日本は再エネ供給不足、企業ニーズ満たさずとアマゾン-化石燃料依存

3/28 14:59 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 世界最大のクリーン電力購入企業、米アマゾン・ドット・コムは日本のエネルギー政策に関して、民間部門への再生可能エネルギーの供給ペースが十分でないとの明確な判断を今月下した。

アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のアジア太平洋担当エネルギー・環境政策責任者、ケン・ハイグ氏は都内で今月開かれた自然エネルギー財団のイベントで、「アマゾンのような規模の企業が日本で大規模な電力を調達できないのであれば、増大する需要を満たすのに十分なペースで新たなプロジェクトを稼働させる方法がうまくいっていないということになる」と指摘。「日本には再生可能エネルギーを求める企業がたくさんある。こうした需要を満たすには供給を増やす必要がある」と述べた。

社内の排出削減目標や顧客の要求を満たすため、グリーン電力を必要としている企業にとって、日本は難しい市場となっている。日本は現在、発電の70%超を化石燃料に依存。中東ドバイで昨年12月に開催された国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)で、2030年までに世界の再生可能エネルギー発電容量を3倍にすることを他国・地域と共にコミットしたが、今後も石炭やガス火力発電を利用する計画だ。

資源エネルギー庁は再生可能エネルギーを主力電源とするため、最大限の方針で取り組んでいると説明した。

400社超のグローバル企業から成るグループは21年以降、再生可能エネルギーが30年までに電源構成の約半分を占めるよう、再エネへの投資拡大を日本に求めてきた。政府は現在、30年度までにこの比率を38%程度へと引き上げることを目指しているが、同戦略は通常ほぼ3年ごとに見直されており、政府は今年から再検討する見込みだ。事業で使用する電力を再生可能エネルギーで100%賄うことを目指す国際的イニシアチブ「RE100」加盟企業は22年、日本での電力需要の25%を再エネで満たすことができたが、世界平均の50%を下回る。

アマゾンは世界で500を超える再生可能エネルギープロジェクトを発表しているが、アジア全般でクリーン電力の調達が難しいとハイグ氏は指摘。インドネシアの国営電力会社ペルサハーン・リストリク・ネガラと22年に締結した太陽光発電プロジェクトからクリーン電力を購入する契約は、アマゾンが日本で調達できる累積電力量よりも大きいと話す。

ハイグ氏はアジアについて、「再生可能エネルギーを購入するのは非常に難しい」とした上で、「われわれはそれを解決しようとしている。技術の問題ではなく、政策と市場の問題だ」と語った。

日本はグリーントランスフォーメーション(GX)向けに、官民で150兆円超を投資する計画を打ち出している。そのうち次世代再生可能エネルギーに31兆円を充てることにしており、自動車分野に次いで規模が大きい。だが、日本は取り組みを強化する必要があると、気候アナリストらは話す。

RE100と連携する「日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)」の三宅香共同代表は、日本で事業を展開するグローバル企業や国内企業は、30年までの再生可能エネルギー目標を掲げているが、供給不足がその達成を脅かしていると分析。「われわれは個別企業として可能な限りの努力をしているが、現時点では日本で利用できるクリーンエネルギーの総量が十分ではない」と述べた。

原題:Amazon Says Japan Isn’t Meeting Corporate Needs for Clean Power(抜粋)

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最終更新:3/28(木) 14:59

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