と23年に1000トンを超えた。
さらなる上昇を期待させるもう一つの理由がある。金を裏付けとする上場投資信託(ETF)は通常、金相場の主な原動力になるが、今のような環境では珍しく投資需要がまだ顕在化しておらず、ブルームバーグの集計データによると、19年以来の低水準に近い。
コーエン&スティアーズで約4億1000万ドルのコモディティー戦略の運用に携わるベン・ロス氏は、投資家が短期金融市場でリターンを追求していることが主な理由だと分析する。同氏によれば、米金融当局が実際に利下げに踏み切れば、いずれETFへの新たな資金流入の引き金となり、金価格をさらに押し上げると予想される。
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原題:Gold’s Vertiginous Ascent Isn’t Over Yet, Fund Managers Say(抜粋)
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最終更新:4/10(水) 15:09
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