中国電池CATL、海外市場でも「シェア首位」に躍進 1月の搭載量が韓国LGエナジーを初めて逆転

3/27 16:02 配信

東洋経済オンライン

 EV(電気自動車)用車載電池で世界最大手の中国の寧徳時代新能源科技(CATL)が、中国国外での市場シェアを急速に伸ばしている。

 韓国の市場調査会社のSNEリサーチが3月8日に発表したデータによれば、中国を除く世界の自動車工場で2024年1月にEV、PHV(プラグインハイブリッド車)、HV(ハイブリッド車)に組み込まれたCATL製の車載電池は合計5.7GWh(ギガワット時)と、韓国のLGエナジーソリューション(合計5.4GWh)を初めて上回った。

■現代自動車や起亜もCATL製採用

 CATLは中国市場の巨大な需要に支えられ、車載電池の世界シェアで7年連続の首位を独走している。だが、中国を除く世界市場では長らくLGエナジーソリューションの後塵を拝し、2023年(の通年で)は0.8GWhの僅差で第2位だった。それが2024年1月、ついに(月次ベースでの)逆転を果たした格好だ。

 SNEリサーチの分析によれば、CATLに代表される中国の電池メーカーは海外市場を急ピッチで開拓しており、中国国外での販売の伸び率が中国国内を上回っているという。

 世界の自動車メーカーも、中国製の車載電池の採用を増やしている。例えば韓国自動車大手の現代自動車(ヒョンデ)と起亜(キア)は最近、CATL製の車載電池を小型EVに搭載することを決めた。これは(LGエナジーソリューションやSKオンなどの本拠地である)韓国においても、中国メーカーの影響力が増していることを示す象徴的な事例だ。

 中国の電池メーカーは海外市場での存在感を高めているが、同時に新たな難題にも直面している。世界の自動車市場でEVの販売増加の勢いが鈍り、車載電池の搭載量の伸びも減速に転じたことだ。

 SNEリサーチのデータによれば、中国を除く世界市場における車載電池の搭載量は、2017年から2023年にかけて年平均58.2%のペースで伸び続けていた。しかし2023年の単年では、前年比の伸び率が43.2%に低下。2024年1月の単月では、前年同月比30.1%の伸びにとどまった。

■乗用車以外の用途を積極開拓

 EV需要の伸びが鈍化した要因について、SNEリサーチは金利の高止まりや(富裕層以外には)高すぎる車両価格、充電インフラの不足などを挙げる。さらに、アメリカの「インフレ抑制法」の施行により、アメリカ市場では中国製の車載電池を搭載したEVが優遇税制の対象外になったことも、中国の電池メーカーにとって大きなマイナス要素だ。

そんななか、CATLは乗用車のEV以外でまとまった電池需要が見込める新分野を探索している。2月27日には、中国の建設機械大手の龍工控股と戦略提携契約に調印。エネルギー消費と二酸化炭素(CO2
)排出量が大きい建設機械の電動化を共同で推進する。

 大型トラックの電動化も大きな可能性を秘めた分野だ。3月上旬に開催された中国人民政治協商会議全国委員会の会議で、同委員会の委員を務めるCATL董事長(会長に相当)の曾毓群氏は、大型トラックの電動化を加速するよう(中国政府に)提案した。

 (財新記者:安麗敏)
※原文の配信は3月9日

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最終更新:3/27(水) 16:02

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