筋肉の達人が伝授「脚の疲れ」簡単に解消するコツ パンパンのふくらはぎはこうやってほぐそう
ストレッチトレーナーとして活躍する傍ら、インスタでの「筋肉のつながり」に関する投稿が大人気であるきまたりょう氏。
話題沸騰の書籍『世界一わかりやすい 筋肉のつながり図鑑セルフケア編』の著者でもある専門家による「通勤疲れ、歩き疲れ」から「冷え性」の人にまで有効な脚のセルフケアを解剖学的知見から紹介していく。
■筋膜へアプローチせよ
疲れをとるために大事なこと。それはズバリ「筋膜」にアプローチしてあげることです。
簡単に説明すると、筋膜とは筋肉を包む膜のことで、この筋膜が筋肉同士をつなぎ合わせて全身の姿勢を保ったり、動作をサポートしています。筋膜には身体の位置などを把握するためのセンサーが多く含まれていて、筋膜が固まってしまうことで、「姿勢や動作のコントロール」に影響します。
この筋膜のケアの方法は世の中にたくさんあります。しっかりとした圧でリリースするものから、そっと触れてリリースするソフトなものまでさまざまです。
ただセルフケアとして一般の方がひとりで行うには難しかったり、タッチの仕方が繊細すぎるものが多い印象です。
そこで今回の記事では誰もがわかりやすく行える、ボールなどを使ったリリース法やつながりを意識したストレッチの方法をご紹介していきます。
筋膜をゆるめるコツは持続圧をかけることです。しっかりと時間をかけて圧を与えることで筋膜のセンサーが反応して筋肉の緊張度を下げることができます。自律神経にも変化が生まれ体液の循環などにも良い影響が生まれます。
そして筋膜をゆるめた後にストレッチを行うことで普段より深い可動域で伸ばすことが可能になります。
ここでは、脚の疲労をとるために重要な「ふくらはぎ」と「足裏」の2つの筋膜にアプローチをしていきます。
■第2の心臓ふくらはぎへアプローチ
まずは、ふくらはぎからゆるめていきましょう。ふくらはぎは伸縮することで、ポンプの働きをし血液を心臓へと送り返すような手助けもする大事な筋肉です。
ふくらはぎには腓腹筋とヒラメ筋の2つの筋肉があります。これらの筋肉はつま先立ちなどの動作で働いています。腓腹筋は付着部がひざと足首の2 つの関節をまたぐので両方の関節に作用しますが、ヒラメ筋は足首のみに作用します。ひざの曲げ具合で使う筋肉の割合が変化します。
ふくらはぎの2つの筋肉はアキレス腱~かかとを介して足裏につながります。足裏を含めたこの「つながり」が硬くなると足首を曲げづらくなります。足首が曲がりづらい人はかかと重心になりやすく、バランスを取るためにひざや骨盤を前に出したりする可能性があります。
ふくらはぎの筋肉をゆるめるには椅子の上に置いたボールにふくらはぎを乗せます。椅子の上に置くことでひざを曲げた状態を作ることができ、腓腹筋が弛緩した状態でリリースすることができます。足のつま先を左右に向けることで内外のエッジに当てることができます。
ふくらはぎを伸ばすには壁に手をついて身体を前に倒します。ひざをピンと伸ばした状態ではひざ裏あたり、主に腓腹筋を伸ばすことができます。ヒラメ筋を単体で伸ばす場合はひざを曲げて前に出すことで伸ばすことができます。どちらもかかとを床につける意識が重要です。
■足裏のアーチを機能させよう
次に「足裏」です。足裏には足底腱膜というバンドのような組織があります。この組織は足のアーチが崩れないように足裏で支えています。足のアーチを支える筋肉が働いていなかったり、足のバランスが崩れていると、この組織にストレスがかかり足底に炎症が起こりやすくなります。
足底腱膜は足の指を反ると緊張が高まり、足のアーチを上げます。足を蹴り出す時などに指が自然と反ることで腱膜の弾性が加わることで推進力を生み出します。しかしハイヒールなどは常に指が反った状態なので、この組織が慢性的に緊張し、ハイアーチや浮き指などになりやすいです。
足裏の筋肉はセンサーが豊富に含まれていて、軽めの刺激でもゆるむ感覚を得やすい部位です。ボールなどを足裏に満遍なくコロコロさせてあげることで筋肉が活性化して、地面との接地感が変化します。変化を感じない場合は少し体重を乗せて持続的な圧をかけてあげると良いでしょう。
足は身体の土台です。この土台のセンサーが機能していないと、その上にある身体を固めて姿勢を保ちます。足裏の感覚を育てるにはイラストのように前後左右に身体をゆらして、足裏がどのように感じるか体験してみましょう。これは正解探しではなく、このプロセス自体に意味があります。
■全身のバランスを大事に
以上、簡単にできるセルフケアをご紹介しました。
現在はインターネットで検索するだけで、色々なストレッチ法や筋膜リリース法など、セルフケアに対する情報が無数にでてきます。どれもやり方がわかりやすく説明されていて素晴らしいものばかりです。
でも実は、同じセルフケアをするにしても「身体の仕組みを把握して行っている人」と「なんとなく真似をしている人」では効果に雲泥の差があります。
実際に私がストレッチトレーナーとしてお客様に指導する中でも、ストレッチのやり方をただお伝えするより、資料を見せながら「ここがつながっているから、こういう風にやってみてください」と説明を加えたほうがストレッチの効果が増すのを経験しています。
「いま伸びている筋肉は、どの筋肉とつながっているのか」
「なぜこのようにストレッチをするのか」
「特定の部位をゆるめると全身にどのような影響があるのか」などといった知識を学び、理解することが重要です。
今まではただ患部を揉むことしかできなかった状態から、「ここがつながっているから、ここをほぐしてみようかな」などと自分で考えて対応できるようになりますので、
そして最後に、大切なことは「全身のバランス」です。
身体を総合的に見ながら、1カ所だけに偏ったストレッチには気を付けるようにしましょう。
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最終更新:11/3(日) 7:26