米国株式市場見通し:景気減速懸念は後退、米国株の強さを試す展開に
来週の米国株は、7月末から8月上旬の下落に対する戻りを試す展開となりそうだ。エヌビディアが下落局面入りしたことなどから調整色を強めていたナスダックは200日移動平均線から反発している。S&P500は75日移動平均線手前まで値を戻しているほか、NYダウは史上最高値からの下落率は5%ほどに留まっており、歴史的な暴落となった日本株と比べると米国株の強さは鮮明だ。9月連邦公開市場委員会(FOMC)での0.5%利下げや臨時会合開催での利下げといった話は影を潜め、過度な悲観論は後退しつつある。
とはいえ、投資家の恐怖心理を示すVIX指数は20.26と8月2日時点の水準まで低下したが、まだ節目の20を上回っている。ボラティリティが高い状況のため、腰を据えた投資資金の流入はまだ難しいだろう。米国株市場の投資家心理がより改善されるには、8月14日の7月消費者物価指数、15日の小売売上高の内容次第と考える。7月11日に発表された6月消費者物価指数をきっかけに、10年債利回りは低下し、為替市場では投機筋の円売りポジションの巻き戻しが加速した。市場予想と同程度のインフレが確認できれば過度な警戒感の後退につながるだろう。
また、小売売上高において、景気を左右する個人消費の底堅さが確認できれば、景気減速懸念はいったん沈静化すると考える。7月末の株価水準まで値を戻しているウォルマートの決算発表も予定されていることから、来週は個人消費に注目だ。
経済指標では、13日に7月生産者物価指数、14日に7月消費者物価指数、週次原油在庫、15日に週次新規失業保険申請件数、8月ニューヨーク連銀製造業景気指数、フィラデルフィア連銀景況指数、7月小売売上高、鉱工業生産指数、16日に7月住宅着工件数、8月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)などが予定されている。
主要企業決算は、12日にバリック・ゴールド、パブメッッド、13日にホームデポ、ブルーバード、14日にシスコシステムズ、クラウン・クラフツ、ストーン、15日にタペストリー、ウォルマート、アリババ・グループ、アプライド・マテリアルズなどが予定している。
《FA》
フィスコ
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最終更新:8/10(土) 14:45