東京消費者物価2カ月ぶり伸び鈍化、日銀の2%目標は上回る

3/29 8:35 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 全国の物価の先行指標となる3月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比上昇率が2カ月ぶりに鈍化した。前月に続き政府の物価高対策の影響が剥落した一方、食料品の鈍化が押し下げ方向に働いた。

総務省の29日の発表によると、コアCPIは前年同月比2.4%上昇。前月は2.5%上昇だった。日本銀行が目標とする2%は2カ月連続で上回っている。エネルギーは5.3%下落とマイナス幅が縮小。昨年導入された政府の電気・ガス価格激変緩和対策事業による押し下げ効果は2月分から一巡している。一方、生鮮食品を除く食料は4.6%上昇と8カ月連続で伸びが鈍化した。

日本銀行が19日の金融政策決定会合で17年ぶりの利上げに踏み切ったことで、市場の関心は利上げのペースに移っている。今後の政策運営について植田和男総裁は、物価見通しの上振れや上振れリスクの高まりは「政策変更の理由になる」とする一方、「当面緩和的な金融環境が継続する」と発言。今回の結果は経済・物価情勢を慎重に見極めていく局面が続くことを示唆している。

野村証券の岡崎康平シニアエコノミストは、電気・ガス代の補助金が打ち切りとなった場合、再エネ賦課金の増加に加えて影響が相応に出てくるとし、「これを反映していくと日銀の物価見通しもさらに上がっていく」と指摘。全体として上振れリスクがあるとみており、「エネルギーは家計からすると痛みが大きい品目なので、消費者マインドを押し下げないかどうかが注目だ」と語った。

生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは2.9%上昇と前月の3.1%上昇から減速。7カ月連続でプラス幅を縮小した。3%割れは2022年12月以来、1年3カ月ぶり。

賃金動向を反映しやすいサービス価格は2.0%上昇と、前月の2.1%上昇からプラス幅が縮小した。連合によると、今年の春闘の平均賃上げ率は現時点で33年ぶりに5%を超えており、賃金から価格への転嫁が進展するかが注目されている。

詳細(総務省の説明)

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--取材協力:氏兼敬子.

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最終更新:3/29(金) 10:04

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