米エヌビディア、最大5000億ドル相当のAIインフラを国内生産へ
(ブルームバーグ): 人工知能(AI)向け半導体で先頭を走る米エヌビディアは14日、製造パートナーシップを通じ、今後4年間で最大5000億ドル(約71兆6200億円)相当のAIインフラを米国内で生産すると発表した。
14日の同社発表文によれば、最先端AIチップ 「ブラックウェル」の生産は、台湾積体電路製造(TSMC)がアリゾナ州フェニックスに新設した工場で始まっている。
エヌビディアはまた、テキサス州で鴻海精密工業(フォックスコン)や緯創資通(ウィストロン)と共同でスーパーコンピューター製造工場をそれぞれ建設しており、アリゾナ州ではアムコー・テクノロジーなどと協力してパッケージングとテスト業務を行っている。
フォックスコン、ウィストロンとの工場での「量産」は今後1年-1年3カ月以内に本格化する見通しだと、エヌビディアは発表文で説明した。
エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は発表文で「米国内での製造を強化することで、AIチップやスーパーコンピューターに対する需要急増にさらに対応できるようになり、サプライチェーンの強化とレジリエンスの向上にもつながる」とした。
5000億ドルという数字は、エヌビディアがAI関連のサプライチェーン向けに販売するあらゆる製品の総額を指す。これは主に、クラウド大手が最新機器を用いてデータセンターを新設・刷新するというコミットメントを反映している。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)が先月公表したリポートによると、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズなどクラウド大手は、今年だけでAI関連施設などに3710億ドルを投資すると見込まれており、これは前年から44%増になるという。
エヌビディアは、今回の取り組みによってAIスーパーコンピューターが米国内で初めて生産されるとした。
トランプ大統領は14日、エヌビディアが今回の取り組みを決断したのは関税のおかげだとホワイトハウスで発言。「エヌビディアはこの業界全体をほぼ掌握しているため、これはこれまで聞いた中で最大の発表の一つだ」と称賛した。
シティー・インデックスのシニア金融市場アナリスト、フィオナ・シンコッタ氏はブルームバーグテレビジョンで「これこそがトランプ氏の狙いだ。製造業を米国に取り戻すという彼の公約に沿った動きだ」と述べた。
発表を受け、エヌビディアの株価は一時上昇したものの、0.2%安で取引を終えた。年初来では17%強下落している。
原題:Nvidia Plans to Produce Up to $500 Billion of AI Gear in US (2)(抜粋)
(c)2025 Bloomberg L.P.
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最終更新:4/15(火) 9:49